ゲーデル,エッシャー,バッハ /ダグラス・R.ホフスタッター
ゲーデル,エッシャー,バッハホフスタッターこの本は何度もここで名前を出している本だ。それであえてとりあげるのは、おれのひらめいたアイデアはおそらくこの本で書かれている可能性が高いからだ。この本はすでに2回読んでいるのだが、前に読んだときには、7~8年前で、そのときはよく理解しようともせずに、とにかく全部読むことだけを目標にしていた。だから、細かい内容は忘れてしまっている。理解するために読むのはこれからだ。でも、この本を読んでいなかったら、今回のひらめきもなかったのはまちがいない。この本は一日に10ページ読んだとしても70日以上かかってしまう。しかも、大きさがB5くらいあって、二段組になっているために、1ページが通常の文庫などの4倍近くの文字数がある。だから、10ページ読むのも1時間では済まない。その内容も、理解しながら読まなくてはならないので余計に時間がかかる。もともと、難しい抽象概念を、平易に書かないで、考えさせるように書かれているので、理解しながら読むのには時間がかかるのだ。でも、時間をかければ理解できるようには書いてある。著者のホフスタッターのこの本を最も読んでもらいたいと思っている想定読者は頭のいい中高生らしい。おれは中高生では、無理だと思う。いくら頭がよくても基礎知識が不足していると思う。数学的な本なので確かに、中学生から読むことはできると思うが、よほどの天才でも難しいはずだ。この本のテーマはゲーデルの「不完全性定理」とそれを拡張すると出てくる「自己言及システム」である。それで、そのことについてさまざまな例を取り上げながら説明していく形を取っている。この本はアキレスと亀の対話で問題提起し、各論に導入する形になっている。この対話部分だけでも、非常に考えさせられる。いちいち論理的な構造を考えながら読まないとうまく理解できない。各論で書かれていることを前もってある程度知っていれば、理解は早いだろう。今のおれは、前に読んだときとは別人のように知識がある。この本で例として取り上げられていることに対しても、ある程度の知識は身についた。今こそ本当に理解できる本だと感じている。この本は1985年に出版され、5500円と高価でしかも750ページの二段組でしかも、内容は論理学をベースにしたものにも関わらず、売れたらしい。現在も非常に評価の高い本であることから、この本は難しいが、よく読めば必ず理解できるように書かれているということはまちがいないのだと思う。難しいが、決して読みにくい本ではないし、論理的にまちがっている部分もないこともまちがいない。いくつかパズル的作業をすることを強制されるのだが、それをちゃんとやらないと、最後まで完全に理解することはできない。そこを乗り切れるかどうかで、この本を最後まで、楽しく、理解して読めるかが決まる。難しい概念は平易な言葉で書かれているので、あとは読者の理解力次第だな。おれの場合は前に読んだときにはその理解力が足りなかった。それと、読み急いでしまったこともあって、じっくり論理的な思考をしなかったこともいまいち理解できなかったことの原因でもあるかな。ホフスタッターも言っているように、この本はゲーデルやエッシャーやバッハのことを知らない、中学生でも読めるように書かれている本だ。おれは最近、マインズ・アイホフスタッター/デネット。を読んだ。それでホフスタッターのすごさを再認識した。デネットも、相当にすごいことで有名だが、ホフスタッターはその発想や文章のおもしろさにおいて、はるかにデネットを凌駕していると感じた。逆に感じる人もいるのかも知れないが、おれにはそう感じた。マインズ・アイも10年前のおれではよく理解できない本だったと思う。でも、ほぼ書いてあることは理解できて、それを応用することもできた。おれは進歩した。昔、読んだ本を読み返すと自分の進歩がよくわかる。次回はその典型的な例を取り上げるつもりだ。衝撃を受けた本があるのだ。10代の頃にものすごく影響を受けたのだが、今はその本の主張を確実に退けられるようになってしまっている例が見つかった。そのことを書いてみたい。この持っている本シリーズは、何かを書くときのその書きたい内容のメタファーになるようにすることがあると思う。今回はこの本を取り上げたのはそういう理由だ。そう書いてしまうとメタファーではなくなってしまうのだが、次回からはそうなると思う。ぜんぜん関係のない本の場合もある。そのときは深く考えないでほしい。今日も肝心のひらめきを書く時間はなさそうだ。クリックしておいたほうがよさそうだと思う。↓おれのために