もの不足 ジェネリック医薬品、粉ミルク
カネがすべての資本主義社会の黄昏が、名門企業を含む諸々の検査不正の温床かもしれない。 一定の限界がみえている市場の中で、コスト競争を続ける業界は、正当な手段でのコスト削減に限界を感じ、不正な手段をとるしかなかったのだろう。 ジェネリック医薬品の製造・検査の不正発覚・業務停止命令を契機とした医薬品の供給不足が続いている。 はじまりは小林化工(福井県あわら市)が、水虫などの皮膚病用の飲み薬に睡眠導入剤を混入させた問題。健康被害が相次ぎ、2021年2月に116日の業務停止処分を受けた。 続いて3月、ジェネリック医薬品大手の日医工(富山市)、10月に長生堂製薬(徳島市)が業務停止処分を受けるなど不祥事が続いた。 安価なジェネリック医薬品の不足により、先発医薬品の不足・出荷制限も生じている。 ジェネリック医薬品のコスト引き下げ競争激化については、薬価の引き下げも影響しているというから、ことはややこしい。 薬の供給不足 深刻な状態続くジェネリックの2500品目以上で2022年5月16日 NHK ジェネリック医薬品メーカーの製造上の不正をきっかけに、去年の夏ごろから全国的に薬の供給不足が深刻な状態が続いていますが、依然として少なくとも2500品目の出荷が滞っていることが業界団体の調査でわかりました。 医薬品の供給をめぐっては、去年、ジェネリック医薬品メーカーの大手「日医工」を含む8社で製造上の違反が発覚して業務停止命令が出され、出荷の停止が相次いだ影響で去年の夏ごろから全国的に供給不足が深刻化しています。 こうした中、ジェネリックメーカーでつくる「日本ジェネリック製薬協会」が会員企業37社の供給状況をまとめたところ、5月10日の時点で合わせて2516品目の出荷が滞っていて、これはジェネリック医薬品全体のおよそ4分の1にあたるということです。 また、この影響で不足した薬の代わりに需要が高まった先発医薬品でも出荷の制限が続いていて、全国の医療機関や薬局では一部の薬が手に入りづらい状況が依然として続いています。 こうした状況を受けて厚生労働省はメーカー各社に増産を要請していて、これまでにジェネリック大手の「沢井製薬」と「東和薬品」の2社が生産体制を大規模に増強する計画を発表していますが、工場の増設や国の承認を得る手続きなどで2年ほどかかる見込みだということで、現在の医薬品の供給不足が解消する当面の見通しは立っていません。 ― 引用終り ― ものが満ち溢れていると思われる米国では、意外や乳児用粉ミルクの不足が生じ、中間選挙を控えるバイデン政権を揺るがす事態になっている。 こちらはコロナ禍から復帰し経済活動が活発化していることも影響しているとのこと。 モノはあっても「モノ不足」は長引く傾向にある。 米国で粉ミルク不足が深刻政権に批判、輸入急ぐ2022/05/17 47NEWS 米国で粉ミルクが不足し、幼い子どもを育てる世帯への影響が深刻化している。11月に中間選挙を控えるバイデン政権は批判の高まりに危機感を強め、16日に輸入を増やすなど対応を急ぐ方針を表明した。 粉ミルク不足は、米最大手アボット・ラボラトリーズのミシガン州にある工場の稼働停止がきっかけだ。今年2月、同工場で製造された粉ミルクを飲んだ乳児から感染症の症状が報告された。 新型コロナウイルス禍で停滞した経済活動の正n常化が進み、離職していた子育て中の女性の職場復帰が増えたことも供給逼迫に拍車をかけた。 ― 引用終り ― 現在の定時・定点・定量をフルに活かして製造拠点を集約し、サプライチェーンを整えて「効率化」された資本主義社会が、危うい一線で成立していることが分かる。 「不足なら輸入すればよい」という手法も考えられるが、物流量の大半を占める海上物流にかかわる港湾労働者の不足は日米共通の課題となっている。 国境を越えた製造拠点の集約がすすめられている中、ロジスティクスのボトルネックは各所の散在している。 ここにロシアによるウクライナ侵略戦争、イエメン内戦などのカントリーリスクが加算される。 海外は「賃上げラッシュ」なのに、なぜ“安いニッポン”は我が道を行くのか2022年5月17日 ITmedia ビジネスオンライン / 世界的な「値上げラッシュ」を受けて、さまざまな国で「賃上げラッシュ」が起きている。 米国のロサンゼルスでは、物価上昇を受けて7月1日から、最低賃金がこれまでの時給15ドルから16.04ドル(約2000円)へと引き上げされる。これは中小零細だからと免除されるようなものではなく、全ての事業所が対象だ。 また、米小売り大手ウォルマートは商品を配送する長距離トラック運転手の賃金を一気に25%と大幅に引き上げ、入社1年目の新人でも最大11万ドル(約1400万円)の年収を得られるようにした。 … (略) … ご存じのように、日本は他の先進国と比べると、賃金が安い。この30年さまざまな国が賃上げを続けた中で、日本だけはビタッと低賃金が固定化され、昨年にはついに韓国にまで平均給与や1人当たりの労働生産性で抜かれてしまう有様だ。 そんな「異次元の低賃金」が続く日本なので当然、この世界的な物価上昇にも「異次元の対応」をしている。 その中でも、海外の人々が衝撃を受けるのは、この問題を政治がまるで他人事のようにスルーしている点だ。 諸外国では「物価上昇に合わせて賃上げだ」という感じで、政府などがある程度の強制力をもって大幅賃上げを断行しているのに、日本政府の場合は「賃上げしたら良くないことが起こるのでは」「じっくりと議論を重ねよう」なんてムニャムニャ言っているだけで結局、「何もしない」という方向に落ち着いている。 ― 引用終り ― まずは調査、そして「業界」がどんな施策を欲し、その施策でどんな影響を受けるか推測してから対応策を決定ということらしい。時間をかけている間に、日本経済は世界に対して地盤沈下を続ける。 人口減による労働力不足は既に人口構造(厚生労働省管轄)から明らかになっているが、「業界」は別ということなのだろう。 働き手不足がモノ不足を招くことも、大いにあり得る。 国土交通省 公式サイト港湾労働者不足の実態調査 近年、港湾運送事業において労働者不足の深刻化が指摘されていることを受け、国土交通省としてその実態を把握するため、令和2年12月から令和3年1月にかけて全国の港湾運送事業者1,154者を対象に初めての「港湾労働者不足に関する実態調査」を実施し、48.5%にあたる560者から回答を得ました。 調査結果を踏まえ、今後、所要の対策に取り組んでまいります。 ― 引用終り ―