ジェネシス live in ローマ
Genesisの15年ぶりの再結成ツアー。そのヨーロッパ公演の最終日、ローマのチルコ・マッシモ(Circo Massimo)という古代遺跡の大競技場で行われた。その様子を収めたのが、Genesis『When in Rome 2007』だ。正月休み、普段はゆっくり観られない音楽のDVDをいっぱいみた。その中で、素晴らしかったものをいくつか紹介したい。プログレ・ファンには周知のことだと思うが、Genesisは、ピーターガブリエルが在籍した、演劇的要素の強いプログレ・バンドピーター・ガブリエルが抜けた穴を、ドラムスをたたいていたフィル・コリンズが埋めた、演奏力を前面に出したプログレ・バンドギタリストのスティーブ・ハケットが抜けて、フィル・コリンズ(lead vo, ds)トニー・バンクス(vo, key)マイク・ラザフォード(vo, g, b)の3人が残って、よりポップ色の強いロック・バンドの時代をへて1996年に、フィル・コリンズがソロ活動に専念したい、という理由で離脱。あたらしい、ボーカリストを入れて、新しいCDを発表したが、あまりヒットせず、自然消滅的な形になっていった、という歴史がある。このローマでのライブは、3人になったGenesisフィル・コリンズ(lead vo, ds)トニー・バンクス(vo, key)マイク・ラザフォード(vo, g, b)に加えて、演奏力を強化する上で、Genesisのツアーに不可欠な存在となった、ダリル・ステュマー(g)チェスター・トンプソン(ds)の5名の最強の布陣。特に、ツアーで、チェスター・トンプソンが参加することによって、フィル・コリンズが、曲によっては、ボーカルに専念できるほか、チェスターとフィルの迫力あるダブル・ドラムスが演奏できる、というあらたな魅力を創り上げた布陣でもある。,ジェネシス/ホエン・イン・ローマ...ジェネシス 2007ホエン・イン・ローマ...ジェネシス 2007/ジェネシス[DVD]送料・代引手数料が無料!ホエン・イン・ローマ...ジェネシス2007ジェネシス/ホエン・イン・ローマ...ジェネシス2007DVDは3枚組でディスク:1 1. Dukes Intro2. Turn It on Again 3. No Son of Mine4. Land of Confusion 5. In the Cage 6. Afterglow 7. Hold on My Heart 8. Home by the Sea 9. Follow You Follow Me 10. Firth of Firth 11. I Know What I Like (In Your Wardrobe) そして、ボーナス映像ディスク:2 1. Mama2. Ripples 3. Throwing It All Away4. Domino5. Conversations with 2 Stools 6. Los Endos 7. Tonight, Tonight, Tonight 8. Invisible Touch 9. I Can't Dance10. Carpet Crawlersその他ボーナス映像ディスク:3 1. ボーナス映像 [ドキュメンタリー] Disc1をさっそくプレイしてみると、ものすごく広い野外会場に、ひとひとひと、全員が立ち上がっていて込み合っているので、いったいどのくらいの人が集まっているのか、会場は、非対称な形で、小高く盛り上がった場所もあれば、遺跡の建造物のシルエットが夕日に浮かびあがってもいる。ステージは、巨大なクジラのような曲線で出来た横長のスクリーンに龍のよに上に立ち昇る鉄骨のライティング・システムが7本たっている。ここがどんな場所なのかと思って調べてみると、チルコ・マッシモ(Circo Massimo)という古代遺跡の大競技場で、この日のコンサートには50万人のファンが押しかけたという。すごいスケールだ。ローマは街の中に、そのまま古代遺跡が残っているのでうらやましい(古代遺跡の上に、また次の遺跡を作ってきたという歴史があるので)なぁ、と思う。こんな場所で、50万人の観客のコンサートが出来るというのは、本当にうらやましい。さて、ライブは、「デュークス」のイントロからはじまるが、最初から観客は大ノリ。イタリア人たちが、Genesisの歌詞を本当に嬉しそうに一緒に歌っている。スクリーンは、LEDの巨大スクリーンで、さまざまな映像や光、イメージを映し出し、龍のようなライティング・システムと一緒に、みたこともないようなステージを演出する。そして、ヨーロッパ公演の最終日は、22回目ということもあり、5人のメンバーは絶好調だ。僕的には5曲目の『In the Cage』 で、「シネマ・ショウ」と「デユークス・トラベル」のパートを織り交ぜながら、フィル・コリンズのボーカルからトニー・バンクスのキーボード・ソロ、ダリル・ステュマーのギター・ソロと続き、フィルがドラムスに戻って、ダブル・ドラムスでGenesisの5人全員がヒートアップして一体感あふれるハードな演奏に突入したのち6曲目の『Afterglow』へと流が続きながら曲調とリズムが一転し、ゆっくりと興奮をさましやさしく哀愁味あふれてフィルがまた歌う 。。イタリアのオーディエンスが、唖然とし、そしてmいっしょに歌っている姿が大写しにされる。このパートが一番興奮し、大好きだ。とにかく、フィル・コリンズが絶好調なのだ。ボーカルとドラムスと、疲れを感じさせない大活躍。Disc 1の後半では、LEDスクリーンの効果を最大限に発揮したライティング・パーフォーマンス、そして、10曲目の『Firth of Firth 』では、ふたたび、フィル・コリンズとチェスター・トンプソンのダブル・ドラムスによる白熱の演奏と、ダリル・ステュマーのギター・ソロから11曲目の『 I Know What I Like (In Your Wardrobe) 』でのフィルのボーカルと、手、ひじ、頭、膝、つま先を使ったタンバリンによるパーフォーマンス、フィルの合図にあわせて50万人の観客を巻き込んだ大声援・大合唱へと、ステージングは最高潮に達する。見どころはフィルとチェスターのダブル・ドラムスだけではない。ダリル・ステュマー(主にギター)マイケル・ラザフォード(主にベース)が、曲によっては、ギターとベースを持ちかえたり、ラザフォードが、ダブル・ネック・ギター&ベース(下のネックがベース、上が12弦ギター)に持ちかえたり、と映像でなければわからないシーンがたっぷり。Disc2では2曲目の『Ripples』の、さざなみのようなピアノとギターのアルペジオ、センチメンタルで切ないフィルの歌声がとても魅力的。そして、5曲目の『Conversations with 2 Stools』から6曲目の『Los Endos』の流が大好きだ。5曲目は、フィルとチャスターが、なにやら、向き合って、それぞれ椅子をドラム・スティックでたたき合いするところから始まる。いったい何が始まったのかと思うが、ふたりの息はぴったり。ふたりとも、頭はスキンヘッド。これで、顔を青く塗ったら、ブルーマンだ(NYオフ・ブロードウェイから生まれた大ヒットミュージカル)。フィルが先に、半身の体勢で、ステージ右側のドラムスのタムタムを叩き始める。やがて、チェスター・トンプソンも左側のドラムスのシンバルを叩き始める。ふたりがドラムスの定位置に移ると、ふたりだけのドラムス合戦である。フィルのドラムスはシルバー、チェスターのドラムスは金色に光っている。フィル・コリンズの雄たけびが聴こえる。このダブル・ドラムスのリズム、だんだんどこかで聴いたことのあるリズムに収れんしていく。そう、『Los Endos』だ!スピード感あふれるギター、強力にうねるベース、キーボードのオーケストオレーション。随所で聴かれるダブルドラムスならではの、リズム。ギター、ベース、キーボード一体となった完璧な演奏。ジェネシスが、この5人のメンバーになってツアーを展開して、常にツアー最大の見せ場にしてきた、、最強の演奏を聴かせるハイライトである。この演奏レベルは、Weather Reportにも負けない高度な演奏だと思う。Disc 1で、113分、Disc 2で、118分Disc 3は、ドキュメンタリーで110分。ジェネシスのライブ・バンドとしての魅力をたっぷり味わった後、DVDのエンドロールには、大作映画にも匹敵する、大量のスタッフの名前。サウンド・エンジニア映像・エンジニアライティング・エンジニアステージ・マネジメントなどはもとより、鉄骨組立てチームa,b,cなど、いかにこのコンサート・ツアーが、大量の人間の総力のもとに創り上げられているかがわかる。もちろん、荷物運びのローディートラック・数台の運転手ツアーで各都市を回るための、移動と宿泊をマネージするスタッフ。そして、このDVDを作成するための、カメラ・クリューなどは、また別に存在する。このGenesisの再結成ツアー、日本に来てくれなかったのは、本当に残念だけれども、これだけのスタッフがかかわっていることを考えれば、ちょっちゃそっとではコストがかかりすぎて採算に合わなかったんだとも思う。Genesisは22回のヨーロッパ・ツアーを行ったあと、25回の北米ツアーをやったそうだ。47ステージをこなす、5人のミュージシャンも体力的に大変だと思うが、それをささえるスタッフの苦労もうかがわれる。次回は、きっと日本にやってきて来ることを願いつつ、素晴らしい音楽と映像を楽しませてくれたGenesisとスタッフたちに、感謝する。とにかく、みなければ、はじまらない。このツアー。大大すいせんのDVDです。