カテゴリ:ある女の話:カリナ
今日の日記(「JIN~仁~(最終回ネタバレ)」感想☆とクリスマスに向けて~☆)
「ある女の話:カリナ49(男はこりごり)」 「え?!別れちゃったの?ケンちゃん?」 「ん~。そう~。」 マッシーと初詣をした帰りに入ったカフェで、 私は何とも無いように答える。 この前までクリスマスだったのに、 もうお正月なんだな~って、 私はディスプレイを見て可笑しくなる。 最近大学の授業もほとんど無くなって、 お互いバイトや就職活動がメインになってきた。 ユウとミキはサークルと彼も加わりますます忙しそうだったし、 マッシーは相変わらず先生と付き合っていて、 私は同じバイトのケンちゃんと付き合ってた。 先月までは…。 一昨年の夏、 ミツルと別れてから、飲み会の帰りにケンちゃんが送ってくれた。 ケンちゃんは私の2つ年下だった。 ケンちゃんは、ミツルに対して怒っていた。 汚い大人だって。 私が何も答えないでいたら、ゴメンって謝ってきた。 好きだと思ってた人悪く言われたら気分悪いよね…って。 そうしたら、タイミング悪く、 ミツルが私のことを待っていて、 やっぱり他のヤツを好きになったんだ? ってなじった。 もう寝たのか?って。 ケンちゃんが、腹を立てて、 「ああそうだよ!俺と付き合ってるんだから奥さんと子供のとこ帰れよ!」 って言った。 ケンちゃんはミツルに胸ぐらをつかまれて、 お互いニラみあってた。 ケンちゃんが殴られたりしたら悪いので、 ケンちゃんをかばったら、ミツルが諦めて帰った。 まるでドラマみたいな出来事だった。 そのことにお互い酔ったのかもしれない。 「俺、ホントにミゾちゃんと付き合いたい。 俺のこと弟としか見れない?」 そう真っ直ぐな目で言われてポウっとなった。 その時からケンちゃんのことを男として意識するようになった。 飲み会が何度かあって、 ケンちゃんが私を心配して送ってくれるようになって、 それで付き合うことにした。 でも、 ケンちゃんは女の子とキチンと付き合うのが初めてだったらしい。 いつも何となくミツルのことを意識していた。 私も心のどこかで、ミツルとの付き合いと比較してたのかもしれない。 ミツルなら、拗ねても深刻に取らなかったのに…って。 それでも、 それはケンちゃんが真剣に私を好きだからってことがわかっていたし、 そんなケンちゃんの真っ直ぐさに、私はどんどん惹かれていったけど、 ケンちゃんは初めて付き合う女ってものに浮かれていただけで、 付き合いに慣れてくると、 だんだん私と付き合うことを疎ましがるようになっていった。 「友達と遊びに行くから」 そう言ってだんだんすれ違うようになった。 私はケンちゃんと付き合って初めて、 ミツルが「他の男を知りたくなるんじゃないか?」 って言っていた恐怖を知ることになった。 そのせいでケンちゃんを束縛してたのかもしれない。 ケンちゃんは私をなじるようになった。 不倫してたような女だから、すぐやれると思ったんだよ! そこまで言わないと別れないとでも思ったのかもしれない。 ケンちゃんから別れを告げられた時に、 泣いてすがった。 私がケンちゃんが初めてだったら、 こんなふうにされなかった? そうして、ミツルがどうして私に執着したのか何となくわかって、 その痛みを少し知ることになった。 そんな形で知るなんて皮肉に感じた…。 「今年はマッシーといっしょに年越しできて良かった! 楽しかったよ~!」 「私もだよ! 持つべきものは友達だね!」 二人でケーキを頬張って、クスクスと笑った。 去年の年越しは、 ケンちゃんとバイトのみんなといっしょに初日の出を見に行った。 今年、 多分ケンちゃんは好きな女ができたのだろう。 バイトを変えたケンちゃんはクリスマスも仕事で会えなくて、 年末に別れ話をしてきた…。 今頃その女の子と会ってるのかもしれない。 「私、もう、恋とかそういうのいいや~」 あったかいアップルティーをポットから注いで、 私は飲みながら、つい呟いた。 マッシーは紅茶にミルクを入れて、 息を吹いて冷ましていた。 「ケンちゃん、そんなに好きだった?」 マッシーは私がケンちゃんといい付き合いをしてなかったのを知ってる。 またすっぽかされた…とかって、いつもつい話してたから。 マッシーと先生の付き合いとはずいぶん違うかもしれない。 「ん~、どうかな? 何だかなじりあって別れると、 好きだったかどうかわかんなくなるね…。 好きだったと思うんだけどな。 だんだん会わないようにされてたのが悔しかっただけで、 一人になるのが嫌だっただけなのかも…。 誰とも付き合ってなかった頃に戻るのが淋しくて怖かっただけかもね。 実際別れると、どーにかなるんだけど。」 コレはちょっと強がり。 ホントはいろいろ思い出して、時々ぼんやりする。 もう誰も自分を愛してくれないんじゃないか…って、 途方も無く怖くなる。 私は紅茶を一口飲んだ。 懐かしい顔が頭に浮かんだ。 「今から思うと、青山くんは今でも好きかも。 好きな人は付き合わない方がいいのかもしれないね。 手に入らない人は、 ずっとイイ思い出のままかもね…。」 そう言ってから、ちょっと気付いて付け加えた。 「でも、マッシーは別だよね? 先生、相変わらずでしょ?」 「ん~、そう…ね。 甘い感じは、ずっと無いね~。 タッチャンが答案の採点してる時は手伝ったりするけど、 変な回答が多くて笑えるんだ、コレが!」 どんなの?どんなの? って聞くと、マッシーが答えて、私はオナカを抱えて笑う。 マッシーが笑いながら、一口紅茶をすする。 「やっぱさ… アオヤンさんは、良かったよね。 どうしてるかね~、彼は。」 「うん…。 実は去年年賀状が来てたんだよね。 でも返事書かなかったの。 何だかケンちゃんに悪くて。 こうして別れちゃうなら書いといても良かったなぁ~。 付き合ってる男に一途になるなんて、 疎ましがられるだけなのかもね。」 フフフって私は思い出して笑った。 自分が他に目が行かないからって、 相手にもそれを強要してたから苦しくなったのかもね。 「今年も帰ったら来てるかもよ?」 「えー?まっさかぁ~! もう忘れられてるって! でも万が一来てたとしても返事出せないな~」 「え?何で?」 「だって、ケンちゃんと別れたから即次って感じで嫌じゃない?」 「そおいうもの?」 「そーいうもの。」 家に帰ったら、ホントに青山くんから年賀状が今年も来ていた。 でも私はマッシーに言った通り返事は書かなかった。 今会ったら青山くんの前で泣き出しそうな気がする。 抱きついて、自分を愛して欲しいと言いたくなる気がする。 そんな同情的な恋は嫌。 もう男は懲り懲り。 前の話を読む 続きはまた明日 目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年12月21日 19時55分56秒
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