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• 体型

  今月に入って２度目のパチンコで、奇跡が起きた。なんと、たった500円の投入で４連荘の大当たり。前回の負け分を差し引いても、２万2000円の勝ちである。先々週は競馬でも儲けたし、なかなかに懐は暖かい。……家電さえ壊れなかったならば。さて、本日は好評を博した「選手名鑑」シリーズの番外編をやってみようかと思う。お題目はこちら。“球界で最も平均的な体型をしているのは誰なのか？”要は、選手名鑑を引っ張り出してきて、全日本人選手の身長・体重から平均を割り出し、算出された数値に最も近い人間を探り当てるという企画だ。はううううう、面倒臭そう。イヤ、自業自得なんだけどさ。こんな時、日記を書くのにアシスタントが欲しいなあ、なんて思ったりするわけよ。もしくは、コピーロボットとか。じゃあ、気乗りしないけど、いってみようか。（お約束、心の葛藤）ぐっ、今回は身長と体重と二度手間か。しかも、久しぶりの計算問題イイイイイ。あ、そうだ。Excel使ったれ。おりゃあああああ。我がナチスのォォォォォ科学力はァァァァァ、世界一ィィィィィィィィィィ（関係なし）!!!!※　集英社『ジョジョの奇妙な冒険』第２部より、　　ルドル・フォン・シュトロハイムの迷セリフを拝借。ち～ん。結果発表～。カシャカシャカシャカシャ。まず、標準的な投手体型について検討してみよう。福岡ダイエー投手陣　＝　180.7cm／81.3kg（30人）西　　　武　投手陣　＝　180.4cm／79.6kg（29人）大 阪 近 鉄 投手陣　＝　180.0cm／77.9kg（29人）　千葉ロッテ　投手陣　＝　179.6cm／77.5kg（28人）日 本 ハ ム 投手陣　＝　181.7cm／80.4kg（29人）オリックス　投手陣　＝　181.1cm／80.6kg（28人）阪　　　神　投手陣　＝　182.4cm／85.6kg（29人）中　　　日　投手陣　＝　180.9cm／79.6kg（29人）読　　　売　投手陣　＝　181.1cm／79.3kg（27人）ヤ ク ル ト 投手陣　＝　180.1cm／80.7kg（30人）広　　　島　投手陣　＝　181.2cm／79.5kg（27人）横　　　浜　投手陣　＝　183.6cm／83.8kg（30人）ほう、なかなか興味深い。ロッテと横浜とでは、４cmも差が出るのか。体重では、ロッテと阪神で８kgもの開きがある。とはいえ、その他の球団を比較すると、そんなに大きな差は見られない。では、次なるステップ。へえ度の低い試みだが、とりあえず調べてみよう。“その球団で最も平均的な体型の投手は誰なのか？”福岡ダイエー　＝　松本輝（180cm／78kg）西　　　武　　＝　眞山龍（180cm／78kg）大 阪 近 鉄 　＝　福盛和男（182cm／78kg）千葉ロッテ　　＝　川井貴志（180cm／78kg）日 本 ハ ム 　＝　金森敬之（182cm／80kg）オリックス　　＝　萩原淳（182cm／82kg）阪　　　神　　＝　桟原将司（182cm／85kg）中　　　日　　＝　植大輔（180cm／81kg）読　　　売　　＝　真田裕貴（180cm／80kg）ヤ ク ル ト 　＝　花田真人（180cm／80kg）　　　　　　　　　小森孝憲（179cm／81kg）　　　　　　　　　石井弘寿（180cm／80kg）広　　　島　　＝　鶴田泰（181cm／80kg）横　　　浜　　＝　谷口邦幸（183cm／84kg）個人的に意外だったのは、オリックスの投手陣の中で、淳くんが最も平均的な体型だということ。あの野性的な風貌から、大きい部類の選手だと思っていたのだが。さて、いよいよ核心に迫るとするか。日本人投手の中で、最も平均的かつ標準的な体型をしているのは、一体誰なのか。球界全体の平均値（投手）　＝　180.6cm／80.3kg（345人）ぱんかぱぱ～ん、ぱんぱんぱんぱ～ん。球界で最も特徴のない体型をしている投手は、コイツだあああああ。戸部浩（ロッテ：181cm／80kg）鶴田泰（広島：181cm／80kg）＜次点＞加藤伸一（近鉄：181cm／81kg）加藤康介（ロッテ：180cm／80kg）真田裕貴（読売：180cm／80kg）　花田真人（ヤクルト：180cm／80kg）石井弘寿（ヤクルト：180cm／80kg）……だから？なんてツッコミが一番ツライ。お願いだから、これを書くために割いた数時間を無駄にさせないでくれ。次回は野手編である。

  2004.03.27

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• ファミスタ２

  ファミスタって、どうして守備につくと足が速くなるんだろう……。一塁を飛び出した“ぴの”が、落合とかバースとかにあっさりと追いつかれてタッチされるのって、何かおかしいぞ。しかも、初期の頃は方向転換もできなかったし。こんな動き、香車くらいのもんだ。あァ、落合といえば、元祖のときはＦチームにいたな。当時は、ロッテが日本ハムに吸収されちまってると思っていたが、名前がフーズフーズなだけに、食べ物連合ってことなんだろう。よくよく思い返してみたら、カーズ（元祖）のラインナップもおかしい。長内と小早川を同時に使っている。この年は、２人を一塁で併用していたはずだが……。気になったので、調べてみた。すると……、小早川が二塁を守らされていた！べっくりだ。イチローが三塁を守らされたり（実話）、仁志が左翼を守らされたり（実話）したことより、こっちの方が驚きだ。ガイアンツ（元祖）の代打には、王がいた。これは、明らかに読売ファンの仕業だ。……監督だっての。多分、割を食ったのは、加藤英か仁村薫あたり。但し、２人とも成績はすこぶる悪かった。ちょっと世代が進んで、ファミスタ'92。この年には、読売Ｖ９期を元にした「Ｖ」という球団があるのだが、なぜか森が右打ちになっていた。古溝に続く犠牲者第２号。あのおっさん、確か左打ちだったはず。……。キリがないので、ツッコミはこれくらいにして。前回の続きといこうか。メジャーリーガーズ。ここの読者としては、メジャーリーグの話よりもこのままファミスタネタを続けた方が喜ぶんだろうけど、そんなこと、知ったこっちゃない。＜ファミスタ'89＞１　おすみす　（６）　⇒　Ｏ・スミス２　もりた　　（４）　⇒　Ｐ・モリター３　ぼつくす　（５）　⇒　Ｗ・ボッグズ ４　すとべり　（９）　⇒　Ｄ・ストロベリー ５　かんせい　（７）　⇒　Ｊ・カンセコ ６　ぽけつと　（８）　⇒　Ｋ・パケット ７　くらく　　（３）　⇒　Ｗ・クラーク８　さんちこ　（２）　⇒　Ｂ・サンティアゴ 打　ぎぶす　　　　　　⇒　Ｋ・ギブソン 打　ういんふい　　　　⇒　Ｄ・ウィンフィールド打　まつく　　　　　　⇒　Ｍ・マグワイア 打　ぼにい　　　　　　⇒　Ｂ・ボニーヤ先　はあし　　　　　　⇒　Ｏ・ハーシュハイザー 先　ばいお　　　　　　⇒　Ｆ・ヴァイオラ 先　くられんす　　　　⇒　Ｒ・クレメンス 先　らいおん　　　　　⇒　Ｎ・ライアン リ　ふらんく　　　　　⇒　Ｊ・フランコ リ　えかすり　　　　　⇒　Ｄ・エカーズリーハーシュハイザーといえば、ほんの一瞬だったけど、「オリックスが獲得するかも」って噂があったような。1994年、メジャーはストライキだったんで、こんな大物でも、例年よりは獲得しやすい状況にあったのだ。実際、ロッテのフランコ＆インカビリア、ダイエーのミッチェル＆シグペンなんかは、かなり名前のある選手だったし、ウチのニールだって、アスレチックスの４番を打ったことがあるという経歴を持っていた。＜ファミスタ'90＞１　ぼう　　　（８）　⇒　Ｂ・ジャクソン ２　ぼつくす　（５）　⇒　Ｗ・ボッグズ ３　くらつく　（３）　⇒　Ｗ・クラーク ４　かんせい　（７）　⇒　Ｊ・カンセコ ５　ぽけつと　（９）　⇒　Ｋ・パケット ６　りぷりん　（６）　⇒　Ｃ・リプケン ７　さんど　　（４）　⇒　Ｒ・サンドバーグ 　８　さんちこ　（２）　⇒　Ｂ・サンティアゴ 打　みつける　　　　　⇒　Ｋ・ミッチェル打　ほうしよう　　　　⇒　Ｈ・ジョンソン 打　まつく　　　　　　⇒　Ｍ・マグワイア 打　こるまん　　　　　⇒　Ｖ・コールマン先　らいおん　　　　　⇒　Ｎ・ライアン 先　すちあと　　　　　⇒　Ｄ・スチュアート 先　はあし　　　　　　⇒　Ｏ・ハーシュハイザー 先　ばいお　　　　　　⇒　Ｆ・ヴァイオラ リ　ういりい　　　　　⇒　Ｍ・ウィリアムズ リ　えかすり　　　　　⇒　Ｄ・エカーズリー噂をすれば何とやら。“問題児”ミッチェルが、代打の先頭に。1995年の開幕戦で大爆発して以降は、トラブルの嵐。行く先々でオーナーと喧嘩しては退団し、今は独立リーグの監督をやっているのだとか。ジャクソンも懐かしいな。アメフトとの二刀流で話題になった。1989年のオールスターで放った特大の本塁打は、なぜか鮮烈に覚えている。＜ファミスタ'91＞１　りつきい　（８）　⇒　Ｒ・ヘンダーソン ２　さんど　　（４）　⇒　Ｒ・サンドバーグ ３　くらく　　（３）　⇒　Ｗ・クラーク ４　かんせい　（９）　⇒　Ｊ・カンセコ ５　みつける　（７）　⇒　Ｋ・ミッチェル ６　りぷりん　（６）　⇒　Ｃ・リプケン ７　ぼつくす　（５）　⇒　Ｗ・ボッグズ ８　さんちこ　（２）　⇒　Ｂ・サンティアゴ 打　おひるだ　　　　　⇒　Ｃ・フィルダー 打　ぽけつと　　　　　⇒　Ｋ・パケット 打　どうぞ　　　　　　⇒　Ａ・ドーソン 打　じゆにあ　　　　　⇒　Ｋ・グリフィー・ジュニア先　らいおん　　　　　⇒　Ｎ・ライアン 先　ばいお　　　　　　⇒　Ｆ・ヴァイオラ 先　ろけつと　　　　　⇒　Ｒ・クレメンス リ　うるち　　　　　　⇒　Ｂ・ウェルチ リ　すぐぺん　　　　　⇒　Ｂ・シグペン リ　えかすり　　　　　⇒　Ｄ・エカーズリーミッチェルが出世しとる。あと、フィルダーとシグペンがいるな。フィルダーといえば、小指骨折。自分が折ったバットが、地面に跳ね返って小指をヒット！このエピソードは、もはや伝説だ。その間抜けっぷり、ポスター撮影時にジャンプして足を捻った多村とかブーマーとハイタッチして肩を脱臼した門田とかと同列だ。シグペンは、ミッチェルと同じ1995年にダイエーへとやって来た。そして、何のインパクトも残すことなくクビになったのだった。＜ファミスタ'92＞１　りつきい　（８）　⇒　Ｒ・ヘンダーソン ２　ぼつくす　（５）　⇒　Ｗ・ボッグズ３　りぷりん　（６）　⇒　Ｃ・リプケン ４　かんせい　（９）　⇒　Ｊ・カンセコ ５　おひるだ　（３）　⇒　Ｃ・フィルダー ６　じゆにあ　（７）　⇒　Ｋ・グリフィー・ジュニア ７　さんど　　（４）　⇒　Ｒ・サンドバーグ８　さんちこ　（２）　⇒　Ｂ・サンティアゴ 打　くらく　　　　　　⇒　Ｗ・クラーク 打　おせいぼ　　　　　⇒　Ｃ・セイボー 打　どうぞ　　　　　　⇒　Ａ・ドーソン 打　でいぶ　　　　　　⇒　Ｄ・ウィンフィールド 打　おすみす　　　　　⇒　Ｏ・スミス先　らいおん　　　　　⇒　Ｎ・ライアン 先　ばいお　　　　　　⇒　Ｆ・ヴァイオラ 先　がりい　　　　　　⇒　Ｂ・ガリクソン リ　でぶる　　　　　　⇒　Ｒ・ディブル リ　えかすり　　　　　⇒　Ｄ・エカーズリーををを、ガリクソンがおる。読売を退団して、フィルダーのいるデトロイトに入団。そこで、彼は最多勝を獲得するのだった。それと、ディブル。「今年、万が一イチローなんかが首位打者を獲ったら、全裸でタイムズスクエアを闊歩してやるぜ」……なんて愚かな公約をしてしまったがために、後悔させられた人物だ。寒空の中、ご苦労さん。そして、ここまで読んでくれた読者の諸君も、ご苦労さん。ファミスタの夕べ（ディナーショー風）、これにて終了。

  2004.03.10

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• ファミスタ

  野球ゲームの代名詞――。コナミと近頃の小僧どもにとって、それはパワプロを指すのだろう。しかし、こちとらファミスタっ子である。ということで、今回はあの懐かしきゲームを振り返る。さてさて、何を取り上げるべきか……。とりあえず、当時のことを思い出してみる。（回想中）ん～、元祖ファミスタでは、パ・リーグの関西３球団がごちゃまぜになってたなあ～。で、２作目になって阪急だけ独立したんだよ。もちろん、ファンとしては使うじゃない。そしたら、なぜか古溝が右投げだったんだよなあ～。福島県民だっただけに、衝撃の大きさときたら「倍率ドン、さらに倍」って感じだったね。※　TBS『クイズダービー』でお馴染みのフレーズ。……ううううう～む。我ながら渋いところを突きすぎて、話が膨らまん。さて……。ピカッ（脳内の裸電球が点灯した音）！あァ、そういえば、１つだけ記憶の薄いチームがあるな。メジャーリーガーズ。あまりの強さゆえ、人間と対戦するときは使用禁止令が出るほどのチームである。おかげさまで、どんな選手がいたか、あまり思い出せない。ならば、この機会に確認しておくのも一興か。じゃあ、さっそく。それ～い！　グルグル、パピンチョパペッピポ～、ヒヤヒヤドキッチョナ～、モ～グタンッ！※　２回目だな、この掛け声。＜ファミスタ'87＞１　ぱけと　（８）　⇒　Ｋ・パケット ２　さんど　（４）　⇒　Ｒ・サンドバーグ ３　すとろう（９）　⇒　Ｄ・ストロベリー４　かあたあ（２）　⇒　Ｇ・カーター５　まくが　（３）　⇒　Ｍ・マグワイア６　しゆみと（５）　⇒　Ｍ・シュミット７　ばふい　（７）　⇒　Ｊ・バーフィールド８　おすみす（６）　⇒　Ｏ・スミス 打　かんせこ　　　　⇒　Ｊ・カンセコ 打　りふきん　　　　⇒　Ｋ・リプケン打　ぐいん　　　　　⇒　Ｔ・グウィン打　まつちん　　　　⇒　Ｄ・マッティングリー先　らいあん　　　　⇒　Ｎ・ライアン 先　すこつと　　　　⇒　Ｍ・スコットリ　ばれん　　　　　⇒　Ｆ・バレンズエラリ　りげと　　　　　⇒　Ｄ・リゲッティどういうわけか、カンセコだけ本名だ……。そういえば、コイツってばドジャースの入団テストで不合格だったって？　なんか、カンセコというと、スタジアム外のことばかり思い浮かんでしまって、プレーの印象って意外に薄いなあ。あァ、そうそう。外野フライをヘディングして、本塁打をアシストしたってのがあったっけ（笑）バーフィールドってのは、アレだな。想像以上の強肩と扇風機っぷりで、我々の度肝を抜いてくれた元読売のアイツだ。何でも、マイナー時代はブーマーと共同生活を送っていたのだとか。＜ファミスタ'88＞１　へんたそん（８）　⇒　Ｒ・ヘンダーソン２　さんばく　（４）　⇒　Ｒ・サンドバーグ３　ぼつくす　（５）　⇒　Ｗ・ボッグズ４　すとべり　（９）　⇒　Ｄ・ストロベリー５　かんせい　（７）　⇒　Ｊ・カンセコ６　まつく　　（３）　⇒　Ｍ・マグワイア ７　があたあ　（２）　⇒　Ｇ・カーター８　おすみす　（６）　⇒　Ｏ・スミス打　ぽけつと　　　　　⇒　Ｋ・パケット打　ういんふい　　　　⇒　Ｄ・ウィンフィールド打　くらく　　　　　　⇒　Ｗ・クラーク打　どうぞ　　　　　　⇒　Ａ・ドーソン先　らいおん　　　　　⇒　Ｎ・ライアン 先　ばいお　　　　　　⇒　Ｆ・ヴァイオラ先　くられんす　　　　⇒　Ｒ・クレメンス先　ぐでん　　　　　　⇒　Ｄ・グッデンリ　えかすり　　　　　⇒　Ｄ・エカーズリー リ　りげち　　　　　　⇒　Ｄ・リゲッティあ、カンセコの名前が変わった。あと、バーフィールドがいなくなった。どうでもいいが、ヤンキースＯＢ多すぎ。ヘンダーソン、ボッグズ、ストロベリー、カンセコ、ウィンフィールド、クレメンス、グッデン、リゲッティ。約半数じゃないか。本当に金持ち球団ってのは……。そうそう、リゲッティといえば、妙に元ダイエーの外国人投手と因縁がある。リリーフに転向した理由が、Ｒ・ゴセージの穴埋め。で、1986年には当時の記録となる46セーブを挙げるも、Ｂ・シグペンにこれを更新されてしまう、と。まあ、日本人の95％には興味のない話か。……。うあああああ、あと４年分あるし。ということで、次回に続く。

  2004.03.08

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• 選手名鑑３

  プロ野球選手の好きなタレントについて、あれこれと勝手なことを述べていこうというこの企画、めでたく今日が最終回である。あ、そうそう。大事なことを忘れていた。＜取り扱い説明書＞○　本日の日記は、もう１つウインドウを開き、　　前々回の集計結果を参照しながらご覧頂くと、　　より一層楽しむことができます。○　万が一、集計漏れがあったとしても、　　気にしない方が健康のためには良いでしょう。ということで、今日の１番手。そうだな、平尾博嗣（西武）から行ってみようか。彼の好きなタレント、それは……、三浦（旧名・設楽）りさ子。な、ななんと、平尾のヤツ!!畏れ多くも、あのキング・カズ夫人を!!!?ちょっと待て。平尾っていくつよ？1975年12月31日生まれ……ということは、28歳か。年齢から考えると、彼が三浦りさ子を頻繁に目にしたのは、カズとの結婚が報じられて以降という可能性が高い。好みなんだから仕方ないが、人妻……。続いて、ヤクルトの久保田智。２年目の外野手で、昨年は一軍出場なし。右肩痛に悩まされていたが、今オフに手術を受け、再起を期している。そんな久保田のタイプ、それは……、中野美奈子。確かに、ヤクルトとフジテレビの女子アナとは、何かと縁がある。実際、古田敦也や石井一久のような例もあるにはある。しかし……、あァ、ご愁傷さま……。伊藤英明との熱愛発覚！あとは、ロッテの山崎建なんかも独特だ。広島時代、斉藤雅樹のフォームを完全にコピーしたというサイドスローは、こんな女性が好みだそうだ。高見知佳＆渋谷琴乃。うをを、サッパリだ。サッパリ星人が見える。どうして、この２人なんだ。謎だ。共通点がわからん。渋いのは、投球だけではなかったということか……。我がオリックスからは、北川智規くんを紹介しよう。北川といえば、近鉄がリーグ優勝を決めた試合を思い出す。2001年９月26日――。この日、北川は先発を任されていた。新人ながらも、６回を２失点と合格点の内容。しかし、抑えで登板した大久保勝信が、まさかの被弾。それも、代打逆転サヨナラ満塁本塁打というレアな一撃だった。この一発で名を上げたのは、北川博敏。そして、逆に忘れられてしまったのが、北川智規である。で、悲惨な方の北川が好きだというのが……、眞鍋かをり。何のことはない。横浜国立大の同窓生というだけだ。一説によると、同じ大学というだけで、接点はあまりないのだとか。まったく、中途半端な。一体、冗談なのか、本気なのか？では、ここら辺で次なる試みを。ズバリ、昨シーズンから今シーズンにかけて、好きなタレントを変更したヤツらに注目だ。（お久しぶり、心の葛藤）うぎゃあああああ。面倒だ、面倒すぎる。結局、調べるのは２年分かよ、オイ。まあ、前々回よりは楽だけどさ……。イヤ、マジで大変なんだって。ぶつぶつぶつぶつ……。ち～ん。結果発表～。意外にも、変更者多し。で、こちらが尻の軽い連中である。相木　崇　（BW）　広末　涼子　⇒　竹内　結子尾崎　匡哉（Ｆ）　内山　理名　⇒　根本はるか木元　邦之（Ｆ）　黒谷　友香　⇒　ケリー・チャン武田　久　（Ｆ）　仲間由紀恵　⇒　松浦　亜弥吉崎　勝　（Ｆ）　中島　美嘉　⇒　Ｙ　Ｏ　Ｕ岩本　勉　（Ｆ）　安達　祐実　⇒　こずえ　鈴鎌倉　健　（Ｆ）　浜崎あゆみ　⇒　矢田亜希子山口　弘祐（Ｆ）　畑野　浩子　⇒　長谷川京子小林　宏之（Ｍ）　鈴木　蘭々　⇒　矢田亜希子大島　裕行（Ｌ）　片瀬　那奈　⇒　柴咲　コウ春日　伸介（Ｌ）　常盤　貴子　⇒　水野　裕子後藤　武敏（Ｌ）　優　　　香　⇒　優香・伊東美咲上本　達之（Ｌ）　米倉　涼子　⇒　坂下千里子鳥谷部健一（Ｌ）　畑野　浩子　⇒　山田　優帆足　和幸（Ｌ）　大貫　亜美　⇒　雛形あきこ長田秀一郎（Ｌ）　長谷川京子　⇒　熊田　曜子森　慎二　（Ｌ）　鈴木　京香　⇒　小西真奈美七野　智秀（YB）　菊川　怜　　⇒　矢田亜希子野中　信吾（YB）　内山　理名　⇒　吉岡　美穂吉村　裕基（YB）　奥菜　恵　　⇒　吉井　怜村田　修一（YB）　矢田亜希子　⇒　竹内　結子渡辺　雅弘（YB）　白石　美帆　⇒　中越　典子鶴岡　一成（YB）　加藤　あい　⇒　長谷川京子村西　哲幸（YB）　浜崎あゆみ　⇒　水野　裕子秦　裕二　（YB）　米倉　涼子　⇒　小野　真弓梶本　勇介（Ｓ）　上原多香子　⇒　伊東　美咲高橋　敏郎（Ｓ）　伊藤　千晶　⇒　稲森いずみ山田　真介（Ｇ）　広末　涼子　⇒　Ｂ　ｏ　Ａ松下　圭太（Ｔ）　松浦　亜弥　⇒　竹内　結子桜井　広大（Ｔ）　畑野　浩子　⇒　熊田　曜子梶原　康司（Ｔ）　仲間由紀恵　⇒　小　　　雪伊代野貴照（Ｔ）　吉岡　美穂　⇒　やさしい人中林　佑輔（Ｔ）　片瀬　那奈　⇒　伊東　美咲こんなにツッコめるかあああああ！ということで、あえて１人だけ。ガンちゃんの好きなタレント、年齢が上がっていてホッとしたわ……。それでも、まだ10歳以上の差があるが。……もう１人、吉崎のセンスには◎をあげたいね。個人的な意見だけど。それにしても、仲間由紀恵や白石美帆を好きな選手が、2004年に絶滅してしまったのは意外だった。その原因となったのが、コイツらである。絶滅といえば、こんな人たちも姿を消した。○　鈴木　尚典（YB・結婚）／田中美佐子　　～Take２・深沢の嫁さんである～○　東　和政　（YB・結婚）／新山　千春　　～色白が好みかと思いきや、ギャルっぽい人と結婚～○　中野渡　進（YB・引退）／和田アキ子　　～酒癖の悪い女性が好きなのだろうか？～○　新井　貴浩（Ｃ・結婚）／西山　薫子　　～“プロレス大好き”西山（Ｃ）の嫁さん～○　柳沢　裕一（Ｄ・結婚）／永井美奈子　　～なかなか良いセンス。元ＤＯＲＡの一員～○　大西　崇之（Ｄ・結婚）／岩下　志麻　　～最近は、コミカルなキャラも演じる極妻～○　宮出　隆自（Ｓ・結婚）／内田　有紀　　～高倉健の前で大人の壁を越えた、純くんと結婚～○　和田　一浩（Ｌ・結婚）／天海　祐希　　～札幌のキャバ……おっと家事手伝いをゲット～○　福盛　和男（Bu・結婚）／トム・クルーズ　　～ペネロペ・クルスがライバルだった～あらあら、タレントの名前をこんなに羅列して……。本当にここはスポーツのサイトなのだろうか!?

  2004.02.29

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• 選手名鑑２

  ＜取り扱い説明書＞○　本日の日記は、もう１つウインドウを開き、　　前回の集計結果を参照しながらご覧頂くと、　　より一層楽しむことができます。○　万が一、集計漏れがあったとしても、　　気にしない方が健康のためには良いでしょう。一体、プロ野球選手の好きなタレントって――？そんな素朴な興味から始まったこの企画、今回はその総括と分析である。まず、上位10名をドン！１　矢田　亜希子　　21２　長谷川　京子　　13　　優　　　香　　　13４　畑野　浩子　　　12５　中島　美嘉　　　８　　伊東　美咲　　　８　　浜崎　あゆみ　　８　　加藤　あい　　　８　　平山　あや　　　８10　広末　涼子　　　６　　内山　理名　　　６見ての通り、トップは断トツだった。何せ、両リーグで１番人気に輝いている。確かに、清純そうな感じがして、好感度は高い。高いのだが……、みんな、気にならないものなのか？この娘には、プロ野球選手の元カレがいたんだぞ？そう、平松一宏（中日）。本当かどうかは不明だが、読売をお払い箱になった途端、捨てられてしまったという哀しい噂が囁かれている。そんな平松、今は誰を好みだと言っているのか？「明るく健康的な人」あァ、なんて角の立たない回答か。うう、強く生きていけよ……（涙）長谷川京子も、両リーグでバランスよく票を集めた。一方、不思議だったのは、優香と畑野浩子である。なぜか、片方のリーグでのみ人気があった。また、中島美嘉の場合、得票数の半分を阪神の選手が占めた。誰かが流行らせているのだろうか？まあ、上位に関してはこれくらいにして、今度は少数派の意見を取り上げてみよう。そこをツッコんでこそ、この日記のスタンスである。まず、西武のＧ・Ｇ・佐藤くん。フィリーズの１Ａからやって来た大型新人である。名前の由来は、中学時代のニックネームからだとか。じじい・佐藤　⇒　Ｇ・Ｇ・佐藤当時の佐藤くんは、猫背でオヤジ顔だったそうだ。そんな彼、女性の趣味もオヤジっぽい。黒木瞳。実は彼女、通算得票数４で13位タイと健闘している。それでも、佐藤くんは1978年８月９日生まれ。年上好きにも程があると思うのだが。続いて、高橋由伸（読売）と川上憲伸（中日）。大学時代から競い合ってきたライバル同士である。なんと、彼らの好みはモロにかぶっている。水野美紀。随分と仲のよろしい……。脳裏に、何とも下らない空想が浮かぶ。ホラ、１人の女を賭けて勝負だ～、みたいな。総じてツッコむのなら……、あだち充のマンガかよ（三村風）！ってな感じ。ラブコメが好きな人は、読売の４番と中日のエースという立場ではなく、狼同士の勝負として楽しむべし。次なるエントリーは、加藤隆行くん（阪神）。彼もまた、渋い趣味の人らしい。なんと……、岡江久美子＆榊原郁恵。って、２人かよ。２人なのかよ！オマエ、いくつだヨ？　⇒　（注）1983年３月２日生まれにゃろう、毎日『はなまるマーケット』とか、『郁恵・井森のデリ×デリ　キッチン』とか録画してんのか？本日の最後は、仲澤忠厚くん（中日）に〆てもらおう。彼の好きなタレント、それは……、明石家さんま。あ～、面白くてお金も持ってるし、理想のタイプだよね～。ってオイ、男ぢゃねえかよ（ノリツッコミ）！イヤ、別に「好きなタレント」だから問題ないんだけどさ。……けど、行間読めよ、この野郎。まあ、ネタなんだろうが。とりあえず、これから人生初の「ふぐ料理」を食べに行くので、続きは次回に。

  2004.02.26

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• 選手名鑑

  選手名鑑と睨めっこの日々である。生年月日、体のサイズ、出身地、球歴、投打、前年の成績、推定年俸、デビュー戦（思い出のシーン）、タイトル、家族（理想のタイプ、好きなタレント）、血液型、趣味……。憶えることは、たくさんある。そんな中、今年になって興味を抱いた情報がある。その項目とは――？ズバリ、好きなタレントである（下世話）。ということで、さっそく集計してみちゃったりして（暇人）。果たして、プロ野球選手に人気のある女性とは、どんなタイプなのか？＜セ・リーグ＞　　　　　　　＜パ・リーグ＞１　矢田　亜希子　　12　　　　１　矢田　亜希子　　９２　優　　　香　　　11　　　　　　畑野　浩子　　　９３　長谷川　京子　　７　　　　３　長谷川　京子　　６４　中島　美嘉　　　６　　　　４　平山　あや　　　５　　内山　理名　　　６　　　　５　伊東　美咲　　　４６　広末　涼子　　　５　　　　　　浜崎　あゆみ　　４７　伊東　美咲　　　４　　　　　　加藤　あい　　　４　　浜崎　あゆみ　　４　　　　８　本上　まなみ　　３　　加藤　あい　　　４　　　　　　松嶋　菜々子　　３10　酒井　若菜　　　３　　　　10　山田　優　　　　２　　黒木　瞳　　　　３　　　　　　竹内　結子　　　２　　平山　あや　　　３　　　　　　優　　　香　　　２　　竹内　結子　　　３　　　　　　鈴木　あみ　　　２　　水野　美紀　　　３　　　　　　山口　智子　　　２　　畑野　浩子　　　３　　　　　　深田　恭子　　　２　　石川　梨華　　　３　　　　　　中島　美嘉　　　２17　安倍　なつみ　　２　　　　　　大谷　みつほ　　２　　山口　もえ　　　２　　　　18　稲森　いずみ　　１　　星野　真里　　　２　　　　　　小西　真奈美　　１　　菅野　美穂　　　２　　　　　　熊田　曜子　　　１　　鈴木　あみ　　　２　　　　　　雛形　あきこ　　１　　渡辺　満里奈　　２　　　　　　黒木　瞳　　　　１　　吉岡　美穂　　　２　　　　　　坂下　千里子　　１　　上戸　彩　　　　２　　　　　　三浦　りさ子　　１　　稲森　いずみ　　２　　　　　　深津　絵里　　　１　　小野　真弓　　　２　　　　　　石川　梨華　　　１　　山口　智子　　　２　　　　　　水野　裕子　　　１　　鈴木　紗理奈　　２　　　　　　柴咲　コウ　　　１29　小泉　今日子　　１　　　　　　和久井　映見　　１　　持田　香織　　　１　　　　　　沢口　靖子　　　１　　　小　　　雪　　　１　　　　　　上原　多香子　　１　　熊田　曜子　　　１　　　　　　藤崎　奈々子　　１　　榊原　郁恵　　　１　　　　　　常盤　貴子　　　１　　岡江　久美子　　１　　　　　　持田　香織　　　１　　Ｂ　ｏ　Ａ　　　１　　　　　　市川　由衣　　　１　　名取　裕子　　　１　　　　　　あびる　優　　　１　　松浦　亜弥　　　１　　　　　　高見　知佳　　　１　　片瀬　那奈　　　１　　　　　　渋谷　琴乃　　　１　　木村　佳乃　　　１　　　　　　伊藤　かずえ　　１　　高島　礼子　　　１　　　　　　矢口　真里　　　１　　磯山　さやか　　１　　　　　　水野　真紀　　　１　　井川　遥　　　　１　　　　　　広末　涼子　　　１　　川村　亜紀　　　１　　　　　　こずえ　鈴　　　１　　木内　晶子　　　１　　　　　　松浦　亜弥　　　１　　似鳥　裕子　　　１　　　　　　奥菜　恵　　　　１　　我妻　佳代　　　１　　　　　　Ｙ　Ｏ　Ｕ　　　１　　h i t o m i　　 １　　　　　　瀬戸　朝香　　　１　　酒井　美紀　　　１　　　　　　渡辺　満里奈　　１　　水野　裕子　　　１　　　　　　根本　はるみ　　１　　伊藤　裕子　　　１　　　　　　米倉　涼子　　　１　　中越　典子　　　１　　　　　　鈴木　京香　　　１　　吉井　怜　　　　１　　　　　　永作　博美　　　１　　椎名　法子　　　１　　　　　　眞鍋　かをり　　１　　本上　まなみ　　１　　　　　　小泉　今日子　　１　　田中　麗奈　　　１　　　　　　ケリー・チャン　１　　中山　エミリ　　１　　佐田　真由美　　１　　奥菜　恵　　　　１　　中谷　美紀　　　１　　若槻　千夏　　　１　　吉田　美穂　　　１　　島谷　ひとみ　　１　　鈴木　保奈美　　１　　中野　美奈子　　１　　明石家さんま　　１　　結果は以上の通り。非常に見難いとは思うが、ご容赦頂きたい。集計するだけでも、大変なのよ……。次回、これの総括をしようと思う。

  2004.02.22

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• 打線３

  同一テーマ第３弾は、伝説の『かませ犬』以来……。突然だが、想像して頂きたい。もしも、貴方がロマン・アブラモビッチ級の超絶富豪になって、メジャーの球団を買収したとしたら？一体、どのような打者を揃えるだろうか。※　チェルシー（英国）の新オーナー。　　ロシアの石油王で、豊富な資金力を誇る。　　テリー、ランパード、コール、ブリッジら自国の　　若手を重用する一方、クレスポ、ヴェロン、　　ムトゥ、マケレレといった大物も買い漁った。　　ラウールやロナウドなど特上VIP選手に対して、　　気軽にオファーができるという稀有な存在。前回に出した結論を参考にするならば、理想に近いのは、ボストンとアトランタの打線である。※　数字は得点創造能力。打順は適当。＜BOSTON REDSOX＞１（８）　Ｊ・デーモン　　　　　85.2２（５）　Ｂ・ミラー　　　　　　111.6３（６）　Ｎ・ガルシアパーラ　　117.3４（７）　Ｍ・ラミレス　　　　　141.4５（３）　Ｋ・ミラー　　　　　　89.4６（DH）　Ｄ・オーティズ　　　　97.9７（９）　Ｔ・ニクソン　　　　　100.8８（２）　Ｊ・バリテク　　　　　80.1９（４）　Ｔ・ウォーカー　　　　84.6＜ATLANTA BRAVES＞１（６）　Ｒ・ファーカル　　　　103.1２（４）　Ｍ・ジャイルズ　　　　110.8３（９）　Ｇ・シェフィールド　　145.1４（７）　Ｃ・ジョーンズ　　　　116.3５（８）　Ａ・ジョーンズ　　　　102.6６（３）　Ｒ・フィック　　　　　57.6７（２）　Ｊ・ロペス　　　　　　117.3８（５）　Ｖ・カスティーヤ　　　77.5因みに、世界一に輝いたフロリダの打線は、こんな感じ。得点創造能力ランクは、ナ・リーグの９位だった。＜FLORIDA MARLINS＞１（８）　Ｊ・ピエール　　　　　89.2２（４）　Ｌ・カスティーヨ　　　89.7３（２）　Ｉ・ロドリゲス　　　　88.5４（７）　Ｊ・コナイン　　　　　90.0５（９）　Ｊ・エンカーナシオン　83.6６（３）　Ｄ・リー　　　　　　　102.3７（５）　Ｍ・キャブレラ　　　　47.3８（６）　Ａ・ゴンザレス　　　　70.1（５）　　Ｍ・ローウェル　　　　91.4そして、我らがイチローを擁するシアトルの打線。得点創造能力ランクは、ア・リーグの８位だった。１（９）　イチロー　　　　　　　102.7２（７）　Ｒ・ウィン　　　　　　86.7３（４）　Ｂ・ブーン　　　　　　121.1４（DH）　Ｅ・マルチネス　　　　98.2５（３）　Ｊ・オルルド　　　　　77.2６（８）　Ｍ・キャメロン　　　　78.1７（５）　Ｃ・ギーエン　　　　　55.3８（６）　Ｍ・マクレモア　　　　30.7９（２）　Ｄ・ウィルソン　　　　29.4途方に暮れるほど計算を繰り返してきて、気付いたことがある。リーグ最強の２球団（紅球団）とリーグ中位の２球団（海球団）とでは、何が異なるのか。決定的に違っているのは、爆発的な破壊力と確実性を兼備した中軸打者を擁しているか否か。紅球団には、ラミレスやシェフィールドといった得点創造能力140超の超ポイントゲッターがいるが、海球団にはそれがいない。アブラモビッチとして最初に手を付けるのは、まさにここ。超ポイントゲッターの獲得である。では、誰にオファーを出すべきか。候補は、以下の通り。◆　Ｖ・ゲレーロ（MON⇒？）97.6今季は、椎間板ヘルニアのために２ヶ月も戦列を離れたが、復活を果たせば、十分に140超えは可能である。打撃はもちろん、足も速く、肩も強い。但し、片言の英語しか話せないので、コミュニケーション面での問題をどうクリアするか。◆　Ｊ・トーメイ（PHI）127.3インディアンスから移籍１年目で初の本塁打王を獲得。過去２年も連続で２位と、長打力は計算できる。但し、三振を減らさないことには140超えは難しい。◆　Ｃ・デルガド（TOR）139.9145打点でア・リーグの打点王を獲得。得点圏打率、満塁打率でもリーグ１位の成績を残した。元捕手ということで、小笠原を連想させる。◆　Ａ・ロドリゲス（TEX）140.6ア・リーグのＭＶＰで、３年連続の本塁打王。近年は遊撃手としてＧグラブにも選ばれるようになった。28歳という年齢も魅力。問題は、天文学的な額の年俸だけ。◆　Ｂ・ボンズ（SF）152.5シーズン73本塁打の化け物である。不惑を間近に控えているが、その打棒はまだまだ健在だ。安打数より四球の数が多いという珍しい男。◆　Ｔ・ヘルトン（COR）169.23000打数以上の現役選手の中で、通算打率（.336）と長打率（.615）でトップの成績を誇る。守備も一流。“打者天国”クアーズフィールドを出ると、打率にして１割も差が出てしまうのが玉にキズ。◆　Ａ・プホルス（STL）171.11980年１月16日生まれだから、まだ24歳。今、メジャーで最も三冠王に近い打者である。手首の使い方が絶妙で、広角に打てる。走れず、守れないが、メジャー１年目から平均147.3（ボンズでさえ126.1）という数字を叩き出してきた打棒は、非常に魅力的。あとは、その脇を固める布陣の顔ぶれだ。長打力、確実性、機動力という３要素の平均値が、高い数値を示す選手をどれだけ揃えているか。換言するならば、選手層である。その点で、松井秀喜の95.6という数字は上出来といえよう。数字以外の部分では、Point GetterとChance Makerのバランスも大事だと思う。やはり、本塁打だけでは試合の流れは作れない。キザっちい例えをするなら、薔薇の花束に、霞草は不可欠なのである。イチローやファーカルのように、一発はなくとも得点創造能力100を超える選手もいる。もちろん、故障に強く、年間を通して働ける選手がよい。どんなに素晴らしいポテンシャルを秘めていようが、試合に出れなくては、数字は残せないのだ。そういう意味では、Ｋ・グリフィー、Ｊ・ゴンザレスらは失格である。さあ、理想の打線は思い描けただろうか？

  2004.01.10

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• 打線２

  「最強の打線」とは、何だろう――？来季、読売はシーズン最多本塁打記録を持つ打者を７番に置くという、ふざけた打線を組むようだが、果たして、それは「最強」と呼べるものなのか。個人的な意見を書くなら、答えはノーである。理由は、精神衛生上よくないから。外様の大砲ばかりで、非常に腹立たしい。ローズ、小久保、清原、ペタジーニ、江藤……。“暴君”ナベツネの横暴に寛容なファンでさえも、今回の補強には不快感を露わにしている。生え抜きにしても、読売が育てたという印象は薄い。悪しきドラフト制度下で、完成品を搾取しまくっただけだ。ドリームチームを作りたいのはわかるのだが、あまりに不健康な方法ではないだろうか。バランスが悪いのもマイナスである。桑田は言った。ゴルフをするのに、20万円のドライバーを14本持ってくる人は誰もいない、と。……まあ、プロゴルファー猿は例外なのだろうが。とはいえ、前回で紹介した「得点創造能力」の観点から言えば、塁打数の多い打者を補強するのは理に適っていたりする。とりあえず、2003年のセ・リーグ各球団の得点創造能力ランキングを見てみよう。2003年阪神打線　＝　725.32003年ヤクルト打線　＝　697.72003年読売打線　＝　649.92003年中日打線　＝　632.92003年横浜打線　＝　606.82003年広島打線　＝　589.0阪神は、本塁打こそリーグ５位だったが、安打、二塁打、三塁打、四球で１位となったため、このような結果となった。セ・リーグでは、投手が打席に立つ分、値が低くなるわけだが、阪神の場合は、ムーアの打棒が貢献しているかもしれない（笑）一方、毎晩のように花火を打ち上げまくり、リーグ１位の205本塁打を記録した横浜だったが、意外と数値は低い。これは安打の総数と四球の少なさが原因していると思われる。で、問題の読売打線だが、昨季はリーグ３位の数字を残している。そして、来季はここにシーズン平均108.3のローズと73.9の小久保の加入するわけだ。それに伴い、清水、斉藤、江藤、元木らの出番は激減するだろう。だが、故障者の回復を計算に入れれば、最大750～800もの得点創造能力が期待できる。この数字は、ＤＨ制がないセ・リーグの球団としては、最強と言わざるを得ない。では、海の彼方――メジャーリーグではどうか。この際だから、全球団を網羅してみよう。2003年、はたして地球上で最強を誇った打線とは、一体どこだったのか？　いざ、計算タ～イム。（心の葛藤）うををを、面倒だ～。なにィ、30球団も計算するのか？マジで？　しかし、自分で書き出したことだしなあ。にゃろう、140試合分に換算しなくてはならんのか。ぶつぶつぶつぶつ……。ち～ん。ハイ、できました。それでは、結果発表～（パチパチパチ）。チーム打率順に得点創造能力を見ていくとしよう。因みに、カッコの中は140試合分に換算した値である。＜ア・リーグ＞　　　　　　　＜ナ・リーグ＞BOS　＝　1013.3（875.5）　　 ATL　＝　933.9（806.9）TOR　＝　881.3（761.4）　　　STL　＝　889.3（768.3）MIN　＝　822.6（710.7）　　　PIT　＝　776.0（670.5）K C　＝　787.7（680.6）　　　COL　＝　837.5（723.6）SEA　＝　777.7（672.0）　　　FLA　＝　759.4（656.1）NYY　＝　889.3（768.4）　　　S F　＝　779.4（673.4）ANA　＝　740.3（639.6）　　　A Z　＝　759.8（656.4）BAL　＝　733.6（633.9）　　　HOU　＝　793.1（685.2）TEX　＝　832.7（719.4）　　　PHI　＝　787.9（680.7）T B　＝　723.0（624.7）　　　S D　＝　706.9（610.7）　 CWS　＝　799.9（691.1）　　　CHC　＝　734.8（634.9）OAK　＝　739.6（639.0）　　　MON　＝　704.6（608.8）CLE　＝　695.5（600.9）　　　MIL　＝　751.5（649.3）　DET　＝　608.9（526.1）　　　NYM　＝　619.2（535.0）　　　　　　　　　　　　　　 CIN　＝　675.6（583.7）　　　　　　　　　　　　　　 L A　＝　594.6（513.7）ということで、ＢＯＳとＡＴＬが驚異的な値を示した。まあ、この２球団に関しては言うことなしである。長打力もあり、出塁率も良い。一方で、シーズン最多敗戦の記録に迫ったＤＥＴ、大型補強が空振りに終わり、不振を極めたＮＹＭ、貧打で野茂や石井を泣かせまくったＬＡなどは、打線の構成に再考の余地ありといえる。さあ、入れ替わりの激しいメジャーリーグ。来季はこの構図がどのように変化するのか。次回に続く。

  2004.01.06

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• 打線

  『ベースボールレコードブック』も出たことだし、一部のマニアに好評な、統計ネタでも書こうかね。皆さんは“得点創造能力”というデータをご存知だろうか。これは、以前にも紹介したビル・ジェームズ（ＧＭを参照のこと）が、『野球理論』の中で明かした公式で、打率や盗塁の数よりも、四球数や長打の数値を重視した考え方である。アスレチックスのビリー・ビーンＧＭなどは、この公式を元に補強を行っている。得点創造能力　＝（安打＋四球）×塁打÷（打数＋四球）さて、今回はこの式を使って、今季のオリックス打線をチェックしていこうと思う。まずは、比較する意味で、リーグ最強を誇ったダイエー打線から計算してみよう。2003年ダイエー打線　＝　822.8城島　健司　＝　127.2（15.5％）井口　資仁　＝　126.7（15.4％）松中　信彦　＝　118.6（14.4％）バルデス　　＝　97.9（11.9％）村松　有人　＝　82.8（10.1％）それでは、今季のオリックスはどうだったか。谷、塩谷が自己最高の成績を残し、ブラウン、オーティズ、山崎を加えた打線は、リーグ２位のチーム打率を残している。2003年オリックス打線　＝　717.4谷　佳知　＝　120.2（16.8％）ブラウン　＝　100.4（14.0％）オーティズ　＝　77.7（10.8％）塩谷　和彦　＝　63.3（8.8％）山崎　武司　＝　51.9（7.2％）ををう、100以上も違う。しかも、谷以外は随分と数値が低い。一体、何故？　こうなると、他球団の数値も気になる。そこで、チーム打率順に計算してみた。2003年近鉄打線　＝　752.92003年西武打線　＝　730.32003年ロッテ打線　＝　690.12003年日ハム打線　＝　675.2見ての通り、西武と近鉄はオリックスよりも数値が高い。これは、両球団にカブレラ、ローズという大砲がいるためだ。しかし、ダイエーに限っては、ウチよりも本塁打数が少ない。では、この差は何なのか。それは、出塁率と三塁打の差なのである。ダ：オ　＝　.369：.338（出塁率）、33：18（三塁打）。今季、オリックスは打撃成績こそ伸ばしたものの、淡白な攻めが目立った。何の策も講じずにあっさり三振、併殺打の嵐……。相手の先発がいつまでもマウンドに登ったまま、という状態を何度目にしたことか。計算していて思ったのは、四球の少なさである。リーグ最多のローズが98、２位の小笠原が93もの四球を記録しているのに、オリックスではブラウンが62、谷ですら58しか稼いでいない（もっとも、彼は早打ちが得意なタイプなので仕方ないのだが）。３割を打った塩谷が、こんなに低い数値なのも、37という四球数が少なからず影響していると思われる。来季のオリックスには、ダイエーから村松が加入する。機動力（13三塁打）を持つ彼の加入は、非常に心強い。が、不安な点もある。彼もまた、四球で出塁率を稼ぐタイプではない。しかも、彼は年間を通して好成績を残した実績が少ない。来季もまた、今季のような数字を残せるかはわからないし、再び故障によって戦線を離脱するかもしれない。打線とは、ケミストリー（化学反応）である。いかに９人が多くの得点を創出していくか。その点で、オリックスの打者には意識改革が必要だと思う。2004年、伊原新監督の手腕や如何に。

  2003.12.28

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• 応援歌２

  我ながら、面白い夢を見ると思う。今日などは、珍しく風邪でほぼ１日寝込んでいたものだから、随分とたくさんの夢を見た。寒かったからなのか、どの場面にも雪があった。最後は、雪の惑星を飛行船で旅した。さあ、年末である。今年１年を振り返る、ランキング系の企画が目白押しの季節だ。そこで、思い返してみた。2003年、最も笑えた夢は何だったか？場所は新宿・歌舞伎町――。地下の怪しげなキャバクラに入ろうと、迷っている自分。そこに、サラリーマンの集団が登場し、店に入っていく。「今だ！」流れに便乗しようと、彼らの後に続いた。店内には、時代錯誤なＬＤ式のカラオケが置いてあった。我々は、その付近の席へと案内された。女の子を待っている間、ふと店内を見回すと、向こう側のカウンターに思わぬ顔があったので驚いた。なんと、野茂英雄とイチローである。しかも、２人は別々の客らしい。近くに座っているのだが、目線を合わせようとしない。千載一遇のチャンスだし、サインでも貰おうと思ったが、彼らのプライベートを尊重しようと自重した。そのうち、店内で「野球をやりたいね～」という声が聞こえた。話題の源は例のサラリーマンたちである。突然の展開だったが、近くの公園で野球をすることになった。女の子も混じって、野球を楽しむ我々。因みに、野茂とイチローは参加していなかった。空は薄暗く、グラウンドは無機質なグレーだった。どれだけの時間が過ぎたのだろう。ふと、視界の端っこに、タキシードを着た男の姿が映った。グラウンドの外から、息を切らしながら走ってくる。そして、彼は叫んだ。「そろそろお時間なんですけど、延長の方、いかがですか～」しかし、彼の願いも空しく、我々は解散することに。店に戻って清算しようと、帰り支度を始めた。そこで、ボーイは言った。「皆さん、帰りは遠いので“馬”を用意して来ました」瞬時に浮かぶ、ツッコミが３つ。１）　店の近くの公園ではなかったのか？２）　今まで馬なんて、どこにもいなかったじゃないか。３）　そもそも、何故に馬？まあ、そんな細かいことは置いといて、馬に跨り、店を目指す。あのモチッとした肌触りは、グァムに行ったとき以来だ。そんなことを考えていたら、はぐれた。流石は真性の方向オンチである。夢の中でも迷うとは。辺りは、砂埃が舞う「荒野」という感じだった。１本道で、両側に工場らしき建物が並んでいる。人の気配は、全くなかった。その中を全力で駆けていくこと数分、砂埃の中に、人影らしきものを見つけた。次第に姿が露になっていく。どうやら、極彩色の衣服を纏っているようだ。一体、誰だ――？宇都宮隆（ＴＭＮ）だった。彼は、ヒッチハイクをしているらしかった。見ると、手には行き先を告げるボードが握られている。馬を駆りながら、そのボードを垣間見る。「上海」!!!?流石に馬で海を渡る気にはなれないので、気付かないフリしてスルーした。そして、目が覚めた。……意外と長かったな。本日もまた、応援歌ネタなのだが、では、気を取り直して。♪　チャンスに弱い　我らが落合（中日時代ね）　　三振　ゲッツー　トリプルプレー～これは、小学生をやっていた頃に我々が歌っていた替え歌だ。『マグマ大使』のテーマでどうぞ。本当の歌詞はこちら。♪　三冠落合　広角打法　レフトへライトへ　ホームラン～替え歌といえば、こんなものもある。これは、赤星が星野仙一特番で歌っていた、金本の応援歌である。♪　メシは割り勘　金本　リボ払い　　それ行け　偽善者金本　ケチだ金本～酷いことを言うヤツだ。ケチといえば、吉田義男などは、自分のタバコに１本ずつ名前を書いていたという伝説があるが。因みに、本当の歌詞はこちら。♪　打球が　ライトスタンドを　ひとまたぎ　　　それ行け　チャンスだ金本　燃えろ金本～ダイエーからは２つがエントリー。♪　パシリのスペシャリスト　グラウンドでパシらされ　　電光石火で　次の回交替だ～これは誰のかというと、山口裕二の応援歌なのだが、本当の歌詞を見ても、打撃には期待されておらず、可哀想だったりする。♪　走りのスペシャリスト　グランドの砂を蹴り　　電光石火だ　風を切りホームまで～続いては、島田誠の替え歌を紹介しよう。これは、どうやら引退後に考案されたものらしい。♪　鍛え抜いたオヤジギャグ　吉本片足つっこんで　　２年で切られたのに　今ではちゃっかり守備コーチ～彼のダイエーでの活躍といえば、いつぞやの試合で、サヨナラ死球を受けたことが思い出される。しかし、彼はその代償に骨折した。やはり、笑いの神が？♪　鍛え抜いたその足で　ダイヤモンドを駆け抜けろ　　狙うぞ次の塁を　ベテランの足だ行け島田～ラストは、中村ノリの義理の兄・村上の替え歌である。♪　10・19の頃から　干されっぱなしだ嵩幸　　かみさんは　アン・ルイスのバックダンサーだ～出たよ、プチ雑学系の応援歌。村上といえば、バレーボールが球界一上手かった。ああいう運動会系の企画、やらなくなって久しい。もう数字が取れないとの判断なのか……。♪　打つぞパワーだ　若武者嵩幸　　　遥か彼方の　スタンド越えて～ま、今日はこんなところで。夢ネタの方が長かったなあ。

  2003.12.16

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• 応援歌

  フセインが捕まり、ミランが負けた。そんな週末を新宿～下北沢で過ごした。この２日間で行った場所。ボウリング場、ゴルフの打ちっ放し、バッティング・センター、おでん屋、飲み屋、会社（仮眠）、雑貨屋（数件）、民俗音楽の店、焼肉屋、カラオケ、コンビニ（週刊少年ジャンプを購入）。そして、また会社である。仕事を一段落させて、今はこうして日記を書いている。さあ、本日のテーマは「応援歌」である。♪　右投げ左打ち　実家はヒノキ風呂～　　リ～フォ～ム　リ～フォ～ム　片岡篤史～こ、これって応援歌なのか？というのが、今日の入り口である。「かっ飛ばせ」とか「勝利の一打」とか、色々あると思うのだが。応援歌とは、スタンドから選手へのメッセージであるはずだ。なのに、基本情報とプチ雑学だけを歌っている。はっきり申し上げると、マ・ヌ・ケ☆である。さらにマヌケ☆なことには、先日、この歌に片岡自身からクレームがついたのだ。契約更改後の会見で、彼はこう述べた。「僕の応援歌で『実家はヒノキ風呂～』というのがあるでしょ。　あれをやめてもらいたいんですよ。実家、普通のお風呂なんで。　やっぱりいい気はしないんでね」いわば、逆応援歌。しかも、プチ雑学もガセネタだったとは、何とも恥かしい話だ。この情報を信じていた自分もまた、恥かしい。 そもそも、何故にこのような歌詞になってしまったのか。どうやら、日本ハム時代の1998年、京都府相楽郡の実家を改築し、サウナ付きの風呂を設けたのがキッカケらしい。その模様がテレビで紹介されたことで、誤解が生じたようだ。正しくは、サウナ＝ヒノキ、風呂＝ステンレスなのだとか。ま、それはさておき。思い返してみると、阪神の応援歌は変わっているのが多い。♪　投げろ　井上　マンモスの　声援受けて三振奪取　　　若きエースだ　井上貴朗～これは1996年のＣＤに入っている応援歌なのだが、マ、マンモスの？　あァ、マンモススタンドってことか。♪　遠い星からやってきた　リベラ　　　不思議な光を投げる　鉄腕リベラ～この歌詞は1999年に作られたものらしい。遠い星からやってきた？　何星人なんだ？ふ、不思議な光って八つ裂き光輪（ウルトラマンの技）とか？♪　鋭い目　鋭い爪　鋭い牙　　伊藤は無敵　伊藤は無敵　無敵の虎だ～これもリベラと同年の作。なんか、あまりにも淡白な顔つきをしているから、こんな歌詞にしたのかなあ、などと思いつつ。♪　ヤマを張り　狙い打ち　意外なところでホームラン～誰の応援歌かというと、弘田である。関東限定の歌詞らしい。「ヤマを張る」のと「狙い打つ」のって、両立できる言葉なのだろうか？　どうでもいいが、スタンドの期待度が微妙だ。♪　遥か母国　大地で育んだ　そのパワー今ぶつけろ　　　メシア　フロム　ＵＳＡ～で、これが誰かというと、アリアスなのである。ん～、理論的には間違っていないのだが、何となく痒い。救世主って……。♪　フィールド駆け抜ける　セ界一のスプリンター　　期待と夢乗せて　走れ　赤い彗星～察しがつくとは思うが、赤星の応援歌である。イメージにも合っているし、カッコ良い。ただし――、パクリなのが、玉にキズ。“赤い彗星”といえば、シャア・アズナブルだろう。うををを、大佐――ッ！　『機動戦士ガンダム』において、彼よりもイケてるキャラは、ほぼ皆無と断言していい。ジオン軍のエースパイロット、アムロの宿敵――。♪　シャア！　シャア！　　て～れ～れ～れ～れっ、ぴやあ～　　今はいいのさ　全てを忘れて　一人残った　傷ついた俺が 　　この戦場で　後に戻れば地獄におちる 　　シャア！　シャア！ 　　 　　ビーム輝く　フラッシュバックに　奴の影 　　シャアシャアシャア（ててってて～）　　　シャアシャアシャア 　　流した血しぶき　後で後で拭け　　　狙い定める　俺がターゲット 　　シャアシャアシャア（ててってて～）　　　シャアシャアシャア 　 　　今はいいのさ　全てを捨てて　一人残った　屍の俺が 　　この戦場で　もがき苦しむ地獄の炎 　　シャア！　シャア！ 　 　　ビーム輝く　フラッシュバックに　奴の影 　　シャアシャアシャア（ててってて～）　　　シャアシャアシャア 　　一人で死ぬかよ　奴も奴も呼ぶ　　　狙い定める　シャアがターゲット 　　シャアシャアシャア（ててってて～）　　　シャアシャアシャア 　 　　ビームきらめく　雲を裂く　生きて見つめる～　　（ピコピコピコ……てれっ）イメージに合わないテーマ曲である。その名も「シャアが来る」！　も、もっと考え…ぐふぅ（吐血）。個人的に、シャアが最も輝いていたのは、クワトロ時代だと思う。『機動戦士Ｚガンダム』第13話でのこと。彼はこのシリーズ、ジオンの”赤い彗星”という素性を隠し、エゥーゴのクワトロ・バジーナとして戦っていたのだが、次第にその正体がバレていって……。カミーユ「もしそうなら、それは卑怯ですよ。　　　　　シャア・アズナブル、名乗った方がスッキリします。　　　　　どっちなんです。教えて下さい」ハヤト「お認めになってもいいのではありませんか？」クワトロ「今の私はクワトロ・バジーナ大尉だ。　　　　　それ以上でもそれ以下でもない」カミーユ「歯、くいしばれ。そんな大人、修正してやる！」バキィ！若造に殴られ、スローモーションで倒れていくクワトロ。その瞳からは、一筋の涙が零れ落ちていった。クワトロ「これが若さか」うっきゃ――、シヴ――イ！池田秀一の声がハマり過ぎている。この声って集英社『聖闘士星矢』のミロと同じなのだよ。蠍座の黄金聖闘士。あァ、蠍座で良かった＼(^o^)／……あう？　話がどうしようもないところに逸れてしまった。ということで、今日のところはこれにて終了である。

  2003.12.14

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• 球場

  火曜日（この時点で既に日記ではない）、ＣＸ『ジャンクＳＰＯＲＴＳ』を見ていたら、ジョッキーの後藤浩輝が出演していて、なかなか面白いことを言っていた。今年９月、フランス・ロンシャン競馬場で行われた“ムーラン・ド・ロンシャン賞”でのことだ。後藤の駆るローエングリンは、大外からのスタート。序盤から先頭に立ち、有利にレースを進めていった。ゴールまであとわずかという所で交わされてしまったが、見事、２着でフィニッシュしたのだった。だが、本番前にこの快挙を予想できた関係者は皆無だった。なぜなら、このコースは内枠が絶対に有利だからだ。後藤が後から新聞を見てみると、内枠には強豪馬がズラリ。随分と露骨な謀略だと痛感したのだとか。フランスのレース運営というのは本当に強引で、この他でも、例えば地元の馬で重馬場が得意なタイプが出走する時には、なぜか大量の水を撒き始めるなど、邪道の極みを尽くしているらしい。いわゆる、ホームアドバンテージ。プロの世界において本拠地が有利なのは、単にファンの声援が多いというだけではないということだ。今年７月、ミネソタ・ツインズの本拠地メトロドームの元管理人は、接戦となった試合の終盤に自チームの打球が遠くへ飛ぶように空調を調節していたことを地元紙に暴露した。その間、ツインズは1987年と91年の２度、世界一の座に輝いている。……絶対にやってるよ、東京ドームも。などとは書いてみたが、別に読売を非難しているわけではない。我がブレーブスも、昔はいろいろとやっていたのだ。というわけで、本日は久しぶりに阪急の話をしよう。舞台は西宮球場。古き良き時代のエピソードである。阪急が黄金時代を築いた（主に）1970年代、チームには２人のサブマリンがいた。そう、山田久志と足立光宏である。彼らの芸術的な投法を前に、他球団の強打者は手も足も出なかった。それだけ、実力が秀でていた。もちろん、それもあるだろう。しかし、その裏には球場が生み出す“ある効果”の恩恵もあったはずだ。まず、マウンド。どの球場と比べても、西宮球場は低かった。地面すれすれから浮き上がるような軌道を描く、２人の球筋を生かすためだ。そして、バッターボックスのライン。通常の幅よりも２～３cmほど太かったらしい。下手投げの場合、どうしても横変化の球が多くなる。それを計算して、外のスライダーが遠く見えるようにと工夫を凝らしたわけだ。もっとも、この作戦は東映の大杉勝男に見破られているが。1970年、彼が初めて本塁打王を獲得した時のことだ。大杉はいつも、ラインからの距離を基準に足場を固めていた。それゆえ、足立のスライダーがどうしても打てない。それが最終戦になって、ふと気付いてしまったのだ。ヒントとなったのは、王貞治だった。川崎球場で「マウンドが近いから測り直してくれ」と抗議したところ、本当に30cmも近かったことがあった。ハッとしてラインを見ると、明らかに太い。そこで、大杉はいつもよりライン際に立ち、そして見事、タイトルを決定づける一発を放ったのだった。西宮球場は、何も下手投げにだけ優しいというわけではない。“伝説の助っ人”ダリル・スペンサーがいた頃は、こんな作戦を講じていた。なんと、左中間の丸くなっている部分を直線にし、３ｍほど前に出したのだ。しかも、誰にも気付かれぬよう、夜中に。右の大砲だったスペンサーは、意図してそこを狙えるため、有利になると踏んでの突貫工事だった。そういえば、スタンドに初めてスパイを配置したのも阪急だと言われている。まさに西宮ワンダーランド。これらの妙案を実行に移した西本幸雄監督には、本当に頭が下がる。卑怯と思われようが、勝てば官軍なのだから。

  2003.12.03

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• オフ２

  来季から北の大地へと本拠を移す地味系球団が、このオフに限っては、やたらと話題を振りまいている。らしくないじゃないか、日本ハム。では、思いつくままにその動きを追ってみよう。＜元メッツの新庄を一本釣り＞守備力と話題力を併せ持つ、宇宙貴公子。その経済効果は200億円とも言われる。入団が有力視されていた横浜、ロッテの相次ぐ断念が、日ハム入りをアシストしたような感じ。入団の決め手が、「最初にオファーをくれた球団」だっただけに、「本人は在京球団を希望しているから」という理由で、早々に獲得を諦めたオリックスはもったいなかった。＜浦学の須永を強行指名＞ドラフト前は「読売以外なら社会人に」と頑なな姿勢を貫いていたが、指名後はあっさりと態度を軟化。紙面には「グラリ」なんて文字が躍る今日この頃である。日ハムは、どうやら提携関係にあるＤバックスへの留学手形をチラつかせているらしい。＜大型補強へ見境なし＞その他、退団の噂を聞きつけるや飛びついた大物は数知れず。松井稼が五輪の魅力に負けそうになると、争奪戦への参戦をほのめかし、村松との交渉では、どこよりも金を積み上げた。10月の段階では、ローズの調査も行っていたようだ。……その金は、一体どこから工面するつもりだったんだ？違う、違うよ。日ハムは、そんな球団じゃなかったはずだ。もっと地味～な感じが素敵なチームだっただろう。＜横浜からの新戦力＞日ハムはこのオフ、横浜から金銭で中島、野中とトレードで横山を獲得。中島といえば強肩だけがウリのネタ系捕手。星野のボールを素手でキャッチしたという伝説も懐かしい。一方、横山は“大魔神の後継者”と期待されながら、メンタルの問題でチャンスを逃し続けてきた感がある。1999年のオフには「来年、結果を残したら、22番を下さい」と宣言したものの、あえなく不発に終わった。……日ハムは、金や20歳の有望株と引き換えに、パ・リーグを濃くしようと考えているに違いない。＜揺れるマスコット問題＞はたして“桃色珍獣”ファイティーはどうなってしまうのか？札幌移転に伴う新マスコットの発表から勃発したファイティー絶滅問題。先日、一応の結果が下り、来季は東京ドーム限定で出番をもらえることになった。因みに、新マスコットの名前はまだ決まっていない。……ネット上では「エロズリー」と呼ばれているが。＜札幌ドームに洗濯機を＞ 日ハム選手会は、来季から本拠となる札幌ドームのベンチ裏に自前の「コインランドリー」を設置したいと考えているようだ。元選手会長の岩本は「練習とか試合中に洗濯機を回しておけば楽になる。皆で金を出しあって洗濯機を買って、置かしてもらえないか交渉したい」と真剣に訴えていた。うんうん、これだよ。この貧乏臭さこそが日ハムだよ。＜札幌での住宅に苦悩する微妙な選手たち＞新天地での生活に中堅選手らは戸惑っている。何しろ、２軍は千葉の鎌ヶ谷に残るのだ。それゆえ、安心してマンションを借りることができない。岩本などは「ホテル暮らしで様子を見ながら生活することになりそうだ」とコメントしていた。……うみゅ～。後ろ向きだが、お説ごもっとも。新選手会長の小笠原には理解できないキ・モ・チ。＜阿久根に“いい人査定”＞かつて、アマ時代に朴賛浩から本塁打を打った男が、わけのわからん査定で100万円のボーナスを勝ち取った。なんと、それは新庄に対して快く背番号１を譲った分の手当てなのだという。「新庄さんならいいじゃないですか。奥さんとも、１は細いから、僕にはあまり合わないかなと言っていた。丸い数字（結局９になった）がよかったので」フォローもバッチリ。それを聞いた新庄、関係者から阿久根の電話番号を聞き、感謝の意を伝えたのだという。因みに、阿久根は動物にも優しい。1999年にはヤンバルクイナなどの希少種の保存のため、１盗塁につき１万円を寄付するという誓いを立てている。……この際、プロ入りして盗塁０ってのは、忘れておこう。大事なのは、気持ちだから。

  2003.11.27

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• 目

  ♪　目と目で 通じ合う　かすかに　ん　色っぽい　　目と目で 通じ合う　そういう 仲になりたいわ～んん～、この選曲にあまり意味はないのだが、今日はプロ野球選手の「目」について語りたい。“史上最強の指名打者”エドガー・マルチネス（SEA）は、生まれつき目に障害を持っている。まっすぐ前を見た時に右目が外側を向いてしまう。いわゆる、斜視だ。視力に問題はないが、左目より右目の筋肉が弱い。だから、目には人一倍、気を遣っている。毎日、欠かさず行うのが目の運動だ。円や四角形などの記号が書き込まれたカードを様々な角度、距離で見て目の筋肉を動かす。そして、試合開始15分前には、特製バッティングマシンから飛び出す時速200kmのテニスボールに書かれた数字を読み取って動体視力を養う。首位打者を２回、打点王を１回獲得した実績を持ち、不惑を迎えた現在も、チームの主軸として活躍する大打者。その栄光の裏には、このような努力が隠されているのだ。※　因みに、元オリックスのカルメロ・マルチネスは、　　エドガーの従兄弟。1984年にはパドレスで　　リーグ最多の10犠飛を打ち、優勝に貢献している。　　翌年には自己最高の21本塁打72打点を稼ぐも、　　日本では不発に終わった。高速で動く物体を見極める――。実はこのエクササイズ、打撃の向上に効果覿面である。テレビ朝日『プロ野球ってナンだ!?』という番組では、過去にこんな面白い実験を行っている。＜仮説＞どんなに速い球でも、慣れさえすれば打てるようになる。＜方法＞都内少年野球チームに所属する小学生の中から、数人を選抜し、時速150kmのマシンをひたすら打たせる。そして、１ヶ月……。舞台は秋風が肌に冷たい西武ドーム。小学生に立ちはだかるは、50歳を超えてもなお、時速140kmの豪速球を投げる“人生先発完投”村田兆治。勝負は10球。球種はストレートのみで、予め投げるコースを宣言する。＜結果＞前回の企画で、ソフトボール日本代表の宇津木麗華に完敗してしまった村田、またしても敗北。パワーはまだ備わっていないものの、小学生は見事、村田の直球を外野へ運んだのだった。∴　仮説は正しかった。イチローは子供の頃から、行き交う自動車のナンバーを見て、右側２桁と左側２桁とを計算して遊んでいたという。彼の常人離れした動体視力も、そんな幼い頃からの習慣から養われたのだろう。「目」に関するネタをもう１つ。皆さんは、自分の「利き目」がどちらか、知っているだろうか？人間がなぜ２つの目を持っているか。それは、それぞれの視線をわずかにずらして、目標を立体視するためだ。この時、脳では左右どちらかの目から入る映像を無意識に優先し、もう片方を抑制している。利き目とは、脳で優先される方の映像を送ってきた目のこと。では、それを測定するにはどうすればいいか。＜ローゼンバッハ法＞両目を開いて目標を見ながら腕を伸ばし、指先でそれを指す。そのまま、指は動かさずに左右の目を交互に閉じる。左目を閉じても目標はずれないが、右目を閉じると指先が目標から離れる場合は、右が利き目である。＜ホールテスト法＞２人１組で測定するやり方で、トイレットペーパーの芯など目の大きさほどの穴が開いた道具を使う。測定者は腕を伸ばし、この穴を通して検査者の顔を見る。検査者から見て、右の目が見えたなら、利き目は右である。利き目は多くの場合、利き腕と連動しているらしい。ただ、アメリカの一部の研究では、利き腕は右なのに利き目は左（またはその逆）という「交差性」を持つ選手が、打撃をする上で有利なのでは、という報告がある。例えば、利き目と打席がいずれも右という打者の場合、バッターボックスに立ったとき、右目の視界は鼻柱に邪魔され、狭くなってしまう。片岡篤史は昔、こんなことを言っていた。ガニ股で極端なオープンスタンスが印象的なツル。これには理由があって、彼は利き目が左目なので、視界が狭まらないように、体を開いて構えているのだとか。※　因みに、片岡の「ツル」というニックネーム。　　ＰＬ時代から呼ばれていたそうだが、これは片岡鶴太郎は　　全く関係なく、首が長いことから付けられたらしい。ここで、自分のことを考えてみる。利き腕＝右、利き目＝左。交差性を持っている。しかし、片岡と同じ右投左打。構えはオープンスタンス。1996年後半のイチローに近い。……一応、理に適っているのかな？そういえば、昨日、歌舞伎町のバッティングセンターに行ったのだが、面白いエピソードがあった。どうやら、順番待ちの連中が、いろいろと批評してくれていたらしいのだ。「あの肌の白さは北海道出身だよ」「あるいは、白血病にかかっているんだよ」「結構（バットに）当たっているなあ」「あんなに軽く打っているのに、よく飛ぶなあ」「オレも人生、あれくらい軽く生きたいよ」「きっと野球をやっている人なんだよ」「フォームが日本にいた頃のイチローみたいだね」などなど。連れが教えてくれたのだが、なかなか好き勝手なことを言ってくれる。北海道出身というのは惜しい。住んだことはないが、本籍は札幌だ。しかし、白血病ではない。そして、軽くスイングしているように見えるかもしれないが、実はそうでもない。あれを見て、人生を軽く生きていると思われるのもどうか。しかも、野球をやっている人でもない。中学生のとき、１年だけ部活に入っていたが、右打ちだった。左打ちを覚えたのは、大学生になってからだ。面白いことに、左に転向してしばらくすると、夢の中でも、いつの間にかその姿が定着してしまう。「日本にいた頃のイチロー」というのも、甘い。評論家ぶっている割には、アバウトな情報である。イチローは毎年、マイナーチェンジを重ねているため、マニアックなファンならば「○○年のフォーム」と分析するはず。まあ、しかし……、だ。久しぶりに新鮮な笑いを提供してもらった。クソ評論家ども、グッドラック。

  2003.11.23

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• オフ

  たまには、季節の話題を取り上げようかなあ。……などと思ってしまう今日この頃。さて、プロ野球はオフ真っ盛り。そんな中、紙面を賑わせているのは、いわゆる“人事”の話題ばかりなのだが、賢明な読者諸君はお気付きだろう。この日記は、ひねくれている……。ということで、今日のテーマはこちら。「シーズンオフならではの挑戦」――。ここ10日間で報じられたトピックスから、選手たちの微笑ましい一面をお届けしよう。まずは、こんな記事から。○　古木“安室ダンス”で失策減らす（デイリー）横浜の古木克明外野手（23）が、早ければ来春の沖縄・宜野湾キャンプで、沖縄・アクターズスクールに入校することが14日、明らかになった。プロ野球選手としては超異例の“ダンストレ”でリズム感を養い、守備難の克服を目指す。 発端は峰岸球団社長の一言だった。「守備にはリズム感が必要。エラーが多い古木は、　ダンスを習ってリズム感をつけるべき」今季は22本塁打を放ちながら、リーグワーストの20失策を犯した若き大砲に、驚きの“矯正計画”を提案した。これに一役買おうというのが、横浜のキャンプ地の沖縄・宜野湾市内にある沖縄・アクターズスクール。過去に安室奈美恵、SPEEDらを輩出するなど、歌やダンスを通じて人間性を磨くことを目標とする、全国屈指のアイドル養成所だ。過去に、お笑い芸人が同校の短期レッスンを受けたことはあるが、野球選手の入校は例がない。「昔からラジオ体操についていくのがやっとだった」とダンス経験のない古木には、小、中学生対象の初心者向けレッスンが用意される予定だ。沖縄・宜野湾での秋季キャンプでは、守備面の強化に取り組んでいる。今季は内、外野を兼任していたが、来季は外野一本でレギュラー獲りを狙う。それだけに「はっきり言って踊るのは恥ずかしいけど、守備に繋がるのなら」と、未知なる世界に興味津々の古木。さらなる飛躍のため、プライドを捨てて踊りまくる。……。興味津々というよりは、嫌々といった感じだが。踊りまくるんだ……。プライド捨てて……。しかも、小・中学生が踊るようなダンスを。はたして、守備に繋がるかどうか。所詮は球団社長の思いつきだし。プロに入るまで、まともに守備の練習をしたことがないという古木。下手なのは当然である。思うに、守備の上達に近道はない。踊るよりも、数をこなした方がいい気がするのだが。かの名手・宮本慎也は、誰もいない夜の校庭でボールを持たずにひたすら練習を積み重ねたという。いわば、シャドウ・ピッチングならぬシャドウ・守備。古木にも、このような努力が必要なのでは？因みに古木、昨年までは選手名鑑に「サザンや福山の歌が好き」だと書いておきながら、今年は趣味が「映画鑑賞」だけになっていた。これには何か意味があるのだろうか。○　広島“地鶏トレ”は企画倒れ!?　　　鈍い鶏はもうケッコー（スポニチOSAKA）地鶏トレで守備力アップだ。アイデア野球で来季の巻き返しを狙う広島が、秋季キャンプで日南名産の地鶏を使った練習メニューを考案。７日、ハプニングに見舞われながらも東出、福地が試しにチャレンジした。山崎守備走塁コーチ発案のユニークトレ。ネットで囲まれた約10畳のスペースに地鶏５羽（雄１羽、雌４羽）を放し、低い姿勢で捕獲する。「足腰よりもフットワークをよくするのが狙い」と同コーチ。鶏トレといえば映画『ロッキー』でＳ・スタローン扮するロッキー・バルボアが行ったシーンが印象深い。ただし、誤算はあった。オリの中で育った地鶏のため動きが予想外に鈍く、コーチ陣をあわてさせる場面も。東出は「打球はどっちにバウンドするかわかりませんからね」と話しながらも「僕らより鶏を鍛えた方がいいんじゃないですか」本格導入には、地鶏が俊敏に動く対策が必要だ。チームからの要請を受け、選手宿舎の日南第一ホテルが市内の養鶏場から手配した。気になるのは地鶏の運命だが、瀬戸山支配人（41）は「養鶏場からは、煮るなり焼くなりお好きに……と言われましたが、可哀想なので従業員が飼うことにしました」……アホ？アイデア野球とは言いつつも、結局はパクリなのである。山崎コーチは、おそらく前夜にでも『ロッキー』を見たに違いない。それにしても、東出め。上手いことを言う。○　堀内、プチ整形指令……「威圧する顔になれ」（夕刊フジ）秋季キャンプ中の巨人堀内監督が、投手陣再建への“秘密兵器”に「プチ整形」を求める仰天指令を出した。現役時代には悪太郎と呼ばれ、「投手は打者を威圧しないとダメ」という持論を持つ堀内監督だけに、ピッチャーも外見からといったところ!? 第３クール最終日の11日、ブルペンで若手投手たちの投球を見守った堀内監督は突然「ダメだな」と落胆の表情を浮かべた。するとその直後、「やっぱ、顔を変えないとダメ」と仰天指令を出したのだ。 このなんとも“屈辱”の指摘を受けたのは、来季５年目を迎える佐藤。プロ４年間で一軍登板１試合のみの佐藤だが、今キャンプでは第１クールから「あのクセ球を左打者は嫌がるだろうなぁ」と、堀内監督の目に留まった。 それ以来、今や投手陣再建のための「秘密兵器」として首脳陣の期待を一身に集めている左腕に、まさかの「整形」指令。堀内監督は、来季活躍するためには「もっとキレのある顔にしろ!!」というのだ。 この期待の裏返しともいえる仰天指令が出されたことを、当の佐藤に直撃すると「ええっ～、顔ですか？　こればっかりは仕方ないですよ」と困惑気味。堀内監督が具体的に「顔にキレ」を求めていると畳みかけても、「う～ん、反論はありません……」と答えるのが精いっぱい。 「あまり中継ぎで使いたくないタイプだな」（堀内監督）と、来季の先発ローテーション入りさえも視野に入ってきた佐藤に、まさかこんな“壁”が立ちはだかろうとは本人も思っていなかっただろう。 もっとも、ひと昔前までは女性の専売特許だった整形も、今や男にとっても当たり前の世の中。特に二重まぶたにしたり、小顔にしたりといった「プチ整形」は、一種の社会的なブームなっているほど。 「期待されているのはヒシヒシと感じる。（期待に）応えられるよう頑張りたい」と話した佐藤だが、手っ取り早く指揮官の要望に応じることができるプチ整形に走れ――。……まあ、真偽のほどはともかく。ツッコミ所満載な記事である。キレのある顔って一体？具体的どころか、漠然としすぎていて、わかりにくい。そもそも、堀内は自分の顔にキレがあると思っているのか。一方の佐藤も、いい年（1977年生まれ）なのだから、もっと味のあるリアクションをして欲しいものだ。……マスク着用で登板してみるとか。あ、それじゃ一茂と変わらんか。

  2003.11.16

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• 帰化

  随分と前のことだが、駅のホームを歩いていて、驚愕の見出しを発見した。「巨人」「ローズ」「帰化」な、なにィ――ッ！……まあ、噂の域を出ないとは思うのだが、キヨスクからビッシビシと伝わってくる存在感が凄い。ラモス瑠偉、呂比須ワグナー、三都主アレサンドロ、そして、マルクス・闘莉王・ユウジ・ムルザニ・田中。やはり、この仰天プランが実現した時には、ローズも何やらカッコ良さげな漢字になってしまうのか。そんなことを考えていたら、ふと思い出した。そういえば、彼はヘルメットだのバイクだのに、自分の名前を書いていたではないか。（デカデカと）『狼主』その暴走族的なセンスのせいで、かつてローズは、愛車で球場に向かっている途中、警察に職務質問されてしまったことがあるという。まあ、それは置いといて。帰化には２種類の目的がある。（１）外国人枠による出場制限をなくすため。（２）国の代表として、国際大会に出場するため。野球界において“帰化”といえば、中日の郭源治、ロッテの荘勝雄、三宅宗源が思い浮かぶ。そう（１）のパターンである。しかし、ある噂によると（２）のパターンで帰化した日本人投手がいるという。門奈哲寛（元読売）。松井秀喜が入団した、1992年のドラフトで２位指名を受けた左腕である。彼は今、野球クロアチア代表なのだとか。昨年までオランダでプレーしていたという門奈、その実力が認められてのことらしいが、全くニュースにならないというのも……。腐っても、元読売なのに。1993年６月９日、金沢。ヤクルトの超新人・伊藤智仁がリーグタイの16三振を奪いながらも、篠塚利夫のサヨナラ弾によって夢砕けた、あの伝説の一戦――。読売の先発は、門奈だった。Ｓ　０００　０００　０００　０Ｇ　０００　０００　００1x　１この試合、伊藤智は神がかったような投球を披露、バッタバッタと三振の山を築いていった。……あ、門奈。３打席３三振だ。しかし、一方で門奈の投球も冴え渡り、ひっそりとツバメ打線を０点に抑えていたのだ。そして、迎えた９回表二死一、二塁。ミスターがベンチを出る。「ピッチャー、石毛（博史）」……………（タメ５秒）。待て待て、そこのお人。今、心の中でツッコんだだろう。違うんだ、この年の石毛は。一応、最優秀救援のタイトルを獲っているんだ。実際、この回を無難に切り抜けてるし。さて、問題の９回裏である。二死の状況から、打席には篠塚。伊藤智の早いテンポを嫌った安打製造機は、打席を外して間合いを制した。そして、バットを一閃。打球はライトスタンドへ。硝子のエースが、グラブを叩きつける。そして、試合終了。勝利投手、石毛。かくして、９回二死まで零封していた門奈の投球は、人々から忘れ去られてしまったのだった。この年、門奈の初勝利は、９月まで訪れなかった。門奈こそ、グラブを叩きつけたかったに違いない。日大時代に１試合18奪三振の記録を作った左腕も、プロに入ってからは、中途半端な投手だった。投球そのものよりも、むしろ球場外での逸話の方が印象深い。○　入団時に「３位の西山（一宇）と２位のオレっちの　　契約金が同じってのはどういうことよ」と、　　いきなり噛み付き、500万円を上乗せさせた。○　ある年、ミスターから「顔に迫力がない」と言われ、　　ヒゲを生やすことに。○　1998年のオフ、柏田貴史に影響を受けたのか、　　自らもメジャー挑戦を表明。しかし、誰にも相手されず、　　翌年には自由契約へ。あァ、あの荒れ球スクリューは、モノにできたのだろうか？クロアチアでの現況をご存知の方、どうかご一報を。

  2003.11.13

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• 二遊間

  久しぶりの野球ネタである。日曜日、投票にも行かず、何をしていたかというと、マスターズリーグを観戦していた。西武ドームの外野席では、昔を懐かしむオヤジどもとその子供たちが、何とものんびりとした空気を醸し出していた。人工芝に寝そべって、いつもと違う野球を楽しむ。寒かったことだけが残念だ。名古屋　０００　００１　１００　２東　京　０１０　０００　０４×　５＜名古屋＞　　　　　　＜東京＞１（二）上川　誠二　　１（中）蓬莱　昭彦２（中）平野　謙　　　２（一）森　博幸代走右　横田　真之　　代走三　芦沢　真矢３（右）藤波　行雄　　３（左）安部　理代打中　彦野　利勝　　４（右）駒田　徳広４（捕）鈴木　伸良　　５（指）デストラーデ ５（三）田野倉利男　　６（三）佐藤　洋６（一）大久保弘司　　７（遊）清家　政和７（遊）鴻野　淳基　　８（捕）伊藤　勲 ８（左）斉藤　浩行　　　　捕　大矢　明彦９（指）大島　康徳　　９（二）水上　善雄代走　　岡田　忠雄　　代打　　矢作　公一　　　　　　　　　　　　　二　鮎川　義文投　鹿島　忠　　　　　投　増本　宏投　星野　秀孝　　　　投　村上　雅則　　　　　　　　　　　投　渡辺　久信　　　　　　　　　　　投　大川　章試合は、選手層の薄さに苦しむ名古屋が、８回のピンチを守りきれず、逆転負けを喫した。対する東京は、開幕から３連勝で首位を守った。マスターズリーグとは、なかなか面白いところで、妙なルールがいくつか設けられている。○　DHに対する特別代走の使用を許可する。○　30代選手の出場は４回以降とする。○　30代選手はフィールド上に３人までとする。○　30代の投手は、３イニングまでしか投げられない。などなど。あとは、場内に選手紹介のアナウンスが入るのがいい。時には、一塁コーチや三塁コーチの紹介までしてくれる。さて、この試合、個人的に興味を持ったのは、東京ドリームスの二遊間であった。二塁手・水上善雄（ロッテ、広島、ダイエー）。遊撃手・清家政和（阪神、西武、ヤクルト）。水上は、80年代のロッテにおける正遊撃手だった。川崎球場で誰も見ていないことをいいことに、凡ミスと天才的なプレーを織り交ぜつつ、お茶を濁していた感が強い。とにかく、人にはないセンスを持つ選手だった。ユニフォームの着こなしも独特、髪型も意味不明で一時期は“ライオン丸”などと呼ばれていたことも。“人生先発完投”村田兆治のノーサイン投法におけるクセをチームで唯一解読し、守備位置を調整していたという守備の人。しかし、応援歌はなぜか……。♪　それ打て水上ホームラン　勝利を目指せ　　　明日に向けて大空高く　飛ばせ水上通算本塁打は105本なんだけど。※　因みに、へえ情報。　　水上の中学校には、１学年下に山口百恵がいたそうな。一方の清家は、とことん地味だった。西武の黄金時代において“守備固め”をやっていた印象が強い。阪神にいたことなど、誰も覚えていないのではないか？ハイライトは、1987年の日本シリーズ第６戦。読売を相手に日本一を決めたこの試合で、清家は貴重な追加点となる本塁打を放っている。なんと、この一打はプロ入り10年目にして初の一発だった。一発だったのだが……。８回二死一塁から一気に本塁を陥れた辻発彦の走塁が見事すぎて、忘れ去られている！　やはり地味だ。清家の応援歌もまた、歌詞がおかしい。♪　清家のバットが火を噴くぞ　右に左に打ち分ける　　　打つぞ打つぞホームラン　ライオンズの玉三郎清原和博と間違っているのではないか？公式戦での通算本塁打は、たった１本。応援団の連中は、一体何を考えていたのだろうか。※　そして、へえ情報。　　清家は今、アソボウズで働いている。……まあ、そんな２人を懐かしみつつ、眺めていたのだが、それぞれナイスプレーを見せてくれた。水上46歳、清家44歳。それでも、なお守備で魅せることのできる男たち。あァ、おっさんの野球もたまにはいいね。

  2003.11.09

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• 最終戦２

  平均視聴率、48.8％。日本プロ野球史上、最も注目を集めた一騎打ち。お互い69勝60敗同士、勝った方が優勝という130試合目。1994年10月８日、ナゴヤ球場。ＤＧ最終戦――。打撃不振に喘ぎ、前半の勢いを完全に失くしてしまった首位・読売か。或いは、後半に入り、驚異的なハイペースで連勝を重ねてきた中日か。球場の外では「内野10万、外野５万」というダフ屋の声が聞こえる。押し寄せるファンの多さに、球団はいつもよりもずっと早い時間に開場しなければならなかった。その頃、先発予定の今中はいつも通り左足にテーピングを施していた。1991年夏、試合中に足をつって以来、欠かしたことのない準備だ。これを勧めてくれたのは、自らもふくらはぎを痛めていた落合だった。その落合の打席が、勝負の分かれ目となるとは。プレイボールまであと30分。既に超満員にまで膨れ上がったスタンドは興奮のるつぼ。両軍のバッテリー、続いてスタメンがアナウンスされる。＜先攻・読売＞　　　　　＜後攻・中日＞＜８＞　コトー　　　　　＜７＞　清水＜６＞　川相　　　　　　＜４＞　小森＜９＞　松井　　　　　　＜６＞　立浪＜３＞　落合　　　　　　＜３＞　大豊＜５＞　原　　　　　　　＜８＞　パウエル＜７＞　グラッデン　　　＜５＞　仁村＜４＞　元木　　　　　　＜９＞　彦野＜２＞　村田真　　　　　＜２＞　中村＜１＞　槇原　　　　　　＜１＞　今中そして18時20分。世紀の一戦は幕を開けた。初回、今中はわずか14球と、彼にしては珍しい投球で無失点に抑え込む。その裏、先頭の清水が二塁打で出塁するも、小森のバント空振りで塁に戻れず。その後もチャンスを繋げたが、大豊の併殺で勢いをそいだ。２回、インコースを突いたはずのストレートが、真ん中へ。今中にとって「めったにないコントロールミス」だった。打球は右中間スタンドへと消えた。打ったのは、落合である。さらに一死満塁、彼は２点目を失ってしまう。その裏、中日は中村のタイムリーで同点に追いつくのだが、スクランブル登板した斉藤の前に追加点はならず。バント失敗や走塁ミスが痛かった。相手は中１日、しかも１ヶ月以上も白星から見放されていた投手だったのだが。以前にも取り上げたが、このようなミスは、勝ち運を逃す原因になる。３回、またしても落合の打席。一死二塁で迎えたこの場面、打球は詰まりつつも一・二塁間にポトリと落ちて転がった。自信を持って投げ込んだ、狙い通りの１球だった。塁上で、落合がニヤリと笑う。痛恨の勝ち越し点を献上してしまった。ぷちっ。今中の中で何かの糸が切れてしまった。続く４回にも村田真、コトーにも被弾してしまい、計５失点。エースは、マウンドを降りた。試合は結局、読売が槇原・斉藤・桑田と豪華３本柱によるウルトラＣを完成させ、４年ぶりの優勝を決めた。ミスターが宙を舞ったのは、実に17年ぶりのことだった。Ｇ　０２１　２１０　０００　６Ｄ　０２０　００１　０００　３　＜勝＞斎藤14勝８敗　＜Ｓ＞桑田14勝11敗１Ｓ　＜敗＞今中13勝９敗３Ｓ　＜本＞落合15号［１］（今中）　　　　村田真10号［１］（今中）　　　　コトー18号［１］（今中）　　　　松井20号［１］（山田）実はあの頃、今中が好きだった。特にカーブを投げれば、絶対に間違いはないという場面で、あえて首を振り、インコースにストレートを放りたがる、あの性格がよかった。そして、アンチＧファンという点もいい。その理由がまた、単純明快で好ましい。大阪桐蔭高校の寮に入っていた頃のことだ。寮ではもちろん、部屋にテレビなどはない。ミーティングルームに１台だけあったが、これは３年生専用だった。で、彼らが何を見ているかというと、ドラマだったり、バラエティだったりするわけだ。しかし、いざ３年になってチャンネルを合わせてみると、やたらと番組が中止になってしまう。その原因は、いつも読売戦の中継だった……、というわけだ。おばちゃんみたいな理由でしょ？

  2003.10.15

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• ＧＭ

  ファンとしては今更という感じもするが、我が球団にＧＭ（ゼネラル・マネージャー）が誕生した。中村勝広。お家騒動が絶えない某人気球団において、史上最長５年半も監督を務めた人物である。就任３年目の1992年には、熾烈な優勝争いを演じた後、期待の若手（天然さん）から「Ｊリーガーになりたい」と告白され、人知れず枕を濡らした過去を持つ。そんな彼が、この秋からオリックス再建のため、人事の改革を図る。取り組むべき主な仕事は２つ。（１）新監督招聘を含む、首脳陣の組閣。（２）バッテリーを中心とした戦力の見直し。まず、監督については、伊原春樹に落ち着きそうだ。彼はかつて「体にライオンズブルーの血が流れている」という、川島なお美のような名言を残しているのだが、来年からは血の色を変えてもらうしかない。一方、これから取り掛かるであろう戦力の見直しについては、噂がちらほらと囁かれている程度だ。聞くところによると、藪恵壹、川尻哲郎、新庄剛志、田口壮らを狙っているらしい。ＧＭとは、選手の獲得・放出などチーム編成に関わる仕事の最高責任者である。ゆえに、集まった戦力にはその人の個性が反映されやすい。例えば、アスレチックスのビリー・ビーンなどは、とにかく粗の少ない選手を獲得してくるのが特徴である。強いながらも資金に乏しいこのチームは、優秀な選手をいつまでも留めておくことができない。最近ではＪ・ジアンビがヤンキースへと去っていき、そして今年は、昨年のＭＶＰであるＭ・テハダの放出が確実視されている。そんな中、ビーンは巧みなトレードとＦＡの代償として得るドラフト指名権をうまく活用し、戦力を維持し続けている。トレードの原則、それは投手ならば球速よりも制球力を、野手ならば一発よりも出塁率を重視するということだ。最近では、Ｓ・ハッテバーグやＥ・デュラーゾなどがその典型。また、アスレチックスでは即戦力の期待が持てる選手を安く手に入れることが大前提となっている。ドラフトにおいては、高校生よりも大学生の指名が圧倒的に多い。チームが誇る先発の３本柱（Ｍ・マルダー、Ｔ・ハドソン、Ｂ・ジート）はいずれも大学出身で、入団後すぐに頭角を現した。やはり、新人の獲得においても即戦力が基本ということだ。レッドソックスのセオ・エプスタインなどはもっと独特だ。今季、史上最年少28歳という若さでＧＭに就任した彼は、チームを1999年以来のプレーオフへと導いている。エプスタインは、エール大の学生だった1992年にオリオールズの球団フロント夏季インターン（研修生）となり、その後パドレスで広報や野球運営部長などを歴任。昨年はレッドソックスでＧＭ補佐のポストに就いていた。補佐からわずか１年での昇格人事に世間は驚いた。彼を推薦したのは、なんとビーン。レッドソックスの誘いを断った彼は「自分の代わりに」と、この28歳の青年を推したのである。さすがは新世代のＧＭか。エプスタインの選手獲得は、新たな基準に則って行われている。セイバーメトリクス。選手の成績を統計学的に評価する“オタク科学”である。今季、レッドソックスとアドバイザー契約を結んだビル・ジェームズが1970年代初めに生み出した。ＭＬＢでは、さほど斬新なものではないが、これを人事に反映させたＧＭは異例である。計算方法（野手の場合）は以下の通り。壱（安打数＋四死球数）×出塁数÷（安打数＋四死球数）弐（打者のアウト数÷12）－（壱の値）参（弐の値）÷３……ウィン・シェア＝貢献度※　一定の試合に出場した選手には、そのポジションに応じて、　　１ポイントを加算する。　　　⇒　捕手……24試合　　　　　一塁……76試合　　　　　二塁……28試合　　　　　三塁……38試合　　　　　遊撃……25試合　　　　　外野……48試合この値を高めるためには、出塁率を上げること、そして１年間コンスタントに働くことが要求される。清原和博のような選手は、評価が低くなることだろう。一方、投手陣についても、エプスタインは斬新なアイデアを持っている。シーズン開幕当初、彼はクローザー不要論を主張していた。近年、リーグでは中継ぎ出身の守護神が活躍している。ツインズのＥ・ガッダード然り、ドジャースのＥ・ガニエ然り。そして、こう考えた。「もしかして、クローザーって誰でもできるんちゃう？」確かにそうかもしれない。走者のいない９回に登板するより、そこまでに訪れるピンチを抑える方が、大仕事である。真に頼りになる投手は、セットアップに回すべきなのだ。……なるほど。しかし、レッドソックスはその後、ダイヤモンドバックスから金炳賢（キム・ビュン・ヒュン）を獲得している。やはり抑えは必要だということになったのか？まあ、とにかく。中村にはぜひ健全なるチーム作りに励んで頂きたい。外国人は残留の方向で固まっているようなので、あとはトレードとドラフトか。かつて、某球団の監督就任が決まったとき、彼は早稲田大学の恩師である石井藤吉郎からこのような言葉を贈られたという。「あそこは、これ以上悪くならない。ノンビリやれよ」……オリックスもまた同じような状況だが、出来ることならば、一刻も早く上昇の兆しを見せて欲しいものだ。

  2003.10.05

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• プレーオフ

  徹夜で文章を書き続けること３デイズ。長かった“２泊３日修羅場まつり”も、この日記さえ片付けてしまえば終了である。さて、本場では白熱のサバイバル、プレーオフが遂に始まった。◇　CUBS vs. BRAVESカブスが誇る三本柱――Ｋ・ウッド、Ｍ・プライアー、Ｃ・ザンブラーノは、防御率と奪三振で“投手王国”ブレーブスを凌駕しているものの、打線では圧倒的にブレーブスが有利である。カブスは主砲のＳ・ソーサをはじめ、100三振以上の扇風機がその風力を競い合う、迫力のラインアップ。一方のブレーブスは、チーム打率.284（リーグ１位）を誇る切れ目のない打線がウリ。中でも、捕手のＪ・ロペスは今年43本塁打とソーサよりも数字を残した。気になる選手は、やはり元ロッテのＪ・フランコだろう。公式発表では1958年生まれということになっているが、小宮山悟情報によると、５つくらいサバを読んでいるという噂があるらしい。……って50歳なのかよ！◇　MARLINS vs. GIANTSマーリンズがプレーオフに帰ってきた。1997年、札束を撒き散らして世界一を勝ち取ったものの、あっという間に奈落へと堕ちていった極貧球団。まさに、集英社『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の白鳥麗次を思わせる凋落ぶりだったが、今年は若き投手陣と機動力を武器にここまで勝ち進んできた。中でも、100マイル右腕のＪ・ベケットは注目株。指にマメが出来やすいという悩みは、かつての尾崎行雄を髣髴させる。内角低めの剛速球を得意としているＢ・ボンズに真っ向勝負を挑んでもらいたい。個人的に好きなのは、ジャイアンツのＢ・サンティアゴである。1988年の日米野球で来日したとき、座ったまま二塁に送球するという仰天プレーをかました捕手である。38歳になった今でも、勝負強い打撃が光る。◇　YANKEES vs. TWINSはたして、貧富の差は埋められるのか？球界随一の資金力を誇る帝国に、地方都市の貧乏球団が挑む。奇跡のお荷物球団、ツインズ。1991年は前年度最下位からＷシリーズを制し、昨年は球団消滅の危機から地区優勝を果たした。堅い守備が自慢で、全ポジションに名手を揃えている。そんな中、最も応援したいのはＢ・ラドキーである。弱小チームにあって、常に安定した成績を収めてきたエース。移籍さえ望めば、高額なオファーを勝ち取ることが出来たのに、ツインズ愛を唱え、あえて低賃金のまま残留した。この心温まる逸話は、全米中のオヤジの心を掴んだのだった。そのラドキーとバッテリーを組む捕手もまた、個性的だ。ＡＪ・ピアジンスキ。とても優しげな顔つきの26歳は、他球団の選手から嫌われているらしく、ビーンボールが多い。それでも、３割を打つあたりは只者ではない。一方のヤンキースでは、Ｒ・クレメンスの投球に興味あり。松井秀喜が祝勝会で唯一シャンパンを浴びせられなかったこの男、今季限りで引退を表明しているため、これで見納めである。◇　RED SOX vs. ATHLETICSア・リーグのワイルドカードに西地区以外のチームが出場するのは久々だ。数年ぶりに古豪が頂点を目指す。レッドソックスの特徴は、全米トップの打線にある。首位打者経験者３人を擁し、20本塁打以上が６人もいる。但し、このチームの泣き所は頼れる先発がＰ・マルチネスしかいないということだ。以前よりはマシになったが、Ｔ・ウェイクフィールドは魔球ナックルの調子次第だし、昨年21勝のＤ・ロウも今年は安定感に欠ける。一方のアスレチックスは投手陣が自慢のチームである。しかし、３本柱のうち、Ｍ・マルダーが故障により戦線離脱中、Ｂ・ジートも今季は出来不出来の差が激しい。若手のＲ・ハーデン、Ｔ・リリーらが穴を埋めなくてはならない。とはいえ、このチームは不思議と勢いに乗るのが上手い。投手が打ち込まれても、打線がカバーしたりして、勝ちを拾っていく。おそらく、有利に戦いを進めていくはずだ。実はこの２チーム、密かに因縁がある。昨年のオフ、レッドソックスはアスレチックスの敏腕ＧＭ、Ｂ・ビーンを引き抜こうとしたのだが、見事に断られたという経緯があるのだ。代わりに就任したのは、まだ28歳だったＴ・エプスタイン。はたして、レッドソックスは借りを返すことができるのだろうか？と、面白味のない展望を書いていたら、結構な長さになってしまった。そこで、久しぶりの次回予告オチ。♪　ＢＧＭ（少し時間がかかるかも）チームの編成を一手に担い、球界の地図を書き換える男たち。そんな中、史上最年少でこのポストに就任した青年がいる。古豪の復活を託された彼は一体何を考え、どう動いたのか？その謎が解けたとき、神戸の未来までもが垣間見えた。次回「ＧＭ」！この次もサービスしちゃうわよ（声・三石琴乃）!!

  2003.10.03

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• 優勝

  超満員の観客は帰らない。試合が終わって、数時間が経とうとも。マジック１。18年ぶりの歓喜に酔いしれようと、甲子園は固唾を飲んでいた。そして、遠く横浜の地でヤクルトが力尽きた瞬間、誰もいなかった黒土のグラウンドへと縦じまの戦士たちが弾け出る。その先頭をひた走るのは……矢野輝弘。今シーズン、おめでたい場面では必ず一番手に飛び出してきた男。ドラフトのときに「てるひろ」と名前を間違われた反動か、常にカメラを意識したポジショニングをする。優勝が決まったこの場面は、自分をアピールするには最高の舞台である。「もちろん、狙っていました」しかし、そのすぐ横には何者かの影が。選手会長、檜山進次郎。生え抜きの意地か。トップに並びかける。しかし刹那、矢野はギアを一気に６速へ。見事、一番乗り王の座を死守することに成功したのだった。思えば、18年前も似たようなヤツがいた。その男は、胴上げ投手・中西清起が最後の１球を投げたと同時にスタートを切っていた。もし、あれがファウルだったら、一体どうするつもりだったのか。浪速の春団治、川藤幸三。彼は密かに２年目の1969年にウエスタンで盗塁王に輝いている。……へえ。この“フライング”という奥義は、16年の時を超えて受け継がれている。2001年、最後の打者を打ち取った高津臣吾のもとに走り寄って抱きついたのは、捕手の古田敦也ではなく、石井一久だった。彼らの目的はただ一つ、目立つことだ。1987年の西武には、意外な盲点をついた頭脳派がいた。その男が目をつけたのは、胴上げの瞬間だった。なんと宙に浮く監督を放ったらかしにして、自らはセンターのカメラに向かってバンザイをしたのだ。男の名は、工藤公康。さすがは理論派と言うべきか。この奥義もまた、ヤクルトが継承した。あのパクリ集団め。……バンザイの人数は増えていたが。さて、こうした目立ちたがり屋は海外にも存在する。種目はぶっ飛ぶが、サッカー界に面白い選手がいるのだ。その達人は1998年Ｗ杯、EURO2000という二大大会を制覇したフランス代表の元一員である。クリスチャン・カランブー。ポジションは守備的ＭＦ。現在はオリンピアコスに所属。……いや、そんなことはどうでもいい。要は、ブサイクなのだ。そんなカランブーが編み出した技はすごい。彼は優勝した瞬間、ベンチを飛び出してからというもの、ジネディーヌ・ジダンの傍を片時も離れない。マスコミの心理をガッチリ把握した、賢い作戦である。なるほど。カメラはチームの中心であるジダンを追いかける。その周辺をうろついていれば、自然と目立つわけだ。例えるなら、長嶋茂雄に密着する岩田暁美（故人）さんだ。おかげで、フランスのＶを報じた雑誌などを見ると、いつもヤツが中央に写っている。恐るべき奥義だ。因みにこの男、野獣のようなツラをしている割に、奥さんはチェコのスーパーモデルだったりする。お世辞抜きの美人さんだ。……則巻千兵衛と山吹みどりのカップルのようだ。※　集英社『Dr.スランプ』より。　　アラレちゃんを開発した博士とその奥さん。我々ファンの目を釘付けにし、美人にまでモテる。一見、人として完璧とも思えるカランブーだが、世の中には、そんな彼を頑なに受け入れない人もいる。マヌエル・サンチス・ホンティジュエロ。2000年までカランブーとＲ・マドリードで同僚だった男だ。ある試合でのこと、２人はベンチに並んで座っていた。親しげに、そしてにこやかに話しかけるカランブー。しかし、サンチスはその全てをシカトしているではないか！……にゃるほど。同族嫌悪というやつか。そう、サンチスもまたカランブーに負けないほどのブサイクなのだ。※　え～、この２人の間柄はあくまで推測です。まあ、優勝の瞬間にも目を向けてみたら、というお話。選手は意外と考えているのですよ。

  2003.09.25

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• 監督２

  先日、長きにわたって古き良き阪急色をとことん薄めまくり、さらには、貴重な戦力をまるで逆Ｒ・マドリードのごとく放出した、悪の球団社長がようやく辞任した。あァ、よくもやってくれたモンだ。選手数を切り詰め、ファームのコーチまで大幅削減。ＦＡには意地でも頼らず、人手不足になったら使えない外国人を雇う。まったく、クソ勘弁してください。その末路は、どうなったか？まずは、戦力育成の場であるニ軍がボロボロとなった。中継ぎが先発に回り、内野手が普通に外野を守らされる。ピッチャーであり、助っ人であるはずのウイリーが、ファーストで出場するなどという時期もあった。超人墓場で生命の玉を４つ集めるくらい無駄だ（３つでもよい）。そして、この余波は確実に一軍をも蝕んでいった。困ったことに、今のオリックスは負け犬界の横綱である。西の横綱。その凋落ぶりは、語るまでもない。そんな中、山田久志がフリーになった。古株のファンたちは、ここぞとばかりに阪急の復活を叫び始めた。曰く「低迷したオリックスを導けるのは、山田しかいない」――。ファンの期待ももっともではある。が、個人的な意見を言わせてもらえば、監督・山田久志には反対である。なぜなら、山田はコーチでこそ真価を発揮する人物だと思うからだ。それに、山田監督が誕生すると、池内豊まで連れて来てしまう危険がある。一体、どういう教え方をしているのか。ヤツは、どんな逸材をも平凡な130km/hピッチャーへと変貌させてしまう。必殺の「スランプになったらサイドスロー」という助言は、これまで幾人もの新星たちを戦力外寸前にまで追い込んでいる。そうなると、新監督は誰が望ましいのか。時期尚早な感は否めないが、今回はそこら辺を見極めたいと思う。まず、新聞報道などで囁かれている名前はこちら。〇　野村　克也〇　大矢　明彦〇　ボビー・バレンタイン〇　山田　久志〇　加藤　英司むう、仰木さんの後釜が就任したときよりは、はるかにマシだ。あのときの候補者を並べてみよう。きっと空しくなる。〇　石毛宏典（熱血。必殺技は居残り練習）〇　中畑清（絶好調。監督は未経験）〇　掛布雅之（ミスター・タイガース。松井が大好き）……。さあ、適度な虚脱感を覚えたところで、候補者の手腕をパイサゴリアン勝率（前回を参照のこと）を通して検証してみよう。なお、加藤は一軍での監督経験がないため、割愛させて頂く。【チーム：実際の勝率：パイサゴリアン勝率：ポイント差】〇　野村　克也（1995）：.631：.596：＋.035〇　大矢　明彦（1997）：.533：.521：＋.012〇　バレンタイン（1995）：.543：.521：＋.022〇　山田　久志（2002）：.511：.542：‐.031ご覧の通り、采配力が優れているのは野村とバレンタインである。しかし、前者はシダックスをまだ率いるつもりだろうし、後者はＥＳＰＮとの契約がまだ１年残っている。となると、残る候補は２人である。大矢か、山田か。まあ、この二択ならば、間違いなく山田が就任するだろう。ただ、数字を見る限り、采配力に疑問あり。統計上では、奇しくも「山田コーチ説」が支持された形となった。というか、阪急のＯＢというのは、みんな職人気質の持ち主だった。各々に与えられた仕事を忠実にこなす。それゆえ、監督には不向きな人材が多いのではなかろうか。では、最良の策とは？　やはり、狙うべきは一挙両得であろう。即ち、大矢を監督として迎え入れ、その他を阪急ＯＢで固める。人間関係さえクリアすれば、理想的な布陣になると思うのだが……。まあ、ぶっちゃけ、勝てれば誰でもいいんだけどね。

  2003.09.18

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• 呪い

  涼しい夏に暑い秋。夜空には、妖しく紅い火星が光る。今日のテーマは、季節ハズレの納涼日記――。誠に恥ずかしながら、呪われてしまったらしい。怪談のはじまりは、先月の末。友人（船○○ウスくん）と西武ドームに行った時のことだ。聞けば、彼は名古屋でいわくつきの安部屋に泊まって以来、体調がおかしいのだという。「泊まったくらいじゃ祟りの理由にならねえっての」と、その時は一笑に付していたのだが、どうやら、その不遜な態度が気に食わなかったようだ。それからは、地味にツキのない日々が続くようになった。観戦した西武戦で２連敗を喫したり、天変地異のごとき雷雨に見舞われたり、パチンコでさっぱり勝てなくなったり、もともと少ない女運も輪をかけて冴えなくなったり……。極めつけは、パソコンの故障だ。買ってまだ２ヶ月という代物なのに。――“Operation System Not Found”？一体、何をラリってやがる。しかも、代役の旧パソコンもどこかおかしい。ＡＤＳＬにしたはずなのに、やたらと動作が重いし、画面が紫がかっている。そんな中「タダでは転ぶまい」と思いついたのが、今回のネタである。ズバリ、今日はスポーツにおける“呪い”を検証してみたい。まずは、最も有名な事例から。そう、フェンウェイ・パークに古くから伝わる、“バンビーノの呪い”である。球界屈指の名門・レッドソックスが犯した原罪。それは、史上最大のスターであるベーブ・ルースをオーナーの道楽のために放出してしまったことだ。おかげでボストンの地は、ルースの移籍後ぱったりと、世界一の座から見放されている。しかも、優勝しそうになると、必ず奇跡的な負け方をする。1949年。シーズン終盤まで２位ヤンキースに１ゲーム差をつけながら、残り２試合を連敗してＶ逸。1978年。ヤンキースに14ゲーム差から追いつかれ、１試合プレーオフで思いもよらぬ伏兵に逆転３ランを打たれる。1986年。世界一に王手をかけたワールドシリーズ第６戦、９回二死走者なしで２点リードしながら、エラーをきっかけにサヨナラ負け。続く第７戦も３対０から逆転負けを喫する。などなど。うう……、不憫だねえ（涙）メジャーといえば、カブスもまた呪われている球団だ。その名も“EX-CUB FACTOR”（カブス菌）。何でも、元カブスの選手が３人以上いると、そのチームは優勝できないのだとか。1984年。パドレスは球団史上初のリーグ制覇を成し遂げるが、シリーズではタイガースにあっさりと敗退してしまう。当時、ＧＭを務めていたジャック・マッキーンは、その敗因をカブス菌と断定した。まあ、軽い逆ギレってヤツですか。自分で集めた面子なわけだし。因みに、菌を撒き散らしている当のカブスはというと、1944年を最後に半世紀以上も頂点から遠ざかっている。有名な“ビリー・ゴートの呪い”が原因か。日本の野球界でも、都市伝説は囁かれている。大阪・道頓堀が発祥の“カーネルサンダースの呪い”である。1985年。当時、21年ぶりの優勝に沸くトラ党は、ＫＦＣの人形を見つけるなり「バースや、バースや」と御神体のごとく奉り、そして道頓堀へ放り投げた。Ｗ杯の時、歌舞伎町の広場では、蒼い集団が外国人を見つけては「ベッカム、ベッカム」と叫んでいたが、それと同じ現象なのだろうか。謂れのない人違いをされた挙句、泥水をたらふく飲まされた御神体は、哀れ、そのまま行方不明になってしまったそうな。実際、この年を境に阪神は長い低迷期を迎えてしまった。一部のファンが、その原因を人形と考えたのも、仕方のないことなのだろう。はたして今年、この呪いは解けるのか。日本シリーズに注目である。さて、ここまで３つの事例を見て来たわけだが、どれもこれも“気のせい”という感じがする。翻って、我が身に降りかかる災難の数々も、“呪い”のせいではないのかもしれない。う～む。いっそのこと、ドラクエのように効果音でも鳴ればいいのだが。ホラ“はかいのつるぎ”を装備した時のように。そうすれば、わかりやすい。あ、わからん人は、この復活の呪文を入力されたし。“はかいのつるぎ”はもちろん“しにがみのたて”も“あくまのよろい”も持っているので。かめり　れぺご　じぐがら　よぐい　るぐれ　へびぞなぱぴし　はあせ　なびのねあぷび　ぬもみ　かぐてほりはさ　げきぽ　すじびず　ばでは、話を少し脱線させて。最後に想像して頂きたい。もしも、あなたの枕元に幽霊が現れたら――？……個人的には、先手を打って金縛りをかけてみたいと思っているのだが。

  2003.09.11

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• もしも２

  さて、まずはこのＢＧＭをどうぞ。♪　春の木洩れ日の中で　　　君の優しさに　 　　埋もれていた僕は　　弱虫だったんだよね～今日のＯＰテーマはドラマ「高校教師」の主題歌、『ぼくたちの失敗』（歌・森田童子）である。一昨日は、チーム編成の要であるドラフト会議で、オリックスが犯した失敗について、ぶちぶちと愚痴をこぼしたわけだが、今回はその続きである。＜1995年＞この年の目玉は、ＰＬ学園の福留孝介。なんと、高校生としては過去最多の７球団が競合した。そして、やめておけばいいものを、オリックスもまた、確率の低い勝負を挑んだのであった。渦中の福留は、読売か中日を希望していた。さあ、結果はどうなったか？「ヨッシャー！」近鉄の燃える新監督・佐々木恭介の男臭い咆哮が、会場に響き渡った。当たりクジは、紅白のフンドシを締めた、時代錯誤も甚だしいサムライの手の内へ。……思うに、クジを外していたら、このフンドシが世に知れることはなかっただろう。今頃は、ひっそり淋しくお蔵入りしていたはずだ。ともあれ、交渉権を手に入れた近鉄。しかし、うれしさ大爆発のオーバーリアクションも空しく、あっさりと入団拒否をされてしまった。ということは、だ。たとえ、オリックスがここで当たりを引いていたとしても、福留が入団してくれる可能性は低かったことになる。これでは、せっかくの権利もムダになってしまう。また、外れ１位の人選にも納得がいかなかった。指名された九州学院高の今村文昭には申し訳ないが、彼は野手としても、投手としても未だ実績を残せていない。ならば、あの場面は一番人気の福留で勝負するのではなく、市立銚子高の長谷川昌幸を選ぶべきではなかったか。広島と競合することになるが、それでも確率は半々だ。というか、ドラフト直前までの報道によれば、オリックスの１位指名は長谷川ということで固まっていたらしい。それが、仰木さんの「めったにない素材だから」という一声で、福留に鞍替えしたのだとか。仰木さん……。アナタは、確実に７打数１安打の選手に２打数１安打の代打を出す人でしょうが。因みに、この年は下交渉の段階で、逆指名がほぼ決まりかけていた仁志敏久を読売に横取りされたというトピックスもあったりして。＜1989年＞ソウル五輪の翌年に当たる、第25回ドラフト会議。古田や佐々岡、小宮山、与田などなど、黄金の輝きを放つ新人がひしめく大豊作年であった。特に、五輪代表のエースだった野茂英雄。全球団ＯＫという、今となっては珍しい姿勢から、ドラフト当日は史上最多８球団もの指名が重複した。投手陣の層の薄さが仇となって、ゲーム差なしの２位に甘んじたオリックスは、迷うことなく野茂を指名したのだった。第１回選択希望選手。オリックス、野茂英雄、23歳、投手、新日鉄堺。抽選箱の前に、８球団の代表が居並ぶ。我がチームは最後から２番目の順番。まずはロッテから、次々と封筒が取り上げられていく。さて、女神はどこに微笑んだか？……あ、仰木さん（近鉄時代）がニッコリ手を掲げとる。やられた。抽選の順番は、近鉄がトリだったのだ。まさに「残り物に福」という格言通りの結果であった。オリックスは最後、二択の勝負に負けたというわけだ。もしも、残っていた封筒のうち、もう一方をオリックスが引いていたら――？球史は全く違ったものになっていたはずだ。単純に仮定するなら、草魂との確執をきっかけに、野茂が海を渡ることはなかっただろうし、その後のＭＬＢブームも到来しなかった可能性が高い。また、彼が新大陸を開拓さえしなければ、我が球団が誇る、幾人ものスターたちを手放すこともなかったかもしれないのだ。長谷川滋利がエンゼルスと契約を交わしたのが1996年オフ。続いて木田優夫、イチロー、田口壮がチームを去っていった。ついでに、木田のトレード相手となった野村貴仁もまた、ブリュワーズで21試合に登板している。あァ、みんな主力だ。彼らがまだチームに残ってくれていたらなあ。ところで、この年のドラフト、オリックスは外れ１位として誰を獲得したかというと……。「え～、びっくりしているっていうのが、やっぱり第一声ですよね」そう、今は『フロムＡ』のＣＭでお馴染み、パンチ佐藤こと佐藤和弘である。あれは、指名直後の会見の様子を引用したもの。以後、彼はお約束の決めゼリフを武器に芸能界までのし上がっていく。曰く「マラソンに例えるなら……」パンチのお気に入りはロサ・モタだった。オリックスは一時期、この通算本塁打３本という控えの選手が、チームで最も知名度が高いという異常事態に陥ったことがある。それでも、毎年Ａクラスをキープしていたから不思議だ。因みに、パンチの選手生命は、仰木さんによってサクッと断たれたそうな。「おまえは、タレントになった方が食っていける」「わかりました」ドラフト１位なのに、あっさり。パンチの収入は引退後、2.5倍になったとか。

  2003.09.06

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• もしも

  ♪　もしも　願いが叶うなら～とは『恋におちて』（歌・小林明子）の歌い出しだが、今日のテーマは、まさにコレ。ズバリ、「オリックスのドラフトをやり直せたとすれば」！さあ“if”の世界へいらっしゃ～い（桂三枝風）。なお、ここで「歴史に“もしも”はない」とか思った貴方は、ロマンのない男である。では、さっそく本題に入ってみよう。まずは、平成に入ってからの指名状況を確認してみよう。今回は、ドラフト１位のみを対象とする。また、2001年以降は自由獲得枠の制度が面倒なので、省かせて頂く。2000年　内海　哲也（敦賀気比高　⇒　現・東京ガス）1999年　山口　和男（三菱自動車岡崎　⇒　現・BW：今季絶望）1998年　新垣　渚　（沖縄水産高　⇒　現・FDH）1997年　川口　知哉（平安高　⇒　現・BW：イップス罹病中）1996年　杉本　友　（筑波大　⇒　現・YB）1995年　今村　文昭（九州学院高　⇒　現・BW：投手転向）1994年　嘉勢　敏弘（北陽高　⇒　現・BW：投手転向）1993年　平井　正史（宇和島東高　⇒　現・Ｄ）1992年　小林　宏　（広島経済大　⇒　現・BW）1991年　田口　壮　（関西学院大　⇒　現・STL）1990年　長谷川滋利（立命館大　⇒　現・SEA）1989年　佐藤　和弘（熊谷組　⇒　現・タレント）この中で、やり直したいのは2000、1998、1995、1989年である。どうして？　それは、他に手の打ちようがあったと思われるからだ。＜2000年＞　この年は、なかなか１位に誰を指名するのか、直前まで決められずにいたと記憶している。ギリギリまで右往左往した挙句、七尾工の森大輔を指名しようとしたが、社会人行きを主張され、あえなく撤退。ならば、と慌てて指名したのが内海だった。※　森は３年の夏に石川県大会の１回戦で、　　23奪三振という野手泣かせの記録を樹立。　　就職後は、三菱ふそう川崎の都市対抗優勝に貢献。　　今オフの横浜入りが確実視されている。しかし、内海の指名には１つ問題があった。なんと、本人は読売行きを志望しているというのだ。詳細は次で述べるが、２年前の悲劇があっただけに、強行指名には首を傾げてしまった。まあ、現場としては翻意させる自信もあったのだろう。実際、交渉の過程で一時は心傾く瞬間もあったようだ。が、読売も黙ってはいなかった。ドラフト８位で、内海とバッテリーを組んでいた李景一を指名してきたのだ。使いもしないくせにやってくれる。おかげで、内海は東京ガスへと就職してしまった。イチローの背番号51を提示したにもかかわらず、だ。※　内海は今年、補強選手としてシダックスで都市対抗に臨むも、　　左肩痛で登板はなし。今オフには読売入りが濃厚だ。とにかく、ウチとしては大事な１位指名を逃してしまったわけだ。ここは敢えて冒険するのではなく、他の高校生を指名するべきではなかったか。浦和学院高の坂元弥太郎などはヤクルトの４位だが、甲子園で１試合19奪三振という快投を演じるほどの好投手だったのだが。＜1998年＞さあ、４年あるうちで最悪の年である。個人的には、最もやり直したいドラフトだ。高校生には、早熟の逸材がてんこ盛り。そんな中、オリックスが１位に指名したのは、沖縄水産の新垣だった。最速151キロという豪腕は、確かに魅力的だったのだが……。新垣もまた、他球団を頑なに希望していた。新人の獲得には、絶対の自信を誇る福岡ダイエー。ドラフト当日は、抽選の競合相手でもあった。当たりクジの行方は――？……勝っちゃったよ、仰木さん。どこまでも悪運の強い人だ。まさかとは思ったが、本当に当たってしまうとは。もっと幸の薄そうな人に引いて欲しかった。かくして、交渉権を獲得したオリックスだったが、新垣は全く相手にしてくれなかった。確かに、ＨＨＨの如き略奪婚ではあるが、話くらいは聞いてくれてもよかったものを。連日、報じられる記事にも事態の好転は認められず。そして、最大の悲劇は起こった。イチローを見出した、有能なるスカウトの自殺である。三輪田さん、どうして――？この件に関して、新垣を責めるつもりはない。むしろ、野球選手として挫折しなかったことにホッとしている。問題なのは、お偉方の対応力だ。近年稀に見る豊作であった、この年のドラフト。いくらでも１位候補はいたはずだ。例えば、明徳義塾高の寺本四郎。ロッテには投手として４位で指名されたが、明らかに打者としての資質に恵まれた選手だった。逆方向に長いのを打てる野手というのは、オリックスにとって貴重な存在となるはずだったのだ。因みに寺本は、今更ながら打者に転向している。人生、遠回りさせてしまった。さて、週刊少年ジャンプの打ち切りマンガのように突然で、かつ強引な結びだが、今日はここまで、である。それでは『新世紀エヴァンゲリオン』を意識して――。ハイ、次回予告スタート。♪　ＢＧＭ（少し時間がかかるかも）オリックスを去っていった、幾人ものスターたち。全ての始まりは、1989年のドラフトにあった。突如として企画されたこのシリーズ。はたして、きちんとオチをつけることは出来るのか？架空の世界が終わるとき、そこには悔しさが残った。次回「もしも２」！この次も、サービス、サービスゥ（声・三石琴乃）!!

  2003.09.04

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• 都市対抗

  やはり、日記というからには、その日にあったことを書くべきなのだろうが、今回は昨日のことについて、だ。８月31日（野茂の誕生日）、時間は朝の８時30分である。水道橋の駅から、東京ドームへと続くアーチを仰ぐと、やたらと人が歩いていた。「１レースから馬券でも買いに来たか」そうは思ったのだが、どうも様子が違う。確かに、競馬ファンも混じってはいたが、道行く人々がお祭り気分なのだ。別にＧＩが開催されるわけでもないし……。どうやら、ヤツらも我々と同じ目的らしい。第74回都市対抗野球大会、準々決勝。富士重工（太田市）vs.シダックス（調布市）。社会人野球を見るのは初めてだったが、こんなにも盛り上がっていようとは。朝も早いというのに、活気が漲っていた。とりあえず、関係者のふりして富士重工側へ向かう。性格上、野村シダックスを応援するのは許せない。……まあ、知人が富士重工の社員だったこともあるのだが。ともあれ、チケットはタダ。得をした気分で入り口をくぐると、黄色い団扇を差し出された。「オレ様に団扇など無意味！」と、ロック様の如く偉ぶりつつ、手ぶらのままで入場してみた。荷物は嫌いだ。ドーム内は、人ごみにあふれていた。いつもの通り、田口席（左翼席２を参照のこと）での観戦を楽しむつもりだったが、どういうわけか、通行規制が敷かれている。仕方なく、列に加わって内野席への誘導に従った。それにしても、凄い人である。日頃、オリックスの試合などを見ていると、こんなに寿司詰め状態の中で野球を見ることなど珍しい。左右にも上下にも空席がない。にゃにゃにゃにゃい（また「はねるのトびら」より）。しかも、みんながみんな、あの黄色い団扇を持っている。シダックス側もそうだ。全員がこれを持って手拍子するものだから、異様だ。千葉マリンの右翼席よりも強烈な光景であった。それにしても、都市対抗のスタンドというのは独特である。特設ステージらしきものが設えてあるし、フェンスにはスピーカーが括りつけられている。「何に使うんだ、アレは」などと思っていたら、ふいにスピーカーが喋りだした。先発の野澤という投手を応援したいらしい。聞けば「頑張れ」に続いて「野澤」コールをしてくれと言う。それでは、と構えると……。スピーカー「頑張れ～、野澤～！」イヤイヤ、合わせにくいから。周りの誰一人言えてないし。その野澤、いきなりシダックス打線の餌食に。なんと、早々と５失点。向こうの応援団は、江戸が大火事にでも見舞われたかのような騒ぎになっている。……いきなり試合への興味を失ってしまった。早朝ということもあって、欠伸を堪えながらの観戦だ。この試合、一体いつまでかかるの？しかし、攻守が入れ替わったところで目も覚めた。チアガールである。「私踊る！」「私配る！」の武富士じゃないが、特設ステージで踊るグループとスタンドを走り回って笑顔を振りまくグループとがいた。聞けば、彼女らは大学生だという。「心、洗われました」とは『機動戦士ガンダム0083』に出てきた、アナベル・ガトー少佐（声・大塚明夫）の台詞だが、まさにこの言葉通りの心境である。スタンドはまるで、80年代におけるアイドルの水泳大会のような華やかさに彩られていた。あ、因みに応援はベンチ入りが叶わなかった、いがぐり君たちも張り切っていたのだが、全く目に留まらなかった。古い表現で恐縮なのだが、「アウト・オブ・眼中」というヤツである。これを読んでいる読者の中には、「チアガールがそんなに珍しいか」と思われる方もいるかもしれないが、あァ、珍しいね。我が母校は、思いっきり男子校だったのだ。そんな中、試合がどうなったかというと、こんな感じである。シダ　５１０　０００　０１０　７富士　２１０　０００　０００　３流石は野村ＩＤ野球。細心の注意を払った、継投と守備固め。キンデランとパチェコのキューバコンビも威力を示した。補強選手として招集された内海は、かつてオリックスのドラフト１位を蹴ってくれた男だが、この日は登板しなかった。残念無念。一方、富士重工の方では、３番手で登板の平井が目を引いた。140キロ台半ばのストレートがコースいっぱいに決まり、面白いように見逃し三振を積み重ねた。自責点も０。実はこの平井、イップスの経験者だ。所属していた朝日生命の野球部が廃部になって、富士重工に移籍したばかりのことだった。「活躍しなければ」という強いプレッシャーが引き金で、捕手までボールが届かなくなってしまったのだという。彼はこれを克服するのに１年を要している。かつて、日本ハムの岩本がそうだったように、とにかく走って投げた。寺に通って座禅を組みもした。そして今年の春、遂に難病と訣別したのだ。一旦、アンダースローのように体が沈みかけて、そこからオーバーハンドで投げるという変則フォーム。スタミナには少々疑問符が付くが、好投手であった。だが、平井の好投もむなしく、富士重工の追い上げはならず。34年ぶりのベスト８進出に沸いたスタンドも、序盤はお祭り騒ぎだったのだが、最後の方はやや翳ってしまった。試合の展開が違っていれば、あの曲も聴けただろうに。♪　やっぱりスバルがナンバーワン　　Ｏ・Ｔ・Ａ　勝つぞ　太田～それともこの応援歌、ホンダや日産、トヨタ戦でしか歌わないとか。どうでもいいが、Ｏ・Ｔ・Ａでは“オタ”としか読めないのでは？何はともあれ、初の都市対抗はなかなか新鮮だった。“オラが町”同士の対決って感じで。そういえば、球場の入り口に、各チームの紹介パネルがあったのだが、「地域の有名人」コーナーには笑わせてもらった。大阪代表なんかは「多数」などと書いていたのだが、地方のチームなどは、苦労の跡が見て取れたりして。「塚原ト伝」だけって、鹿島市……。話は変わって、昨日は２日連続で西武ドームにも行ったのだが、完封負けを喫してしまった。これで観戦成績２分６敗。気分的にムカツクので、この試合についてはノーコメントで。

  2003.09.01

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• 助っ人

  甲子園の決勝戦が行われた日だというのに、今日はあえて助っ人のお話である。実はここ数年、外国人選手が覚えきれずに困っている。1950年代（1952～1959）　12.25人1960年代（1960～1969）　19.80人1970年代（1970～1979）　22.20人1980年代（1980～1989）　27.80人1990年代（1990～1999）　43.80人2000年代（2000～2003）　68.50人う～む、随分と繁殖したものだ。確かにこれだけ急増されては、全員を記憶に留めておくことは難しい。しかも、最近は何のインパクトも残さないうちに、帰国してしまう輩が多過ぎる。成績は残せずとも、何か一華咲かせようという気はないものか。そこで今回は、散り際に素敵な台詞を吐いて、我々に美しい思い出をくれたダメ外人どもを振り返ってみよう。＜事例１＞　グリーンウェル（1997年・阪神）レッドソックスの主力として、通算３割の成績を誇った実力派プレイヤーも、自打球による骨折であっさり引退宣言。出場したのは、わずか７試合だけだった。――やめる決心はいつですか？グ「翌日になっても足の痛みがひどくてなあ。　　選手には必ず引退するときがあるもんやし。　　骨折は引退の時だという“神からのお告げ”だと感じたんよ」――いかにも急でしたが？グ「（キャンプのときに痛めた）背中も100％やない。　　このままではチームに迷惑をかけるだけやろ。　　ワシはお金のために野球をやっているわけやないしな」――今後はどうします？グ「ワシは農場とアミューズメントパークを持っとるし、　　レーシング・チームのオーナーでもあるんや。　　アメリカへ帰っても忙しいっちゅうわけよ」――野球の仕事はしないんですか？グ「監督やコーチになるつもりはないわ。　　野球では成功して大人だったけど、人生経験はまだ子供や。　　大人になりたいわ」♪　疾風のように　現れて　　疾風のように　去ってゆく　　月光仮面は　誰でしょう～ヤツはきっとネバーランドの住人に違いない。大人になる日は永遠に来ないと思う。因みに“神のお告げ”といえば、2000年に西武の助っ人として来日したフェルナンデスも得意としていた。ベンチ裏の灰皿を勝手に撤去したり、秋田で偶然拾った木槌を素振り用に愛用したり。その理由は全て“お告げ”だったそうな。＜事例２＞　マネー（1984年・近鉄）本場のオールスターに４度選出された実績を持つ。来日してからも、１ヶ月で８本塁打と爆発し、かのノムさんですら「史上最強の助っ人」と絶賛した。が、ＧＷ明けの５月７日、突然の帰国。その原因はどこにあったのか？ヤツの場合、問題だったのは環境だった。当時の藤井寺は、日本一貧相な球場として名を馳せていた。狭く、汚いロッカールーム。マネーは思わず、こう呟いた。「おいおい、クラブハウスはどこにあるんだ？」海の向こうは、1960年代からドーム球場があるような国。その第一線で16年も体を張ってきた選手には、藤井寺の施設がまるで草野球チームのそれのように思えたのだろう。「まったく、このオレ様を誰だと思ってやがる。　こんなところでプレーをしているヤツらの気が知れないぜ」この男もまた、当時の助っ人にありがちな“プライド高男ちゃん”であった。それでも、流石はプロと言うべきか。開幕して１ヶ月は、きちんと働いていたのだが……。悲劇というのは、いつも突然やって来る。それは、神戸市北野にある高級マンションのとある一室で起こった。一家団欒のひとときを楽しむマネー家を、ある不吉な影が襲ったのだ。「ををう、こっくろ～ち！」と、メジャー通算176本のスターが叫んだかどうかは定かではないが、とにかくゴキブリが出たらしい。かくして、史上最強になるはずだった助っ人は、あっさりと帰国した。因みにこの年、パ・リーグでは阪急のブーマーが、外国人初の三冠王に輝いている。＜事例３＞　レスカーノ（1987年・大洋）最後にご紹介するのは、この男。こいつほど素敵な捨て台詞を吐いた助っ人は皆無だろう。レスカーノが大洋にやって来たのは、1987年のことだ。メジャーで148本塁打を放っている大砲候補は、前年に打率９位（.291）の成績を残したローマンを退団へと追いやり、マリオに似ているポンセの相方として期待された。しかし、これが不発だった。開幕直後こそ滑り出し上々だったものの、５月に入って打棒は湿りまくった。そして、22打席もの間ヒットが出なくなったところで、引退を宣言してしまったのだ。会見の席で、レスカーノはこう述べた。「昔は150キロの速球でも向かっていけたのに、　今は日本人投手の球が怖くなっちゃってさ。　精神的にも肉体的にも燃え尽きたってカンジ」日本人の球が怖くなった？んで、燃え尽きただと？どこの“根性なし男ちゃん”か、この野郎は。イヤ、むしろ見事と褒めてやるべきか。なぜなら、こんな弱音を吐かなかったら、こんなにも長く人々の記憶に留まることはなかっただろうから。因みにこの男、あまりにも早く退団してしまったため、『ファミスタ’87』ではアドゥチにその座を奪われてしまっている。合掌。まあ、こんな感じで来日するダメ外人の皆さんよ、せめて活躍できずとも、ひと笑いさせてくれ。

  2003.08.23

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• 酷使

  ヒジョ～に地味なのだが、オリックスの投手陣は今、未曾有の危機を迎えている。まずは、これを見て頂きたい。数字はチーム防御率である。1950年　広島　5.201980年　南海　5.63　阪急　5.081983年　ロッテ　5.121985年　近鉄　5.10　南海　5.051990年　ダイエー　5.56ご覧の通り、長い日本プロ野球の歴史の中で、チーム防御率が５点を超えたチームは、のべ７チームしかない。……７チームしかないのに。なんと昨日、ウチのチーム防御率が６点台に突入した。ありえない！にゃにゃにゃにゃい！※　CX「はねるのトびら」の人気コント、　　『栞と博のテーマ』より。因みにロバートの秋山、　　15日が25歳の誕生日だったはず。おめでたう。嗚呼、まさに“エヴリデイ火ダルマ”状態。その様はまるで、織田の鉄砲隊にドンパチ発砲され、バッタバタと討ち死にしていく武田の騎馬隊を思わせる。一体、この由々しき事態の原因は、どこにあるのか？答えの１つは、抑えの戦線離脱にあるだろう。平井………SPでパ・リーグ新記録を達成（当時）。鈴木平……日本シリーズの勝ち試合全てでSPを記録。小林………1995年、オマリーへの14球は語り草に。大久保……2001年の新人王を獲得。山口………日本最速158km/ｈをマークした高速右腕。萩原………投手転向２年目で守護神となったイチロー世代。注目すべきは、ここに挙げた全員が、抑えの切り札として２年連続で活躍できていないことだ。今までは代替戦力をもって穴埋めをしていたが、そろそろ持ち駒も底を尽いてしまった。ファンの間では、離脱の原因を「酷使」と見る向きがあるようだ。ならば、計算してみよう。皆さんは、BFS（Batters Faced per Start）というデータをご存知だろうか。木田優夫の愛読書でお馴染み、「ノーラン・ライアンのピッチャーズバイブル」の著者、トム・ハウスが提唱した先発の酷使係数である。今回はその理論を応用・簡略化して、以下のような公式を編み出してみた。（打者数）÷（登板数）これで、１回の登板ごとに何人の打者を相手にしているかがわかる。ピッチャーの分業制が確立された現代において、クローザーは最終回を３人で抑えるというのが理想的だ。しかし、打たれたり、ロングリリーフなどをやったりすると、商の値は上がってしまう。それはすなわち、ピッチャーが消耗していることを意味する。では2002年、各球団の守護神はどれだけ疲弊したのか。さっそく見てみよう。河原純一（読売）＝　4.0高津臣吾（ヤクルト）＝　3.6ギャラード（中日）＝　3.6バルデス（阪神）＝　4.6小山田保裕（広島）＝　3.7斉藤隆（横浜）＝　5.1豊田清（西武）＝　3.4岡本晃（近鉄）＝　4.0大塚晶文（近鉄）＝　3.6ペドラザ（ダイエー）＝　3.8小林雅英（ロッテ）＝　3.7芝草宇宙（日本ハム）＝　4.6さて、一方でオリックスの守護神たちはどうか。平井正史（1995年）＝　6.5鈴木平（1996年）＝　5.5小林宏（1997年）＝　5.9大久保勝信（2001年）＝　7.1山口和男（2001年）＝　6.9萩原淳（2002年）＝　5.4あう。これは随分とわかりやすい。まあ、確かにオリックスでは抑えのピッチャーが変な順番で出てきたり、２イニング投げたりすることが多いような気がする。特に21世紀以降は、守護神が年間通じて固定されていない。誰がどのタイミングで出てくるかがわからないのだ。これでは、中継ぎが万全な態勢で試合に臨めない。結果、パフォーマンスも落ちる。首脳陣は中継ぎに信頼を置かなくなり、不必要に先発を引っ張ってしまうことになる。こうした悪循環の中で、個人的に心配なのは、新人の加藤大輔である。酷使係数6.7。先発が１度あるので、少しだけ値は割高だが、近い将来に戦線離脱する危険性はかなり高いと思われる。レオンよ、もう少し加藤を大事にしてくれ！解決策は、１にも２にも投球制限を設けることだ。しかし、例えば通算315勝のあの人なんかは、こう言うだろう。「今の連中は体だけデカくて、体力ないわ～。投げ込みと走り込みが足らんのとちゃうか」……ハイハイ、草魂は永久に不滅ですね。

  2003.08.18

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• 校歌

  “甲子園には魔物が棲んでいる”確かにそうかもしれない。大会３日目。この日も日本を縦断した大嵐が、北の大地からやって来た球児たちの夢を摘み取ってしまった。前日、８点ものリードを奪っていた駒大苫小牧（南北海道）が、仕切り直しの試合で敗北してしまったのだ。まさに涙雨。一方、この雨に救われたのは、相手の倉敷工（岡山）だった。甲子園に響く、勝利校の校歌。♪　水島灘の　沖ゆく白帆も　　あこがれ仰ぐ　緑のいらか～音程は度外視。ただただ声を張り上げる倉敷工ナイン。画面には、力強い書体で歌詞がデカデカと流れている。そして刹那、我が目には信じがたい文字が飛び込んできた。♪　轟くエンジン　飛びちる火花～な、なんだとぅ……。「流石は工業高校」とツッコミを入れるべきなのか、これは。ってか、最近の校歌というのは、みんなこんな感じなのか。♪　意気と力の　溢るるところ　　我等が学舎　倉敷工業～まさか、こんな場面で笑いを持っていくとは。この衝撃的シーンを見逃した方、倉敷工が次に戦うのは、曽我健太を擁する今治西（愛媛）である。要チェックや（集英社『スラムダンク』彦一風で）！そうそう、校歌といえば桜美林（西東京）も変わっていた。この高校、1976年には甲子園初出場にして初優勝を遂げるというミラクルを起こしている。その当時、巷で話題になったというのが、この歌詞だ。♪　大空遥か　踵をあげて　富士の高嶺はのぞいてる　　桜の園の若人たちは　桜の園の若人たちは　　健やかに　逞しく育つかと　　ああ　オベリンナー　諸手をあげて　　イエス　イエス　イエスと　　イエス　イエス　イエスと　叫ぼうよ～……これはまた、ツッコミ所が満載な。オベリンナーって勝手に単語作っちゃってるわ、イエスをやたら連呼するわ、何のつもりなのか。まったく、校歌というのは侮れない。３年前には、酒田南（山形）がやらかした、こんな珍プレーもあった。甲子園初勝利を刻んだナインがなんと、校歌斉唱の最中にスタンドへと駆け出していってしまったのだ。一体どういうわけかというと……。実は、酒田南の校歌は非常に短いため、２番まで歌うことになっていたのだ。しかし、山形県予選では１番までしか歌っていなかったので、主将が勘違いして「礼！」と号令をかけてしまったというわけ。演奏が続いていることに気付いたナインが、慌てて戻ってきたことは言うまでもない。このように、甲子園には勝敗以外にも楽しみ様がある。試合が終わった瞬間、チャンネルを変えてしまうという方は、校歌斉唱にも刮目していただきたい。最後に、甲子園で流れるのはいつになることやら、という我が母校・安積高校の校歌をご紹介してお別れにしよう。♪　嫩草（わかくさ）萠ゆる安積野（あさかの）や　　雲に聳ゆる安達太郎（あだたろう）　　　　　 　　樹影（こかげ）さ揺らぐ風もなく　　　　　　懿徳（いとく）の華のかぐはしき　　　 　　　　礎かたき学宮（まなびや）に　　　　　　　　 　　励む吾が儔（とも）　幸多き……漢字が難しすぎて読めん。

  2003.08.10

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• バント

  さて、まずは連想していただきたい。プロ野球における“バントの名手”といえば？さあ、皆さんは誰を思い浮かべただろうか。川相昌弘？　宮本慎也？　それとも、もう少し遡って平野謙？　弓岡敬二郎？　和田豊？いずれにしても、だ。多くの人は、彼らのような典型的２番打者を連想したことだろう。しかし、今日の日記はもっと渋～い話題を取り上げようと思う。本日のテーマ！バントはバントでも“バントヒット”である。あのイチローが海を渡って唯一つだけ激変した点――、それは、バントヒットの数が増加したことだ。力勝負が根付いているメジャーでは“失われた芸術”と称されるこのスキル、内野安打を稼ぐには有効なのだが、使い手は日本球界を含めても、非常に稀である。少し興味が湧いたので、内野安打の日本記録を調べてみると……。いたのだ。この上ない名手が。樋口正蔵。1939年生まれ。元南海ホークス（62～71年）。通算1036試合出場、2847打数800安打。打率.281。シーズン内野安打日本記録保持者（55本）。見るとこの男、内野安打55本のうち、実に約半数の25本をバントヒットによって稼いでいる。ここ数年のデータによると、日米にかかわらずこの数字が20に届いたことはない。いかに樋口の記録が突出したものかがわかるだろう。当時、樋口は“ドラッグバントの名手”と呼ばれていた。※　左打者特有のセーフティーバントのことで、　　一塁方向にボールを“引っ掛ける”ようにして転がす。　　ほら、よくマウスを“ドラッグする”って言うでしょう？「一塁手に捕らせるのがコツ。そうすると、ベースカバーの投手との競争になりますよね。そうなればしめたもんです。三塁側へのセーフティーも交ぜながら、投手のダッシュをワンテンポ遅らせる。あとインコースの方が成功率が高いから、そこに投げさせる工夫もしました。ベースにかぶさって構えたり、外角はカットしたりですね。セカンドが極端に一塁寄りに守るときもあったけど、そのときはバスターで脇を抜けばいい。もう、これは騙し合いですよ」いやあ、奥が深い。樋口は名門・浪商の出身。２歳上の世代には山本八郎（元産経）、１歳上の世代には坂崎一彦（元東映）、そして１歳下の世代には張本勲（元ロッテ）がいる。そんなエリートたちに囲まれながらも、樋口の最終学年は不完全燃焼に終わる。それは、不祥事による大会辞退が原因だった。卒業後は法大に進学。その縁あってか、鶴岡一人（法大出身。当時南海の監督）から声がかかった。聞けば、監督自らレギュラーを確約してくれるという。父が営む鉄工所を継ぐつもりでいたが、心が揺らいだ。プロの世界へ――。しかし、鶴岡の期待に反し、１年目は散々であった。とても即戦力とは呼べない成績。そして、この反省をもとに習得したのがドラッグバントだった。指導にあたったのは、日系二世のカールトン半田。２年目にあたる1963年、樋口は日本記録を樹立した。ところが、名手は実に短命だった。その年の契約更改の席で、こう言われたのである。「バントはお客が喜ばんから、査定はできん」……まあ、やる気も失せるわな。以来、樋口の芸術は封印された。それでも、しばらくの間は２番打者として安定した成績を収めていたが、鶴岡の退団を契機に出番は減っていき、最終的には門田博光に定位置を追われる形となった。1971年、父が危篤との報せがあったことが転機となり、樋口は現役を引退。現在は家業を継ぎ、鉄工所の社長を務めている。「１つ自慢できるのは、新幹線の新車のディスクブレーキのボルトは全てうちの製品ということです」イヤイヤ、それはまた狭～い自慢だな！とツッコミたいところではあるが、彼の柔和な表情を見ていると、ただただ「いい人なんだなあ」と思えてしまうから不思議だ。因みにこの人、仕事の傍ら夢中になっていることがあるらしい。競馬である。樋口は父親から続く馬主であり、持ち馬の中には、74年の菊花賞で２着に入ったバンプトンオール、78年のダービーで１番人気となったバンプトンコールなどがいたという。まあ、島倉千代子の歌う通り「人生いろいろ」ということだ。

  2003.08.07

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• マスコット２

  ぴんぽんぱんぽ～ん♪　突然ですが、問題です。“日本球界初のマスコットは、何という名前でしょう？”正解は、最後のオチで。この問題を見た瞬間、「ブレービー」と直感した貴方は、とてもベタな男である。そんな簡単なはずないだろう。ブレービーは1981年、阪急のマスコットとして誕生した。これを演じていたのが、島野修。史上空前の呼び声高い、1968年のドラフト（山田久志、福本豊、加藤秀司、星野仙一、山本浩二、田淵幸一、東尾修、有藤通世、大島康徳らが入団）で、あの読売から１位指名されたほどの男である。選手としてはパッとしなかったものの、彼はマスコットとして1000試合出場（1996年６月15日達成）という前人未到の記録を打ち立てている。夏の暑さに加え、衣装は12キロ。時にはパフォーマンスの途中で骨を折ることもあった。それでも、ファンのために強行出場するあたり、ブレービーには職人魂が宿っていた。……まあ、ミーハーな話題はさておき。人々に長く愛されるマスコットがいる一方で、不人気のために、ほんの数年で行方不明になってしまうマスコットもいる。ドジャースが1998年に生み出した、“6-4-3DP”などがそれだ。このマスコット、R2-D2よりも遥かにアナログなロボットが、キャップとスタジャンを着ているだけという風体で、現在はもうスクラップになっている。あとは、ある程度の期間は起用されていたのに、露出度が少ないために定着できなかったというパターンも紹介しておこう。よくよく思い出してみると、オリックスにもいた。“ブルーパイレーツ”なるカルテットが。構成員はフック船長・ジャック・プクプク・ひげ丸の４人。1991年頃から、約８年間活躍していた。しかし、1999年にリプシーが登場して以来は、姿を見かけなくなってしまった。海賊なだけに“偉大なる航路”にでも旅立ったのだろうか。※　偉大なる航路＝グランドライン。　　週刊少年ジャンプで『ONE PIECE』を参照のこと。さて、そろそろ冒頭のクイズの解答でも発表しよう。答えは「ギョロタン」という日本ハムのマスコットである。このマスコットも、現在はいなくなってしまっている。何かの動物がモデルとなっているのだろうが、不思議生物にしか見えない。ファイティーもそうだが、日本ハムのマスコットは、全くかわいくない。因みに、本名は「ギョロメの舌吉」というらしい。名前のセンスも皆無である。ギョロタンは、ブレービーよりも１年早い1980年に登場。その後、いったん姿を消し、優勝争いを繰り広げた93年にふらっと再登場した。この問題を見て、自信をもって答えられた貴方は、どうしようもないマニアさんである。

  2003.08.01

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• マスコット

  今日、何となしにイトーヨーカドーを訪れてみたら、フロアの一角に縦縞のコーナーが設けられていた。まず、目に飛び込んできたのが、背番号“39”。……矢野だ。ここは東京・東村山。所沢はすぐそこだ。西武のお膝元で、よもやこのような光景に出くわすとは。今年のトラ景気は、本当に凄まじい。かの松下電工ですらも、来月にはこの流れに便乗するつもりだ。聞くところによると、それは点灯・消灯時に「六甲おろし」を歌う蛍光灯なのだそうだ。店頭の実勢販売価格は３万円ほど。トラキチは小躍りして喜ぶかもしれない。Ｖフィーバーにまつわる話は、まだまだある。「阪神優勝」の登録商標問題、虎模様のニシキゴイ繁殖成功、『週刊阪神Ｖ』発刊、カーネルおじさん避難，道頓堀のグリコ縦縞化などなど。中でも、個人的に興味津々なのが、トラッキー問題である。事の発端は今年の４月にまで遡る。これまで６年間、トラッキーの中に入っていたスタッフが、突然に解雇されてしまったのだ。「選手とプロレスをやったりする過激なパフォーマンスなどが、暴力的で悪い印象を与えかねない」解雇の裏には、そんな理由があったようだが、随分とつまらないことをやってくれたものだ。そもそも、あのやられっぷりが良かったのではないか。トラキチの中にも、この事態を遺憾に感じている人が大勢いたようで、現在は１万を超える署名を集めているという。「一緒に優勝の美酒を味わいたい」はたして、彼らの願いは届くのだろうか？しかし、遠く横浜ではこんな噂が囁かれている。「ブラックホッシーの中身は、元トラッキーじゃないか？」どうやら６月から登場したこのマスコット、選手にプロレス技をかけたり、カメラマンにちょっかいを出したりと、誰かさんそっくりのパフォーマンスを演じているらしいのだ。トラッキーとブラックホッシー、いずれも中身は謎ということなのだが、即バレである。魔界１号の正体が平田淳嗣だとわかるくらい、あるいは、ミスター・アメリカの正体がハルク・ホーガンだとわかるくらい、それは明らかだ。仮に両マスコットの中身が同じ人物だとすると、今後、彼はどのような身の振り方を選択するのだろうか。トラッキーに復帰して、ブラックホッシーはスポット参戦？それとも「弱い球団が好きなので」と、横浜に専念？あァ、そういえば横浜にはプロレス好きな選手が多いなあ……。

  2003.07.30

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• 魔球２

  今日は、あるナックルボーラーの物語を紹介しよう。男の名は、ジム・“ブルドッグ”・バウトンという。野球に関して天賦の才を持っていたわけではなかったが、1960年代のヤンキース王朝において、20勝を挙げたこともある、パワーピッチャーだ。ジムは何よりも、生まれつき才能がある者たちに対して、挑戦していくことを生き甲斐とする男だった。だが、通算成績は芳しくなかった。いわゆる、一発屋。人々にとって、彼は決して記憶に残るタイプの投手ではなかった。ジムが有名になったのは、むしろ選手時代の最晩年になってからだ。戦力としては、まるで機能しなかったものの、球界の内幕を赤裸々に明かした暴露本――「ボールフォア」が、たちまち全米でベストセラーに。一躍“時の人”となったのだった。1970年に現役を退いた後は、テレビの世界へと進出。そして、一流のキャスターとして大成した。ジムは、順風満帆な「第二の人生」を謳歌していたはずだった。ところが……。その７年後、ジムは突然のカムバックを決意する。周囲からは「どうせ、新しい本の取材だろう」と揶揄されたが、本人にとって、その行為は原点への回帰を意味していた。有名人の肩書きも、18室もある大邸宅も、何もかもかなぐり捨て、ジムはもう一度、挑戦者になりたかったのだ。1977年、かくしてブルドッグの長い旅が始まった。ホワイトソックスの名物オーナー、ビル・ベックへの売り込みに成功したジムは、２Ａのノックスビルで復帰への第一歩を踏み出し、独立リーグのポートランド、メキシコのドゥランゴと渡り歩いた。しかし、結果は散々であった。復帰にあたり、ジムはナックルボーラーへと転身していた。少年時代、まだ速球が投げられなかった頃に覚えた魔球。四十路目前のロートル投手には、最適の球種だ。だが、最初の１年は、どうしても速球へのこだわりを捨て切れなかった。過去の自分に縛られたまま、ジムは解雇された。そして、年が明けて1978年。背水の陣に立たされたジムは、また０から売り込みを開始する。そうして出会ったのが、ブレーブスのオーナー、テッド・ターナーである。２人は不思議と気が合った。ターナーもまた、変わり者なのだ。チームが前年の最下位だったこともあり、ジムは何とか契約を勝ち取ることができた。新天地は、サバナという２Ａの球団だった。ビッグ・リーグを夢見る若者たちがしのぎを削る中、ジムは誰よりもハードな練習をこなした。もちろん、世代のギャップは大きかったし、依然として「執筆活動のためのネタ作り」と批判するチームメイトも多かった。そんな中、転生したブルドッグは、鮮やかな投球を見せるのだ。この年、なんと12勝！やはり、活躍の秘密はナックルにあった。甦ることのない速球には見切りをつけ、魔球を最後まで信じ抜いた。それに、彼には強靭な精神力が備わっていた。「オレにはできる！」こうした姿勢は、チームの若者たちにも好影響を与えた。月日が経つにつれ、ジムは次第に周囲からリスペクトされるようになる。「異端児」「反逆者」と呼ばれた男が、自分を貫き通して掴んだ信頼。そして――。　　ほんの２、３時間前まで、ジム・バウトンは　　サバナ・ブレーブスの一員だった。　　　　ノックスビルやモンゴメリーといった町にバスで　　遠征する、２Ａクラスのマイナー・リーガーのひとりに　　すぎなかった。　　長い間、何光年も遥か彼方に思えたメジャー・リーグが、　　今ここサバナから車で５時間のアトランタで彼を待っている。　　そこに着けば、彼はアトランタ・ブレーブスの　　メンバー。39歳にして華やかな大リーグの世界に返り咲く。　　……。これはジムの偉大なる夏を綴った図書「カムバック！」の冒頭。1978年９月10日、彼は２年間で５万マイルにも達する長旅の末、遂に目的地へと辿り着いた。結局、この試合はドジャース打線に打ち込まれたものの、４日後のジャイアンツ戦では好投を見せ、勝利投手に。実に1970年７月11日以来の白星を手にしたのである。……う～ん。話は飛ぶが先日、競馬欄にはこのような記事が掲載された。「元手50万円、連続的中？で２億円に」競馬ファンの憶測によれば、この男は日本ダービー、安田記念、宝塚記念と連続的中させ、50万を２億にまで膨らましたのだという。最後の宝塚に賭けた金額は1222万円。発券機は一度に20枚までしか入れられないから、実に60回以上も投入を繰り返した計算になる。ジムの人生も似てはいないか。１）　天賦の才はなかったものの、ヤンキースで結果を残す。２）　その時に得た体験談を元に、暴露本を書く。３）　暴露本のおかげで、テレビ業界で成功を収める。４）　そして最後の大勝負！　全てと引き換えにメジャー復帰。まあ、いずれにしても怖くて面白い人生である。

  2003.07.17

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• 魔球

  カットボールが大流行している。 打者の手元でキュッと横にズレるこの球、 投球数を抑えるためにはかなり有効で、 肘への負担も小さく、コントロールも付けやすい。 投手の分業制が確立している海の向こうでは、 重宝されている球種である。 日本では上原や憲伸、松坂らが使い始めたことで 脚光を浴びるようになったのだが、お陰で最近は、 この球の第一人者であるマリアーノ・リベラの記事や映像を 随分と目にするようになった。今年のキャンプ、フリー打撃で松井をキリキリ舞いさせた彼は、 翌日「魔球を操る者」として日本中のメディアに取り上げられた。 しかし、待て。どうにも頭の中に“？”マークが浮かぶ。――カットボールは「魔球」と呼ぶべき球なのだろうか？そこで、今回は記者の誰もが使いたくなってしまう、このキャッチーな表現について徹底検証！ある事例から、真の魔球を明らかにする。その事例とは？　そう、消える魔球である。♪　思いこんだら　試練の道を　　行くが男のど根性　　真っ赤に燃える　王者のしるし　　巨人の星を　つかむまで　　血の汗流せ　涙をふくな　　行け行け飛雄馬　どんと行け～老若男女、全ての日本人がその胸に刻み込んでいるという、歴史上最もポピュラーな魔球がこれだ。出鱈目の限りを尽くしたメカニズム。星飛雄馬という男は、まさに究極のフィクションを生み出すファンタジスタだった。まあ、しょせんは虚構の産物……とタカを括るなかれ。実は、この球にこそ「魔球」の定義となる要素が隠されているのだ。その正体とは？　打者のド肝を抜く変化とメカニズム？もちろん、そうだ。しかし、何よりも重要な要素は別の所にある。すなわち――。魔球の使い手は、打たれようものなら、すぐさま二軍落ち、あるいは戦力外通告を受けなくてはならない。彼らは、いわば諸刃の剣を持つ戦士なのである。必殺の球が攻略されてしまえば、明日はない。この流れ星のような儚さこそが、「魔球」という単語に神秘性を与えているのだろう。一方、これを打ち崩さんとする打者もまた、美しい。彼らには、断固たる決意と覚悟、それに稲妻のような閃きがある。その点、カットボールはどうか。これといって、致命的なリスクを背負うこともないし、攻略法もシンプルだ。憲伸のライバル、由伸はこう明かしている。「真っ直ぐと思って振っちゃいますね～」か、軽いでしょう……？では、フィクションなくして「魔球」は有り得ないのか。いや、思いつく限りひとつだけあるのだ。 常軌を逸する変化はもちろん、打たれようものなら、 すぐさま戦力外を通告されるような、儚さを秘めた球が。それこそが、ナックル。 気まぐれな夢遊病患者のごとき、不可思議な軌道を描く。フィル・ニークロ、ティム・ウェイクフィールド、トム・キャンディオッティ、ホイト・ウィルヘルム……。彼らこそが、正真正銘「魔球を操りし者たち」なのだ。と、捻りのない結論へと辿り着いてしまったが、世の中、仕方のないことは沢山あるものだ。武藤敬司がスペース・ローリング・エルボーを打ってきたなら、甘んじてフェイスクラッシャーも食らうべきなのである。いつの世も「お約束」は大事にしなければ。

  2003.07.12

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• 甲子園２

  甲子園の話題ついでに、手前ミソなネタをひとつ。時は遡って2001年春、片田舎のある進学校が、夢舞台への初出場を決めた。第73回のセンバツから導入された、彼の地へと続く道……。21世紀枠である。これは恵まれない環境の中で練習を積み、秋季都道府県大会ベスト８以上に進出したチームなどを対象とする特別推薦枠である。甲子園への出場経験はないが、高校野球に相応しい活動を実践しているチームへの、いわばボーナスというわけだ。全国数千もの候補の中から選ばれたのは、沖縄の宜野座高校と福島の安積高校。そして、後者こそ100年以上もの歴史を誇る「我が母校」なのだ。３月25日、この日は大会の初日だった。相手は北陸の強豪・金沢。安積は戦前の予想を覆す大健闘を見せた。結果は１－５だったが、実際は点差よりも引き締まった試合ではなかったか。先制されるまでは、どちらかというと安積のペースだった。先発の坂井友樹を攻める安積に対し、金沢は２回から２枚看板の片翼・中林祐介（現阪神）が肩を作り始めていたし、３回に献上した先制点もアンラッキーな要素が絡んでいた。序盤の攻防で流れがガラリと変わった可能性もあったのだ。翌日のスポーツ紙には「価値ある１敗」だの「歴史的１点」だのという表現が用いられた。確かにそうだ。それまでの安積にとって、甲子園の舞台は、遥か西方にあるという天竺よりも遠い場所だった。グラウンドにはいつも「甲子園で校歌を歌う」というプラカード。しかし、それは望んでも叶わぬ夢だと思っていた。とはいえ、応援だけは凄まじかった。何せ1000人を超す生徒全てが男子なのだ。男子校ならではの大迫力。この時も、アルプススタンドには5000人もの大応援団が駆けつけた。夏の地区予選、生徒達は挙って夏季講習を抜け出して応援に行く。進学校の安積において、野球の応援以外の欠席理由は認められなかった。生徒らは試合観戦ではなく、応援を楽しむために球場へと足を運んだ。地元の新聞は、試合そのものよりも学ランの応援団を大きく取り上げる。大きな旗と鳴り響く太鼓の音、そして声を枯らすほどに張り上げられた声援。新入生は入学早々、応援歌練習なるスパルタ教育を受け、伝統の応援様式を身に付けていく。場数を踏むと、何かが弾けたようにハイテンションになって応援するようになる。初めは鬼のように見えた団員達も、次第に仲間意識が芽生えてくる。攻撃のときも、守備のときも安積の応援が途切れることはない。暴走気味の応援に、一部では「マナーが悪い」とのクレームがあるようだが、あの非日常的な空間と解放感はとても好きだ。卒業して間もなく、応援団は一時危機に陥った。団員がいなくなってしまったのである。これが時代の流れというものなのか、あまりにもストイックで時代錯誤な慣習は、生徒達に受け入れられなくなっていた。しかし、応援団は復活した。そして、甲子園という晴れ舞台に立ったのである。現役よりも盛り上がる卒業生達。そこにはいつか見た、懐かしい光景があった。明けて４月からは共学となった創立119年の我が母校。彼らがあんなにも燃え上がるのは、最初で最後かもしれない。だからというわけではないが、これだけは断っておきたい。安積という字は「あづみ」ではなく「あさか」と読む。よく間違われるので気を付けて頂きたい。

  2003.07.08

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• 甲子園

  ＰＬ学園のＫＫコンビが、真紅の優勝旗を掲げた夏。21年ぶりに目覚めた猛虎が、日本一に輝いた秋。1985年、舞台は「甲子園」――。この年、高校野球を題材にした、あるアニメが大人気を博した。あだち充の代表作『タッチ』である。♪　呼吸を止めて一秒 　　あなた真剣な目をしたから　　そこから何も聞けなくなるの 　　星屑ロンリネス　　きっと愛する人を大切にして　　知らずに臆病なのね　　落ちた涙も見ないふり　　すれちがいや　まわり道を 　　あと何回過ぎたら　　二人はふれあうの　　お願い　タッチ　タッチ　　ここにタッチ　あなたから　　タッチ　手をのばして受けとってよ　　ためいきの花だけ　束ねたブーケ～ほ、「星屑ロンリネス」って一体……。まあ、それはさておき。いつの時代も、ミーハーな人はいるもので、生まれてきた双子に「達也＆和也」などと名付ける親もいたようだ。1980年の「大輔」ブームを髣髴させるこのネーミング、やはり両親は、大の野球好きとのことらしい。掛布雅之、谷沢健一らを輩出した、習志野高校野球部に籍を置くこの双子、姓は薩田という。達也は１番ショートのレギュラー。和也はこの春に野手転向を果たし、現在はベンチ入り20人枠を目指しているとのこと。1985年11月22日生まれ。写真を見る限りはクリソツである。唯一つ違う点は、達也が右利きなのに対し、和也が左利きであることくらいか。初めて２人が「タッチ」の再放送を見たのは、地元のソフトボールクラブに通っていた、小学生の頃である。「自分たちだ～!!」何とも微笑ましいリアクションをかましつつ、彼らはこの時、ようやく両親のミーハーっぷりに気付くのである。2003年――。薩田兄弟は、高校最後の夏を迎える。プロ野球では、阪神がペナント・レースを独走。再び甲子園球場を熱く沸騰させている。果たして、彼らはこの舞台に辿り着くことが出来るのか？因みにこの兄弟、女性の好みは違うと言うから、南ちゃんを取り合うことはなさそう。

  2003.07.07

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