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テーマ:自己啓発すすめ(778)
カテゴリ:人生を楽しもう♪
<会社つくろうか?> 電話機販売の仕事で知り合ったチョウさんは、30代の時に東京で事業をしていたことがあり、事情があり会社を閉めて仙台に戻ってきていた事をある日聞かされます。 そして、チョウさんが当時から付き合いのある日販が取り扱う、専門書の復刻版を東北地方で販売してみないかとの誘いがあることを知ります。 取りあえず、当面は収入を山分けし内、資本金を貯めて会社をつくろうということで、チョウさん、ヤマさん、そして私の3人は新たな仕事を始めます。 内容は至って真面目です。まず、最初に取り扱ったのが「書品」という本と書道全集(全8巻)の復刻版です。 昔、中国で石などに彫ったものを紙に写したものらしく、書道家の方はよく知っているというのです。 「書品」はセットで35万円します。これを販売するとバックマージンが10万円になります。 販売する方は、師範クラスのお弟子さんを持つ書道家の先生で、書道全集はそのお弟子さん用としてセットで8万、これを販売するとバックマージンが2万になります。 やってみて初めてわかったのですが、書道業界もいろいろと派閥があるのです。○○書道協会、△△書道協会、□□書道協会、○○書人会、などなど、それぞれが大きな組織で師匠と呼ばれるドンがいます。配下には大人の師範格のお弟子さんが50~100人近くいます。 まず、図書館に出向き書道関係の業界を調べて、名簿をコピーして入手します。それぞれの会のドンにアポイントを取り、いざ訪問です。 ほとんどパターンが2~3時間もの間、自慢話を聞かされます。挙句の果てに「う~んこの書品、欲しいんだけど35万とは随分と高いねぇ」こちらもすかさず「先生!お弟子さんにこの書道全集を是非お勧めください!1セット8万円ですが、ご紹介くださったら先生に1万円バックします。最低35人分集めて頂ければ、無償にて書品をお届けいたします!」ほぼ100%これで決まりです。 「それじゃ注文書を50枚ぐらいおいていきなさい。」そのような返事が返ってきます。このようにして、東北6県の書道業界を全て回り、ほぼ売り尽くしました。 営業マン実質1年生の私は、車の運転手をしながらチョウさんより営業マンとしての手ほどきをマンツーマンでおこなってもらいました。また、文章の書き方や話し方、本も沢山読むようにとの教えも受けます。 「書品」と「書道全集」を売り終わった私たちが次に取り扱ったのが、「廣文庫」という昔の百科事典の復刻版です。 本物はB4程の大きさがあり、戦争でほとんど焼かれてしまっており、県立図書館の鍵付の書庫に保管されているような代物です。その復刻版はA4のものです。 早速、図書館へ向い情報の入手です。と、その前に係りの人にお願いをし、「廣文庫」の本物を書庫から出してきてもらい拝ませていただきます。私には何が貴重なのかは実のところあまりピンときていませんでした。 どんなルートで販売をしようか少し難しく、東北大学の文学部の名誉教授であった○○先生という方にアポを取り、相談と推薦文のお願いに伺いました。 実は、大学というものの構内に入ったのはこの時が初めてです。早めに到着した私たちは、他の学生と廊下で時間がくるまで順番待ちです。 そして、ようやく先生にお目にかかる時間がきました。「おお!これは懐かしいですねぇ!」先生は「廣文庫」の復刻版を手にするなりそのように仰いました。持参していった和紙と筆ペンを手渡し、それに推薦文を書いていただきました。 この「廣文庫」の復刻版は、難しすぎてあまりよく売れませんでしたが、一応東北6県を回りました。 次に販売したのが「民俗学全集」の復刻版です。また、いつものように図書館に出向き情報収集をします。 日本民族学会というものが存在すること、恥ずかしながら柳田国男や「遠野物語」のことも初めて知りました。 営業で日本民族学会会員を回っているうちに、「遠野物語」は実は弟子の折口信夫が原案を作っていたなどという裏話まで飛び交います。 私は別にそんなことどうでもいいから、「民俗学全集」を買ってほしいと思いました。これも、東北6県を売り歩き、そこそこ販売しました。 肝心の収入に関しては、不規則で稼ぐ月はそこそこいきますが、無いときはないので結構不安定なところもありました。 また、諸経費が意外とかかるものだということもここで学びました。 『経験』 何ごとも経験、まずは行動して身体で覚えろ。そんな教えをどこかで聞いたことがありますが、本当にその通りだと私も思います。 若い時の経験は、その人間的な未熟さから浅はかな部分も散見され、後になって振り返ると恥ずかしい氣持ちになります。 しかし、その時だったからこそ出来た経験でもあるのです。 生涯勉強を貫きたいと考える現在の私にとって、この若い時の経験はお金では買えない、かけがえのない財産なのです。 特に若いうちにはいろんな経験をし、 そして失敗したり、恥をかいたほうが いいと思っています。 それは、何ものにも代えられない 自分自身の人生の 大切な大切な財産なのですから。 明日に続きます。 予告・・第5章【青年期(社会人生活その2)】<将来に向けての決断><社員60人の米穀会社> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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