カテゴリ:ある女の話:カリナ
今日の日記(「リアル・クローズ(最終回ネタバレ)」感想と今年を振り返る☆ )
「ある女の話:カリナ51(青山くんとの再会)」 青山くんからの電話は離れていた3年の年月を感じさせなかった。 まるで、 あの頃に戻れたみたいだった。 まだ、誰とも付き合ったことがなかった自分に…。 そう思うこと自体、私は変わってしまったのかもしれない。 ふとそんなこと思う自分が何だかかなり摩れた人間みたいに思えて、 ちょっと可笑しいような、悲しいような気持ちになった。 まだ私、22歳なのにね。 バカだな。 たかが男二人と付き合った程度で。 青山くんは、本当に私と会いたかったらしくて、 今週ずっと暇だと言ったら、 じゃあ明日!って言ってきた。 そんなに早く会えるなんて思ってもみなかった。 嬉しくてドキドキしてる気持ちと、 会ったらお互い変わって無いか、 自分がガッカリされないか… そんなことを考えた。 見かけはそんなに変わったことは無いと思うけど… でもあの頃よりちゃんと化粧するようになってる。 少しはキレイになったって思ってもらえるかな? そんなことを思いながら眠った。 初めて会った場所で待ち合わせをすると、 青山くんはすごく嬉しそうな顔をしてくれたので、 やっぱり勇気を出して年賀状を出して良かったと思った。 大人っぽくなったって言われると、 それが嬉しいことなのかわからなくなった。 青山くんと会わないうちにいろいろ有り過ぎた気がする。 私はあの頃のままで、 できれば青山くんと付き合いたかった。 ふとそんなことを思う。 ちょっと少年って感じだった青山くんが、 大人の男性に近付いた感じがして。 その空白をいっしょに過ごしたかった気がした。 彼はどんな3年間を送ってきたんだろう? いっしょに行ってみたいって思っていたカフェに入ることにした。 青山くんは家庭教師のバイトや、就職活動や、教育実習の話をしてくれた。 そう言えば、青山くんもサークルには入ってなかったんだっけ。 でも、教育実習の時は、 生徒が青山くんに近付いてたらしい。 「まさか危ないことになってないよね~?」 私はマッシーとスギモト先生のことを思い出して聞いてみる。 何かこの人って、のんびりしてるから女の子に言い寄られそう。 それが妙にリアルに思い描けて、何だか可笑しかった。 「残念だけど、なってないよ。 なかなかの美少女だったんだけどね。」 「ええ!もったいない! 付き合っちゃえば良かったのに~!女子高生だよ?」 私は昔の通り、友達のノリで言って笑う。 私、また同じこと繰り返そうとしてる? 友達のままでいいって… ううん、 このまま青山くんと楽しい話がしてられるなら、 永久に友達のままでもいいんじゃないかな?って、 会ってからずっと思ってた。 男と女になるとイイこと無いし。 「本気で言ってる?」 私と同じノリで「そうだね、もったいなかったね」って、 てっきり笑ってくれると思ってたのに、 いきなり青山くんが真面目な声でそう言った。 「え?」 目が合うと、青山くんは目を逸らしてコーヒーを飲んだ。 ちょっと緊張しちゃうような空気が、 いきなり私を包んだ。 そういう、いきなり恋愛的な空気を出すようなこと、 青山くんが言ってくるとは思ってもみなかった。 それって、 「僕が他の女の子と付き合ってた方が良かったってこと? それならどうして、こうして会ってるの?」 って意味で、かなり直球な気がした。 どうしようって思ったのと同時に、 青山くんとは男女の関係になりたくない気がして、 緊迫した空気を破りたくなって、 私は慌てて茶化すように言った。 「ううん。付き合ってなくて、良かったよ! ほんっとうに良かった! だって、付き合ってたら、私とこうして会ってなかったでしょ? あ~、ホント良かった! ね、そういえば私の就職活動の時なんてね、 すっごいセクハラオヤジがいてね、 嫌~な質問されたの!」 そのまま私は青山くんが変な空気に持っていかないように、 何とか面白可笑しく話題を提供し続けた。 青山くんは相変わらず聞き上手で、 相槌をうったり、笑ったりしてくれた。 そうして私が一息ついて、アイスティーを飲んだ途端に、 思いもしなかった青山くんの攻撃が始まった。 「さっき、付き合ってたら、会ってないって言ってたよね? ってことは、ボクに言ってた彼とは別れたの?」 一瞬、ミツルのことが頭に浮かんだ。 多分、青山くんには気になってることなんだと思った。 「うん。付き合ってすぐにダメになっちゃった。 やっぱり、付き合うのってダメね。」 ほら、私、あんまり女らしくないから。って、 適当な言い訳を付け加えた。 原因を探られるのはゴメンだ。 「そんなこと無いと思うけど…。」 私の言ったことを疑ってるらしい青山くんに、 更に茶化して言った。 「ありがとう!じゃあココ奢っちゃおうかな~」 青山くんには私は女に見えてるんだ? そう思うとちょっと嬉しい。 でも更に青山くんの追求は続く。 「じゃあ、どうしてすぐにボクに連絡くれなかったんだよ? そしたら、すぐ会えたのに。」 私はストローで氷をカラカラと混ぜた。 「そんな都合のいいこと…。」 その後流れで他の人と付き合ってたから… とは言いたくない。 思い出したくも無いし。 でももう過去なんてどうでもいいじゃない? 付き合ってた人と別れたら、 その前に好きだった人に連絡しろって言うの? 青山くんは私の返事がそれで終わったのかを確信したのか、 更に聞いてきた。 「でもさ、あの時、ボク、ホントに驚いたんだよ。 好きな人はバイトの近くで知り合ったって言ってただろ?」 青山くんは私が昔言ったことを、 ホントに良く覚えてるらしい。 言われてそんなこと言ったな~って、 ようやく思い出して、ちょっと驚きながら答えた。 「だって、私のバイト先、海に近かったから~。」 「そんなに近くないじゃん!」 え~!そんなことまで覚えてるの? 私は青山くんの記憶力にビックリする。 「海は、繋がってるんですぅ~。」 あの時は、 正直に言ったら青山くんを好きだってバレそうだから、 適当に答えたのに~!って思って、 私は頬を軽く膨らませた。 「あまのじゃくだな~。そんなのわかる訳ないじゃん。」 青山くんが、呆れたように言った。 「えー、だって~。そんなのはっきり言う訳ないじゃん。」 私は青山くんの口調をマネする。 「ちゃんと言わなきゃ伝わらないよ。」 青山くんが大人みたいな口調で言うので、 私は心の中で反論する。 何で私からばっかり言わなきゃいけないのよ。 青山くんもズルかったよね? 女の子から来て欲しいのよね? 「私ちゃんと伝えたもん。」 私はちょっとむくれてきた。 「気持ちが終わってから伝えてもしょうがないんだよ…。」 青山くんがため息をついた。 何よ~、そのため息。 何だって今更過去の告白の清算しなくちゃいけないのよ~。 あ~、それをスッキリさせたくて今日即会うことにしたんだな? 今でもまだ私が青山くんのことを好きかどうか探りたいんだ? でもって、私が気がありそうなら、 付き合ってもいいかなって思ってるとか? やっぱり男ってズルいんだ… そう思っていると、 青山くんが真剣な顔をして諭すように言った。 「じゃあ、ボクは今度は、ちゃんと言うよ。 ボクは、キミを好きだったから、ココに来たんだよ。 そっちはどうなの?」 え?! いきなりの青山くんの告白に頭が真っ白になった。 好きって言った? 今私を好きって言った? いきなりの直球で、 私が呆然としてるのが面白いのか、 まるで子供を相手するように青山くんが言う。 「ほら、どうしたんだよ? 返事して。」 青山くんって、こんな人だった? 何?この余裕のある態度? 何だかムカつく~! 「知らな~い!」 私は目を逸らしてカラカラ氷をかき混ぜて、 薄くなったアイスティーを飲んだ。 青山くんは私の様子を見て、 楽しそうにクスクスと笑った。 私はその様子を見て降参した。 私は、まだあなたのこと好きみたいです。 でも悔しいから口に出して言わなかった。 前の話を読む 続きはまた明日 目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年12月23日 20時09分55秒
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