黒田研二『ペルソナ探偵』
~講談社ノベルス、2000年~
黒田研二さんによるノンシリーズの長編。デビュー後第二作目の作品です。
作家を志す6人の男女が参加する<星の海☆チャットルーム>には、主催者を除き、それぞれの本名、連絡先を一切知らないというルールがありました。星の名前をハンドルネームとして、彼らは率直に感想を言い合える、というわけです。
そんなメンバーの何名かが、それぞれ事件(?)に巻き込まれます。スピカは、人気バンドのライブに行くためにお金がほしいと思っていると、ある探偵事務所のスイッチを押すだけで高額のバイト料を払う、という奇妙な依頼を受けます。友人ととともに引き受けるスピカですが、その後に思わぬ事件がまっていました。
アンタレスは、演劇サークルのメンバーと山で「殺人ごっこ」を行います。自身が殺人者役となったアンタレスですが、他のメンバーは怪しい男を山で目撃していて…。
カペラは、浮気の後、失踪していた夫が、浮気相手に殺されたことを確信し、辺鄙な駅におりたち、相手のもとを訪れます。しかし相手は、夫の遺した手記の矛盾点を指摘し、犯行を否定するのでした。
彼らは事件に巻き込まれる中で、ときおりチャットルームのメンバーに意見をもとめながら、真相にたどり着くのでした。
…が、ある日、メンバーの一人が殺されたということで、素性を伏せていたメンバーが一堂に会することとなります。そこで明らかにされる真相とは。
と、いくつかの短編が入れ子構造になりながら、全体がつながっていく、という趣向の作品です。
2000年刊行ですから、初読は20年以上前になります。例によってほとんど内容は忘れていましたが、楽しく読み進められました。
(2021.07.05読了)
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