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千菊丸2151@ お久しぶりです。 仙人草さま、お久しぶりです。 イケ君…
mifess@ お元気ですか 2012/03/01 仙人草21さん >その後、記事の掲載が進…
仙人草21@ こんばんは。    mifessさんへ お元気でお過ごし…
mifess@ お元気でいらっしゃいますか? 生活環境が種々変化してくると、言葉に出…
仙人草21@ kyonkyonさん、こんにちは! いつも温かいコメント、ありがとうござい…

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* 一葉 *さん

Jan 25, 2008
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カテゴリ:カテゴリ未分類
 朝になって、ぼくは学校に行きたくないと思った。

何か、休む理由がないかなと考えたけど、思い浮かばなかった。

 昨日の夜、イケに正直になろうと、あれだけ決心したのに。

一晩寝たらもうぐらつきはじめている。どうしてこんなに、ぼくの心は動いてしまうのだろ

う。ボンドでくっつけてしまいたいぐらいだ。イラッとしながら、そう思った。

 イケは、野島さんの手紙を見て、ぼくから遠ざかっていくなんてことはないと、信じたかっ

た。

「塁、遅刻しそうだぞ。大丈夫か。気をつけて行けよ」

 おじいちゃんはそう言って、耕ちゃんと一緒にお隣に行った。

昨日のお礼と今日また何処かに連れてってもらうお礼に。

 ぼくは仕方なく、のろのろと登校した。

イケは、始業のチャイムが鳴っているのに、校門の前にいた!

ぼくは、びっくりしたけど、もう目の前で何かが動き始めたと、思った。もう引き返せない。

「ルイ、遅かったな」

 イケは、いつもと変わらない調子で訊いてきた。

「うん。走ろう、イケ!始まっちゃうよ」

「始まったって、いいじゃん!手紙、持ってきたかよッ」

「持ってきたよ。イケ、行くよッ。走るよッ」

 イケは多分、走って来ないかもと思った。

でも、ぼくの後から走ってくる。その瞬間、ぼくは、きっと、イケとずっと友だちでいられる

と、確信できた。

 休み時間に、イケと二人で図書室の非常階段にべたっと座り込んだ。

ドアを閉めてしまえば、ここは、誰にも見つからない。

 ぼくは、黙って手紙をイケに渡した。

イケは、封筒に書かれた字を見た。

「ノジの字だ」

 一言、そう言った。表をみて、静かにひっくり返して裏を見た。

ぼくは、息をつめてそんなイケを見ていた。

イケは、そのまま中身を読まずに、「返すよ。ほらッ」

 と、言った。

「どうして、何で読まないの?」

「読まなくても分かるよ」

「何で、分かるんだよッ。読みもしないでッ」

 ぼくは、ほっとしたのに、何でだか、突っかかるように言った。

「読んでいいよッ。イケ」

「分かるから、いいって」

「何で、読みもしないで分かるなんて言うんだ?」

「分かるさ。名前をちゃんと書いてないじゃん。ノジだっていうこと、誰にも知られたくない

んだよ。宛名の、ルイにだけしか知られたくないんだよ。どうでもいいことを、書いてるんな

ら、偽名なんか使わないね。オレ、ノジの気持ち分かる。ノジはこの手紙、誰にも見られたく

ないんだぜ。だから、オレ、絶対見ない。ルイ。コクられたろッ、ノジにッ?」

 ぼくは、びっくりして何も言えなかった。

イケは鋭いと思った。

 ぼくが黙っていると、イケは、

「オレ、ノジに相談、してもらいたかったよ。学校来なくなってしまったし、な。オレ、ノジ

の味方なのに、よ。ルイより、ずっとずっと、味方なのによ。ルイよりオレの方が、ノジを守

れるのにな。人生って、うまくはいかねーな」

 人生!ぼくは、そんなことを言うイケが凄いと思った。

そして、その後、ぼくはイケがものを沢山知っていることに、驚くことになるのだ。

                            つづく





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Last updated  Jan 25, 2008 11:51:08 PM
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