怪獣亭非日常

私が子供の頃、本や雑誌の付録にレコードがつくことがあった。
原色の赤や青のペラペラのレコードはソノシートと呼ばれていた。
ソノシートは朝日ソノラマの登録商標らしいのだけれど一般名であるフォノシート（こちらは比較的きく）やシートレコードはあまりなじみがない呼称である。
今回見つけたのは「帰ってきたウルトラマン」のフォノシートである。
「幼稚園」71年7月号の付録。
「アーストロン登場」
「夏休みの怪獣」の2編が収録されている。

「アーストロン登場」
文字通りアーストロンが出現。郷はアキに公園にいる次郎を助けて欲しいと頼まれる。
次郎は逃げられなくなった子犬を助けようとしているらしいのだ・・。

・・・ここまでで読んでいる方は違和感をほとんど感じていないと思うのだが実際にフォノシートを聞いている私は非常に違和感を感じている。何故か。

このドラマは声優がオリジナルの俳優ではない。
アキの声は榊原るみに似ているようだが武藤礼子のようにも聞こえる。
次郎は間違いなくロボコンや花沢さんの山本圭子だろう。

問題の郷秀樹の声は・・・なんか低音で怪しい親父の声にしか聞こえない。

この怖ろしげな声は多分・・・柴田秀勝なのである。

Ｊ９シリーズのナレーション・・機械伯爵・・いやもっとわかり易く言えば
あしゅら男爵にジェネラルシャドウにジャーク将軍。
悪役声優ベスト10を作れば必ずランクインしそうなあの人が優しい郷さんを・・・。

この人に「さあ、子犬を助けて逃げよう」なんてドスのきいた声でいわれても、後で絶対何かしそうで信じられない。
犬を暗殺用の機械に改造するに違いない。

・・ともかく怪しい郷はウルトラマンに変身してアーストロンと対決。
霞ヶ関ビルや東京タワーを犠牲にした派手な立ち回りの末、
ウルトラマンは必殺の冷凍光線でアーストロンをコチコチに凍らせた・・・。

・・・・・やっぱりアンタはウルトラマンじゃない・・・・。

「夏休みの怪獣」
第二話は郷とアキ、次郎の三人が伊豆の下田（具体的だなあ）に海水浴にやってきた。
「準備体操をしなくてはね」
こ、怖い。恐怖の余り次郎は身を縮こまらせながら準備体操をするのだった（推測）。
そこへタッコングが出現。ヨットの人を救うため郷は・・・
怪獣にはねとばされた。
それで変身。（ピンチにならないと変身できない新マン。まさに命がけの変身）
海中戦。「ウルトラマンは海の中はちょっと苦手だ」という大変丁寧な指摘。まあ、結果はタッコングをスペシューム光線で倒す・・という意外性のない非常に当たり前な結末を迎える。

夏休みの怪獣・・あまり関係ないなあ、夏休みと怪獣は。

ドラマそのものよりも郷さんの声が怖い一席いかがだったでしょうか。

とはいえ美研の紙芝居のドラマ（「ウルトラ大決戦」）とかでもウルトラセブンが永井一郎だったりするさらに強烈なものがあるわけで、まあ「これはこれで」なのかもしれない・・・。