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高齢猫の慢性腎不全闘病記
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2006/03/09
高齢猫の血栓症闘病記 第4話
(1)
テーマ:
ペットの病気。。。(1100)
カテゴリ:
カテゴリ未分類
実家に到着し、ニャンタンを用意してあったざぶとんの上に寝かせてあげた。
帰る「家」は、実家とアパートのどちらがよいか悩んでいたのだが、もうこれ以上は移動させられないとわかった。
そんな負担にはたえられないだろうと思えるほど、ぐったり状態はさらに悪化していたのだ。
家に帰ってきたのに、何の反応もなく、ますますどろんとした目になっていた。
帰ったら焼かつお、と思っていたが、この状態ではあげないほうがよいと思い直した。
部屋の中は少し寒く、しばらくエアコンをつけていたのだが、空気が乾燥してしまうため、ホットマットをざぶとんの下に敷いた。
そんなこと、ニャンタンが来る前に準備しておけばよかったね。
ずっとニャンタンの体を撫でていたが、家に帰ってから首を起こしたのは1~2回だったと思う。
それでも、きっと意識が戻ってくれると信じていた。
ちゃんと目が覚めたら焼かつお、のつもりだった。
自分は、回復を待ちながらニャンタンの隣で寝ることにした。
腕枕のなかで眠って欲しかったのだが、さすがに無理やり首を起こすのは負担になると思われたので、手をつないで眠ることにした。
どうしても、ニャンタンと一緒に眠りたかった。
ほんのつかのまでも…
ニャンタンがあまりに静かだったことと、疲れがたまっていたこともあってかか、いつのまにかうとうとから熟睡に変わっていた。
母に起こされたのは19:40を少し過ぎた頃だった。
「…ニャンタン、やっぱり駄目だったよ」
「うそっ!」
意識を呼び戻すより早く、反射的に返事をしていた。
母は、自分が寝ている間もたびたび様子を見てくれていて、洗い物をする前に見に来たときには生きていたと言う。
目を離した5~10分くらいの間に、ニャンタンは息を引き取ったのだ。
すぐに起き上がり、ニャンタンに触れてみる。
もうずいぶんと冷たい。
自分が握っていた手だけがあたたかかった。
きっと少しずつ体温が低下していたのだろうと思う。
もっとあたためてあげたほうがよかっただろうか?
いつものように、もっとぴったりくっついて、あたためあいながら一緒にいてあげたほうがよかったのだろうか?
ニャンタンは、かけてあった布の裾を軽く噛んでいた。
布を抜き取ると、開いた口の中で、舌が縦になっていた。
目はさっきまでと同じように、麻酔がかかったようなどろんとした目だった。
母はすぐにニャンタンの目と口を閉じさせようとしていた。
早く閉じないと、開いたままかたまってしまうというので、自分も手伝ったが、少し不自然な顔になってしまった。
それから、点滴を止めて、ニャンタンの腕から針を抜いた。
想像していたより血が出てきて、少しびっくりした。
母は苦しむような声は聞こえなかったと言っていたし、自分もまったく気づかず熟睡していた。
激しく苦しんだとは考えられないが、それでも眠るように死んでいったとは思えない。
痛みや苦しみ以上に、不安や恐怖があったかもしれない。
こんなに近くにいるのに、それを伝える力も残っていなくて、ひとりさみしく死んでいったのではないだろうか。
ニャンタンが死んでゆくときに、グーグー寝ていた自分は、いったい何なんだろう。
トラが死んだとき、自分は死に目には会えなかった。
今日明日が峠、と聞き、トラに会いに実家に帰ったのだが、自分がここにいるということは死ぬのを待っているということなのでは? と思い始めてしまったのだ。
死ぬときに一緒にいてあげたい、という気持ちが、死ぬことを期待している気持ちのように思えて、その場にはいられなくなってしまった。
次の日、通常通り出勤したものの、仕事が手につかず早退した。
しかし、1~2時間前に息を引き取ったのだと知らされ、後悔の涙が止まらなかった。
こんなに後悔するのなら、どんな気持ちであれ一緒にいるべきだったと。
そのことがあって、ニャンタンをひとりで死なせたくないという切迫感はあった。
逃げ出して後悔するようなことはしたくない、とずっと思っていた。
でも、「死ぬのを見届けたいから」目を離さない、なんてやっぱりできなかった。
いつもみたいに一緒にいたかった。
まだ死ぬなんて信じたくなかったよ。
きっと意識が戻ってくれて、焼かつおを食べてくれると思っていた。
どれも自分の心の中の問題だ。
そんな葛藤、ニャンタンには関係ないのに。
両親に点滴セットの返却をお願いし、自分はニャンタンと一緒にいることにした。
自分がずっとなで続けていたせいか、ニャンタンの毛皮はずいぶん綺麗になっていた。
友人にも連絡しなければ、と思い、電話をして来てもらった。
ニャンタンが生きている間に呼ぶべきだった、と今更思った。
友人に相談しながら、ケータイからブログを更新。
その夜は実家に泊まった。
ニャンタンをざぶとんごと、ふとんの隣に寄せて、手をつないで寝た。
常夜灯だけがともる部屋の中、ニャンタンの顔を見て、もうこんなふうに一緒に眠ることはないのだと、何度も何度も泣いた。
けれど、夜中に目が覚めたときには手を離してしまっていた。
帰宅してからもぐったり
何を見ているのニャンタン?
消えたいのち
そっと目を閉じて…
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Last updated 2006/03/19 01:57:26 PM
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