その1から
1960年代から、ソウル系、R&B系のセッションに引っ張りだこで、
アレサ・フランクリンやダニー・ハザウェイ、クインシー・ジョーンズなど、その道の偉大なシンガーのレコードでギターを弾いている。
スタッフやガッド・ギャングで、そうしたソウル、R&B系をベースに独自のフュージョン・ミュージックを作って来たといえる。
今は無き、スタッフ時代の朋友、エリック・ゲイルは、どちらかというともう少しジャジーなギターを弾く。このふたりのいたスタッフというユニットはあらためて偉大だったと思う。
さて、「Tee」でも、ロニー・キューバーのバリトン・サックスが大活躍で、これで、コーネル・デュプリーのバンドのサウンドがソウルフルなベースの上にに、さらにファンキーな要素を付け加えている。
バリトン・サックスの咆哮するようなソロは、ほんとうに聴いているだけでぞくぞくする、破壊力がある。
3曲目は、意外な選曲だった。コーネルがMC。
「次の曲は、ジョーザヴィヌル(ウェザーリポートのリーダーで、最近亡くなった)が、キャノンボール・アダレイ(ジャズ・サックスの巨人)のために書いた曲、
<マーシー、マーシー、マーシー>
思わず、コーネルと一緒に、曲名を口に出して言ってしまったくらい、嬉しい選曲だ。
演奏は、非常に粘り強いグルーブで、
ロニー・キューバ(bs)、ピアノ、ギターのソロを存分にフィーチャーしているのだが、
そのそれぞれの職人芸のようなプレイと全体の心地よくかつファンキーなグルーブはもうたまらない。
4曲目は、ロニー・キューバがMCをした。
「スティーブ・ガッド(ds)の曲で、<My Little Brother>」
コーネルもロニーもスティーブ・ガッドのバンド「ガッド・ギャング」で演奏していたので、それにちなんだ選曲かもしれない。
この曲では、コーネルは脇役に回って、普通のギター・カッティングをしている。
主役はロニー(bs)だが、音がバカスカ動き回るバディ・ウィリアムスのドラム・ソロも見事だった。
5曲目は、MCがふたたびコーネル。
「次の曲は、Over Thirty(30歳以上の人)ならおなじみの曲だろう」と言って、曲名を教えてくれない。
しかし、聴き覚えのあるメロデディ。
歌詞が頭に浮かんできそう。「Honey」かな。。
いや違いました。60年代のヒット曲「Sunny」でした。
こうした歌モノは、やはり抜群にコーネルが上手い。
まさに、コーネルのギターが歌っている。コーネル・デュプリーの歌心というか、メロウな一面を聴かせてくれた。
ソロも、コーネル⇒ロニー⇒ピアノ⇒コーネル
と次々に展開していく。
6曲目は、「古い曲をやります」といって、いきなり始まった。
ロニーの渋く低い音域のソロに、コーネルのギターが裏に入る。
曲名は
「Honky Tonk」だった。
コーネル・デュプリーは、MCであまり多くはしゃべらないが、少ない言葉の中でも、ゆったりとした動作とともに、非常にユーモアがある。
7曲目は、
「We gonna play something.」と言ったので、
てっきり「(次に)僕たちは「ある曲」を演奏します」と言ったのだと思った。
観客の多くもそう受け止めたようで、笑い声があがる。
ところが、演奏がはじまると、それは正真正銘の
「Something」
ジョージ・ハリスンがビートルズの時に書いた曲だった。
ロマンティックなギターのメロディ、
ロニーのファンキーなバリトン・サックス。
コーネル・デュプリーとSoul Survivorsのサウンドは、
ソウルフルでファンキーなばかりではなく、ソフト&メロウでもあったのだ。
まさに、Pop、ソウル、R&B、Blues、ファンクの全てが混ざり合った音楽。
まさに、言葉の正確な意味においての「フュージョン」ミュージックだ。
その3に続く