Walking in the air
夜のスーパーで、遅い買い物に出かけました。大体いつも午後10時を過ぎてしまいます。その頃のスーパーは、人が少なく、ゆったりと買い物が出来ますが、滅多にお会いすることのないはずの知り合いの方に、出会ったりするのも、なんとなくてれくささ半分、懐かしさ半分、といったところでしょうか。もうひとつ、夜のスーパーには必ず、あまりスタイルはよくありませんが、礼儀正しい守衛のおじさんが立っていて、律儀に挨拶してくださいます。これも同輩の男性の私には、てれくさいことのひとつです。特に、「ごくろうさまです。」と挨拶していただくと、せっかく忘れていた疲れが、どっと襲ってきたりします。「夜」、「スーパー」、「男ひとり」、「食料品の買い物」といったキー・ワードが、私をてれくさい気持ちにさせ、そこに「ごくろうさま」が加わると、もう逃げ場を失ってしまうのです。 たしかにてれくさいのは真実ですが、私自身は、といえば、けっこう夜のスーパーでの買い物を、楽しんでいる部分もあり、日によっては、疲れがとれる場所でもあるのです。好きなレタスが、安い日は売り切れてしまって、ちぎれたレタスが3,4枚、売り場に散乱していたり、かと思うと、悪天候で高騰したレタスが、山積みになって売れ残っていたりする光景は、興醒めです。でもそんな光景も、夜のスーパーならでは、のことです。こんな日記を書いていたら、私の大好きな古典文学、吉田兼好の「徒然草」が思い浮かんできます。兼好法師がこの夜のスーパーのレタスを見たら、どういうふうに表現するだろうか?と思うと、楽しくなってくるのです。 今夜もレタスやハムを買いに、夜のスーパーに出かけ、お店に入りました。すると、耳にやさしいメロディが、一日の仕事のあと、オカリナ教室も終えて、ホッとした気持ちと、疲れて休みたい気持ちが入り混じった私を、心地よく迎えてくれました。聴こえてきたのは、電気の音ですが、あのメロディは、歌のメロディであることは、音域がヒトの声の音域なので、すぐ分ります。どこかで聴いたメロディで、オカリナで吹いてみたくなる曲です。そこで買い物はあとにして、とにかくスーパーにあるMr.Donutに飛び込んで、適当に美味しそうなドーナツひとつとコーヒーをオーダーして、いつものように、すばやくバッグからひっぱりだした封筒の裏に、ドレミでメロディを書き留めていきました。書き留めてからおもむろにMr.Donutを出て、ゆっくり買い物です。きょうは安くて新鮮で、豊富な品数のレタスを選んで買い物をしながら、どこで聴いた曲かを、一生懸命思い出してみました。そうだ、あれはたしか、つい最近入手したばかりの、Celtic Woman のCDの中の一曲だったような気がします。早速帰って、聴き返してみたら、それは一番最初の、“Walking in the air” という歌だということが、すぐ分りました。歌詞は、夜二人でお空を飛んでいくと、おうちや公園が小さく視界の下に見える、というとてもファンタジーに富んだ内容です。これって恋愛の歌なのでしょうか?「夜」、「ふたり」、「空を飛ぶ」、というキー・ワードは、なんとなくディズニーの「アラジン」の、“A whole new world”のイメージが思い浮かんできます。