中国と沖縄とハワイとビートルズ♪
この組み合わせは何だ?
実は、長年お世話になった先輩の女性社員が退社するので、
彼女と働いたことがある仲間数人で送別会を行った。
会社の部門で別に大きな送別会があったみたいだが、最後は同じグループにいなかったので、ささやかながら親しい人たちだけの送別会だった。
ぼくは、その先輩の女性社員の笑顔や優しさに、どれだけ助けられたことか。
仕事がたてこんで、パニクったり、期限が間に合わないかも、なんて思っていると、そんなことは大丈夫よ、といわんばかりの彼女の笑顔で、心は落ち着き、癒され、冷静になって仕事に対処することが出来た。
彼女の人柄のなせるわざかもしれない。
ぼくは、彼女に感謝しても、しすぎるということはない。
そこで、今回は幹事をかってでて、個室で美味しい中華料理を食べることにした。先輩の男性社員たちや、女性の同僚たちも集まって、親密な会が始まった。
料理は美味しいし、ビールはいつのまにか紹興酒にかわり、会話もはずんでいた。これ以上、飲んじゃうと酔っ払って、演奏できなくなるかもしれない、
と思い、おもむろにウクレレを取り出した。
送別のために、少し練習してきた曲がある。
最初は、ウクレレ・ソロで歌はなし。
選曲をいろいろ考え、どんな音楽で送り出してあげようか、と考えていたが、やっぱりメロディの美しい曲がいいと思った。
1曲目は、ポール・カッカートニーの
『My Love』
先輩の女性も、まわりの男性も、ぼくの弾くウクレレにあわせて、ハミングしてくれる。
ちょっと、ウクレレで弾くと、曲の魅力の一部が表現しきれないのだけれども、やっぱり今日は、ポールで行くぞと思った。
2曲目は、サッチモ(ルイ・アームストロング)のダミ声というかしわがれ声で暖かく歌われた
『What A Wonderful World』
この曲のほうが、ウクレレがメロディを綺麗に出せた気がする。
みんな、喜んでくれたな、と思っていたら、個室に、レストランの支配人風の中国人男性が入ってきた。そして、おもむろに
「お客さん、音楽の演奏が上手いですね。素晴しいですね。
うちにも女性二人、音楽を弾く人がいますので、
どうぞ、お客様のご指導のもと、いっしょに共演してやってください」
と、言われたのだ。
「お客さまのご指導ももと」なんていう言い回しは、いかにも中国人らしいが、なんか、面白い展開になってきた。
そこに、中国琴と、ニ胡を演奏する中国人女性2人が個室に入ってきて、楽器をセッティング。
支配人が、「最初、彼女たちだけで演奏しますから、そのあいだに、何の共演するか、考えておいてください」と言う。
すると、中国琴とニ胡で、
『川の流れるままに』
を演奏してくれた。その後、中国の曲で
『漁舟唱晩』
という曲を演奏してくれた。
先輩の女性も、みんな意外な展開と音楽のプレゼントに大喜び。
別に、ぼくが仕組んだわけではなく、お店からのサービスの一環なのだ。
では、「何を共演しますか?」
と言われて、ぼくは、ウクレレと中国琴じゃ音量も違うし、キーをあわせなくちゃいけないから、そう簡単に共演できないぞ、と思っていると、
先輩の男性社員が、
「じゃあ、『We are the World』を演奏してください。」と勝手にリクエストしている。
「みんなで、歌えるからいいじゃないか」と。
中国琴とニ胡で、
『We are the World』を演奏してもらうと、みんなで、歌詞を口ずさんでいる。
ただ、やっぱりニ胡の自由な間の取り方に、そうかんたんにはウクレレでは合わせられない。
次に、喜納昌吉の「花」が、リクエストされ、
ぼくは、ニ胡の弾くメロディを聴きながら、なんとかウクレレを少しだけ弾いた。こんあんだったら、事前に打ち合わせして練習しとけばよかった、かな、とも思ったが、
誰も知らなかったサプライズがあって、みんなほんとうに楽しそうにしていたので、よかったと思った。しかし、この
中国 x 沖縄 x ハワイ という不思議な組み合わせはなんだろう!
その後、中国琴だけで、
中国で、昔、宮廷料理が出される時に、食事の雰囲気や食べるスピードを勘案してよく演奏されていた、という曲を演奏してもらい、嬉しい音楽のサプライズは終わった。
この意外な展開にみんなが喜んで、また食事と紹興酒が進み、デザートが出た頃、またぼくはウクレレを取り出した。
まあ、はじめからブレイクをはさんで、2回 演奏しようと思っていたので。
今度は、ウクレレの伴奏での弾き語り。
最初は、『Over the Rainbow』
ちょっと、しっとりした感じで弾き語りしたら、先輩が
「こういう曲って、ウクレレに合うわね」と喜んでくれた。
ちょっと、しんみりしすぎてはいけないので、
最後に、ビートルズの『ヘイ・ジュード』の弾き語り。
この曲に、ほとんどの参加者が、声を出していっしょに歌ってくれたのだ。
みんな、メロディくらいは知っているだろとは思ったが、
歌詞まで、こんなに知っているのには驚いた。
♪Na_,_na na, na na, na na___
Nana na na___ Hey Jude♪
では大合唱となり、エンディングで、ストロークで盛り上げて、明るい感じで演奏を終わった。
やっぱり、こういうときは、メロディが美しくて明るい感じになる、
ポール・マッカートニーの曲がいいよなぁ、と思った。
退社する先輩の女性は、いつにもまして笑顔が輝いていた。
退社した後は、ボランティア活動をするのだという。
そのための研修を受け始めたらしい。
会社をやめても、ボランティア活動で頑張って欲しいし、彼女の笑顔なら、どんなひとでも心穏やかな気持ちになるだろうな、と思った。
なんか、音楽演奏会っぽい送別会になってしまったが、おくる人もおくられる人も、みんな会社じゃみせたことがないくらいの笑顔いっぱいだったので、ぼくもとっても嬉しくなり、こころが和やかになった。
こんな嬉しい気持ちでおわる送別会だった。
やっぱり、先輩女性の人柄のおかげかもしれない。