テーマ:車に関するお話(10463)
カテゴリ:車
我が家の車は1996年製のTOYOTAタウンエースノアですが、運転席と助手席にSRSエアバッグがあります。 タカタ製エアバッグが全世界で大量にリコールされているのは、ご存知だと思います。 2000年頃まで、エアバッグのガス発生剤として「アジ化ナトリウム」が使われていました。 しかし、アジ化ナトリウムは、1998年ころから頻発した混入事件の影響で、毒物指定されたことで使われなくなります。 代わりに硝酸アンモニウムや硝酸グアニジンを使ったエアバッグが製造されるようになりました。 そして現在、硝酸アンモニウムが使われたタカタ製エアバッグがリコール対象になっています。 つまり、タカタ製エアバッグが大量リコールされたキッカケは、アジ化ナトリウム混入事件ということになります。 もし、今もエアバッグにアジ化ナトリウムが使われていれば、異常爆発による死傷者やリコールにつながらなかったかもしれません。 混入事件の犯人は、どれだけ多くの人命や財産を奪ったのかを自覚すべきでしょう。 エアバッグ作動時は、ガス発生機(インフレーター)の中でガス発生剤を起爆し、発生した窒素ガスをエアバッグに導くことで展開します。 助手席用エアバッグのインフレーター断面図です。 円筒形です。 最初はスクイブという小さな点火装置に着火します。 スクイブが発射体(撃針)を押して金属膜(隔壁)を破ります。 すると、アクチュエーターが作動し、伝火剤を着火、推進剤(ガス加熱材)着火することにより、圧縮ガスが膨張します。 最後に膨張した圧縮ガスはインフレーターがら放出され、エアバッグを膨らませます。 運転席エアバッグは、中央に円盤状のインフレーターが内蔵されています。 爆発力が強すぎると、インフレーターが破裂し、飛散した破片が乗員に当たるおそれがあります。 海外では実際にインフレーターの破片に当たった人が亡くなっています。 リコールされたエアバッグでは、生産管理に問題があったとの報告がありました。 しかし、材料がアジ化ナトリウムだった場合でも同じような問題が発生したのでしょうか? また、インフレーターなど、エアバッグ自体の機構設計や強度計算には問題がなかったのでしょうか? インフレーターの気密性が損なわれたことで異常な爆発につながった事例も報告されています。 硝酸アンモニウムは、「相安定化硝酸アンモニウム」に加工されていたようですが、気密性が損なわれると、安定しなくなるようです。 (参考:廃車ドットコム エアバック大量リコールの始まりと終わりは) そもそも、アジ化ナトリウムが毒物指定されたからといって、それを使わないと決めた理由が不明です。 毒物指定されたことで管理工数が増えすぎて、採算が合わなくなったのでしょうか? しかし、毒物指定されていないからといって、硝酸アンモニウムや硝酸グアニジンの管理工数が少ないとは思えないのですが。 硝酸グアニジンは、自己反応性物質として第5類の危険物に指定されていますが、毒物よりマシなのでしょうか。 製造から廃棄までの間、しっかり管理したらよいだけの事ではないかと思います。 廃棄に関しては、自動車リサイクル法により、処分費用の先払いが義務化されたため、エアバッグも適切に廃棄されます。 エアバッグの処分は、「取外回収」か「車上作動処理」が選ばれます。 (参考:第5章 エアバッグ類に関する具体的な実務) ちなみに、我が家のTOYOTAタウンエースノアは1996年製なので、アジ化ナトリウムが使われているはずです。 エアバッグを装備している古い車種がリコール対象外なのは、比較的「安全な」アジ化ナトリウムが使われているからだと思います。 もし危険なら、今回のリコール以前に、硝酸アンモニウムに切り替えるタイミングでリコールされているでしょう。 (お知らせ) noahnoah研究所は、2016年2月から"http://ito.o.oo7.jp/nnl/"がメインサイトになりました。 これまでの"http://homepage3.nifty.com/nnl/"は、2016年9月29日にサービスが終了します。 ミラーサイト"http://freett.com/nnl/"は、2016年3月31日に廃止されました。 お手数ですが、ブックマークを"http://ito.o.oo7.jp/nnl/"に変更してください。 → 伊藤@横浜のROOMへ行く → このnoahnoah研究所のブログ内をGoogleで検索する → noahnoah研究所に戻る → noahnoah研究所掲示板(^o^)に行く → 伊藤@横浜へメールを送る ※このnoahnoah研究所のブログ(http://plaza.rakuten.co.jp/noahnoah/)の画像および文章は、出典元を示していただければ、私に事前許可を得ることなく、引用していただいても構いません(出典元を示さず盗用しないようにお願いします)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2016.06.20 23:53:23
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