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意外な戦史を語る~  カモメとウツボのメクルメク戦史対談

意外な戦史を語る~ カモメとウツボのメクルメク戦史対談

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2009.08.14
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(カモメ)有泉司令は衝撃的な提案を士官全員に提案しました。それは「自沈すれば賠償金などで、それだけ日本国民に負担をかけることになり、申し訳がないから、全員自決すべきと思うがどうか」というものでした。

(ウツボ)全員自決とはすごい提案だね。

(カモメ)だが、「自決するにしても拳銃は全部で六挺しかない。准士官以上は軍刀をもっているが、見苦しい人が出たのでは具合が悪い」「乗組員は二百名もいるから立派な自決ができそうにもない。だからこの際は自沈しましょう」などと言い出す士官もいて、反対論が出たのです。

(ウツボ)有泉司令の提案は保留の形になった。一方、この会議では、「内地に帰れば、軍人は全て戦犯として処刑されるか、捕虜となるかもしれない。とにかく内地に帰るにしても、三陸沿岸か北海道に入港、米軍の目にふれないように解散して行方をくらますべきである」という意見も出た。

(カモメ)そんな中で、航海長の坂東大尉は「命令どおり内地に帰投すべきである」と強く主張しました。彼が新婚早々であったという理由だけでなく、これは正論であり、皆この常識的意見を支持したのです。それで一応は、内地に帰投することに意見が決しました。

(ウツボ)この頃、内地の晴嵐の六三一航空隊基地でも、混乱が起こっていた。搭乗員の竹内少尉、若狭少尉ら若手将校が「内火艇を用意し、武器、弾薬、糧食など積めるだけ積んで海賊になり、朝鮮海峡で暴れまわろう」と意気巻いていた。

(カモメ)また、「今更おめおめと復員できない」と山本大尉が中心となり、内火艇に糧食などを積み込んで瀬戸内海の小島に立てこもり、糧食が尽きるまで約一ヶ月間頑張りました。

(ウツボ)整備分隊では、酒の入った整備分隊長が先任下士官に対し「今から腹を切るから、お前介錯しろ」と言い出し、先任下士官を大慌てさせた。

(カモメ)そうですね。ところが、その切腹するはずだった分隊長は翌日、広島の実家がやられたからと、トラックに天幕や物資を積んで逃げるように帰っていきました。

(ウツボ)また、整備分隊の下士官二名が、日本刀を抜いて、日頃面白く思っていなかった整備兵曹長を探し回るという一幕もあった。

(カモメ)内地の晴嵐の航空基地でも混乱が起きていたのですね。海上の伊四〇一に戻ります。結局、伊四〇一は鉄拳を振り上げたまま、内地に帰還しなければならなくなったのです。艦内は騒然としていました。

(ウツボ)乗員たちは有泉司令や南部艦長の言動に注意を払っていた。戦死はなくなったが、別の意味で死への不安があったのだね。

(カモメ)なにしろ有泉司令は全員自決を主張したのですからね。一方、飛行機搭乗員は万死に一生も無い精神の緊張を一挙に解かれ、安堵というよりは虚脱感に包まれていました。

(ウツボ)八月二十四日ごろ、内地が近くなった。伊四〇一は昼夜を問わず水上航走を行った。八月二十五日、陸海軍人に対する二度目の「復員」の勅語を受信した。米内光政海軍大臣の「解員」の訓示も受信した。

(カモメ)そこで南部艦長は司令塔に訓示を掲示しました。もはや心は定まったのですね。有終の美をなすために全力を尽くせと説いたのです。そして最後に一首の短歌を示しました。「この恥辱わが子に孫に語り継ぎ生きて祖国の礎となれ」。

(ウツボ)その夜、南部艦長は以前からたくわえていたひげを落とした。八月二十六日、内地に向う艦船は一切の武器を捨て、マストの上に黒球と黒の三角旗を掲揚せよと指令してきた。

(カモメ)黒色三角旗は国際旗信号の規定で「われに降伏の用意あり」という意味を表す降伏旗ですね。

(ウツボ)そうだね。伊四〇一では魚雷と飛行機をのぞいて、いっさいの武器、弾薬、暗号書など秘密書類を海中に投棄した。その後、攻撃機晴嵐と魚雷を発射、投棄した。晴嵐は翼をたたんだまま、捨てられるのを悲しむようにカタパルトから去っていった。しばらく浮いていたが、やがて沈み始め消えていった。

(カモメ)三機目を射出する時、船田隊飛行長か浅村飛行長か、他の誰かかも分からないが、万歳の声が上がりました。このような悲壮な万歳はあまり聞かれなかったということです。

(ウツボ)魚雷も八十番爆弾も発射管から射出投棄した。だがこのような作業をしながら、皆、敗戦、降伏とはどんなものなのか、不安があった。内地はいったいどうなっているのか。

(カモメ)その頃米海軍では、東京湾内の戦艦ミズリー号で日本の降伏文書調印式を数日後の「九月二日」に控え、停戦処理を円滑に進めるため、まだ太平洋上にいる日本の潜水艦を求めて空と海から全力で捜索を行っていました。

(ウツボ)八月二十九日夕刻、日本列島沿岸を哨戒中の米軍パイロットは、ゆっくりと北上している黒い物体を発見した。

(カモメ)鯨にしては大きすぎたので旋回しながら高度を下げると、それは潜水艦にしては大きすぎるほどの異様な物体だったので、パイロットは唖然としました。信じがたいものを見た感じだった。

(ウツボ)だが、まもなく、それは紛れもなく日本潜水艦であり、世界最大と思われるほどの驚異的な潜水艦であることがはっきりした。巨大潜水空母、伊四〇〇だった。

(カモメ)パイロットは直ちに「降伏旗をつけた日本潜水艦を発見」と打電し、この報告電報は東京湾に向け航行中の米海軍の潜水母艦プロテウスが受信したのです。








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最終更新日  2015.08.15 09:11:10


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