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りらっくママの日々

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2009年12月10日
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今日の日記(「ギネ~産婦人科の女たち~(最終回)」感想☆ )




「ある女の話:カリナ38(高三生活)」


「進路どうするの?」

私は母親に聞かれて、自分が行きたい学部を答えた。

「お母さん、カリナがあの学校に入れて嬉しいよ…。
ずっと憧れてたからね。
まさか自分の娘が入れるなんてね。
もう、それだけで親孝行って感じがするよ。」

私の行ってる女子校は、昔は、お嬢さん学校って呼ばれていて、
お母さんの代では憧れの学校だったらしい。

お母さんは家の都合で、
お金のかからない学校へ行ったことがずっと引っかかっていたらしくて、
受かったら、ちょっと無理して働いてでも、
私をその学校へ通わせようと決めていたらしい。

私も、お母さんのことを喜ばせたかった。
兄妹がいるから、少しでも私へ関心を向けたかったんだと思う。
だから一年の時にあんなことが起こって、
本当にどうしようかと思った。

正直言えば、一年の時、
私はふとその場にあったカッターを手首に当てたことがある。

でも、お母さんの喜んでいた顔を思い出して、
いつかお嫁さんになって家を出て行くからって言いながらも、
私がこの学校で大学まで出て、
自分と別の幸せな人生を歩くと信じてるお母さんのことを思うと、
私がその顔を曇らせちゃいけない気がして、
カッターをしまった。

アイツらのために、
私だけじゃなくお母さんまで泣かせる必要は無いって。
アイツらは私がいなくなったら、
せいせいしたって喜ぶのかもしれないけど、
喜ばせるようなことワザワザする必要なんか無いって。

大体こんなもので、きっと死ねない…

生き残ってやる。

そう思ってた。


内申とぶっつけ本番のテストが受かれば、大学まで行けることになっていた。

そのテストが6割を占めるって言われて、
ちょっと焦って勉強しなくちゃいけなくなった。

3年は選択授業が多いので、
私は自分の得意科目を選ぶようにした。
その中に体育も入れた。

勉強系を選んだ友達は、
体育や美術や書道が苦手らしい。

私は文系を中心にした。
そのお陰で平均以上に通知表が良かったので、
とりあえず試験のための足切りを免れた。

真面目なマッシーも頭のいいユウも大丈夫そうだった。
この頃には、ユウがいっしょに行き帰りしてるミキとも仲良くなっていた。

ミキは合コンのエサと呼ばれていた。
彼女が来ると、男子が喜ぶからだ。
ミキは自分でもそのルックスを武器にしているところがあって、
妬む子も結構いたけど、
私たちは見た目の可愛らしさと違って、
現実派で努力家な彼女が好きだった。

多分ミキは妬まれたりしたことから、
嫌な目に沢山あったんだと思う。

ユウはサバサバしてるせいで人に頼られて、
疲れることが多かったんだと思う。

マッシーは、誰とも仲良くするけど、
深入りしなくて、どこか孤独を持っているような気がする。

私はどうやら一人でいるのが好きな人間に見えるらしくて、
それをマッシーが付いてることで柔らかく補われているようだった。

言葉が足りないのか、何なのか、
誤解ばかり受ける私と、この3人は、
何か通じるものを感じて、
自然といっしょにいることが多くなった。

進路を決める個人面談が、面談室でされるようになった。
そこの扉は、閉めても中が見えるように、上半分がガラスでできていた。

「ミゾグチは進路は、ここでいいんだな?」

私が提出した進路調査のプリントを指してスギモト先生が言う。
私が「はい」って答える。

「まー、オマエの今のままの成績なら、余裕で大丈夫だと思うよ。」

私はホッとした顔をしたんだと思う。
「どうした?」ってスギモト先生が言った。

「マッシーがいてくれたから、
この学校にいられたようなもんです。」

私はつい先生に気を許して言った。

スギモト先生は私の言葉を聞いて、ちょっと考えてるような顔をした。
そして、ポツリとこう言った。
いつものプライベートな顔で。

「カエデは…
オマエとずっと仲良くなりたがってたよ。
実はさ…
オマエ、一年の時にトイレで泣いたことある?」

私はドキンとした。

理由は今となっては、よく覚えて無い。
ただ、あの頃はみんなから無視されたり、
部活で私にボールが来なかったり、一人で片付けたり、
変な、「先輩とまたしゃべったでしょ?」って手紙を受け取ったりしてたから、
多分その時の何かだろうと思った。

確かにトイレで泣いたことがある。
出てきた時に、誰かとすれ違ったような気もする。

「カエデにオマエのこと聞かれてな。
どこのクラスか知ってないか?って。
理由はその時教えてくれなかったけど、
俺が走ってる時にシュートの練習してるって言ったんだよ。
そしたら、話すことができたからありがとうって。
あのクラスの女子最悪だって、
先生なら何とかできないの?とかって。」

私は知らなかった事実を知って驚いた。
マッシーが、そんなことしてたなんて。

「まー、俺は、ミゾグチには悪いけど、
先生がいる時は、生徒ってそんなそぶり見せないから難しいし、
カエデが友達になれれば、それでいいんじゃないか?
って言ったんだよな…
友達って、沢山必要なもんじゃないし、
誰か本当に信用できるヤツが一人いれば、
人って充分なもんだって…。
カエデに、それになれるのか?って。」

私は何て言っていいのかわからない。
その私の無言の返事を先生はどう取ったのか、
私の顔を見て、こう言った。

「カエデは、オマエとそうなりたかったんだよ。」

私は泣きそうになって、
堪えていたけど、やっぱり涙がポロっと出てきて、
慌ててハンカチを出して涙を拭いた。

先生は困ったように、ポケットティッシュをくれた。

「今こうして、こんな話ができて良かったよ…。
ホントに…。」

私はその先生の態度と言葉で、
ようやく我に返って言った。

「ほんと…
ホントそうですよね。
多分先生が動いてたら、もっとヒドイことになってたかもしれないし、
私も誰にも言いたくなかったし、
コレで良かったんだと思います…。
ホントに…」

先生は私の言葉を深く受け止めるように、
黙って目を見て聞いていた。

「先生…」

「ん?」

「マッシーはイイ子ですよ。」

先生はいきなりの私の言葉に、
身内を褒められたように照れ臭そうな顔をした。

「知ってるよ。」

そう答えて付け加えた。

「オマエよりもかなり長い付き合いなんだから。」

そういう意味じゃなくて…

私はそう思ったけど、そうは言えなかった。

女として見てあげて下さいよ…。

心の中でだけ呟いた。

「大学決まったら、
ランニング同好会顧問として、お祝いしてやるからな。」

先生はそう言って笑顔を見せた。

マッシー、

あなたの好きになった人はステキな人だね。

それから、

私を二人の仲に入れてくれてありがとう。


私は心の中でマッシーにお礼を言って、会議室を後にした。




前の話を読む

続きはまた明日

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最終更新日  2009年12月10日 22時01分43秒
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