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酒とピアノとエトセトラ(Bar UK Official HP&Blog)since 2004.11.

2012/09/26
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 先日の日記で、SNS上の「引用」ルールについて記しました。その後、読んだ方から「画像や写真の引用の場合は、文章のようにカギカッコをつけてという訳にはいかないと思う。かと言って、著作権者(引用元)さえ示しておけばいいというものでもないようです」というメッセージを貰いました。

 そこで、続編として、画像・写真の引用問題に絞って、もう少し調べてみようと思いました。前回同様の言い訳ですが、私は法律の専門家ではありません。もし間違いがあったらご指摘ください。


 ◆画像引用も基本は文章と同じだが…
 まず、基本的なことですが、写真やイラスト、絵画なども含むSNS上の画像についても、前回も紹介した「公正な引用のための要件」が適用されます。著作権法32条の「公正な慣行に合致し、報道・批評・研究など目的上、正当な範囲内で、定められ要件を満たしていれば、著作権者の了解なしに引用して利用できる」が基本です。

 では、画像の合法的な引用・利用の要件はどうなるかですが、前回紹介した7要件は、言語作品を前提につくられたものなので、画像について考えた場合、しっくりきません。そこで、自分なりに少し手直ししてみることにしました。

 (1)引用先は公表された画像であること
 (2)引用する必然性があること(その引用が著作物の目的や構成上、必要・不可欠である)
 (3)引用する画像が、自分の著作物と明確に区別されていること
 (4)自分の著作物と引用する画像との主従関係が明確であること(あくまで自分の文章が「主」で、引用された画像は「従」でなければなりません。「主」か「従」かは、著作物の目的・趣旨や引用した画像の大きさ、補足的なものとして使っているか等がポイントです。従って、小さな画像でもそれが「主」であれば違法となることもあります)
 (5)出典・出所が明示されていること(著作権法48条)
 (6)勝手な変更を加えないこと(加工したりしない)
 (7)引用しすぎないこと(過剰な枚数を引用したり、引用した画像のスペースが本文よりも大きいのは違法とみなされるおそれがあります)。

 私たち個人がネット上で一番よく画像を「引用・利用」するケースとしては、(1)本や雑誌の表紙(2)CDやレコードのジャケット(3)映画のポスターや1シーン(4)市販商品の外観(5)ネット・オークションでの商品――などが代表的なものではないかと思います。このうち(5)については現在は原則、無条件の引用・利用が合法化されています。


 ◆出版社等の「禁止規定」は合法か、違法か
 (1)~(4)については、著作権法32条を守り、7要件をクリアすれば、誰でも合法的に引用・利用できるはずです。ところが、例えば出版社のHPにはよく、画像に関して以下のような禁止事項が列挙されています。表向きは、著作権者の許諾なしに一切の画像の使用はまかりならんという姿勢です。

 ・出版物の装丁の画像の全体または一部を掲載することはできません
 ・キャラクターの画像および写真等の全体または一部を掲載することはできません
 ・ホームページの画像の全体または一部を転載することはできません
 ・法人企業のHPであっても、許可なく転載することはできません
 ・非営利であっても、個人サイトでの転載は「私的利用」にはなりません
 ・著作権侵害が行われた場合には法的手段をとることもありますので、ご注意ください

 僕も、Blogで時々、本の批評やCD、映画の感想など紹介しているので、本やCDジャケットや映画の1シーンの画像を借りることはあります。出典・引用元は可能な限り明示するようにしています。僕は、こうした利用は、著作権法32条に言う「公正な慣行に合致し、報道・批評・研究など目的上、正当な」という要件に当てはまり、合法的な利用だと考えています。

 ここで疑問がわきます。「著作権法では正当な目的であって、主従関係を明確にして、引用元もきっちり明示すれば、画像の『引用』はできると認めている。こんな禁止規定自体が著作権法違反じゃないのか」という疑問です。そこで、法律専門サイト等でさらに調べたうえで、専門家の意見も少し聞いてみました。


 ◆現実的には、出版社等は「黙認」姿勢
 結論から言うと、文章の引用についてはこれまで判例がいくつもあって、様々な具体的ルールや指針がかなり周知されているのですが、画像については、争われた裁判(判例)がまだ少なく、違法か違法でないのかの基準が曖昧なままになっているそうです。

 近年唯一、画像の無断使用で争われた有名な裁判に「脱ゴーマニズム宣言事件」(小林よしのり氏vs上杉聡氏)というのがあります。この裁判では漫画の引用問題が争点でしたが、1999年8月に東京地裁が出した判決「批評の対象を明確にするためには、絵も引用する必要があることを認める」「引用の要件を満たす限りは、引用が必要最小限であることまでは要求されない」(1999年8月31日)が現時点では数少ない判例です(参考:Wikipedia「脱ゴーマニズム宣言事件」)。

 しかしながら、出版社はこうした判決が出た後も、禁止規定は撤回・変更していません。禁止規定は「任意規定であるから合法」という学説がある一方で、「このような規定は著作権法違反だ」という法律家もいます。法的見解が分かれる中、現実には、日本だけでも個人のHPやBlogで膨大な数の画像が引用・利用されています。

 出版社やレコード会社等はいちいち告発したりせず、黙認しているのが現状です(おそらく、訴えたあげく不利な判例が出て、自分で自分の首を絞めるのが怖いというのもあるのでしょう)。現実には、非営利目的であればあまり目くじらは立てないという姿勢だと思いますが、私たちはやはり、節度ある引用・利用に徹したいと思います。


 ◆1、2枚の画像引用なら、まず問題なし
 なお今回、知り合いの法律関係者に尋ねてみたところ返ってきた答えは、以下のようなものでした。

 ・まず、画像の引用・利用も、公正な慣行との合致、正当な範囲、出所の明示、主従の関係という要件を満たさなければならないのは当然です。

 ・静止画については、著作権法の専門家によれば、「全部の引用が正当な範囲内に収まる可能性が高い」(斉藤博『著作権法』236頁、2000年、有斐閣刊)ということです。音楽評論や映画評論で1、2枚の画像をコピーして載せるのはセーフだろうと。しかし、必然性もないのに、例えば、自分のブログのトップにミッキー・マウスの画像をコピーして載せるというのは危ないとのことです(とくに、ディズニー社は著作権にうるさいことで有名なので要注意です)。

 ・ただ、この問題に関しての最高裁判決はなく、下級審判決例も、上記の要件のそれぞれに対するウエイトのかけ方が異なるので、難しい面があります。そもそも、「公正」とか「正当」とか、必ずしも利用者にわかりにくい基準で、裁判になってみなければ、それに反しているかどうか結論は出せません。おそらくそのような現状からして、新聞社、出版社などの権利者側からは、原則に戻って、許諾がいるというように警告を発しているのだと思います。

 ・「出所の明示は合理的な態様で」というのが法の規定ですが、著作権者名だけでなく、サイトの頁やURLなどの記載があれば安全でないでしょうか。いずれにしろ、ブログに静止画を少し載せるくらいなら訴えられることはまずないでしょう。


 ◆画像転載が合法化されているもの
 なお、SNS上での画像の引用・利用が(条件付で)自由に認められているものもあります。例えば、以下のようなものです。
 ・ネット・オークションに添える商品説明の写真掲載(2009年の法改正で合法化されました)/情報検索サービスを実施するための複製/障がい者のための著作物の複製/画素数を落とした画像、サムネイル(縮小)画像

 ※Amazonなどは「アフィリエイト」(【注1】)契約をすれば、画像を無料で利用できるというサービスをしていますが、僕は利用していません。


 ◆引用・掲載してはいけない画像とは
 自分が撮った画像でもSNS上に掲載できないものもあります。例えば以下のようなもの――。

 ・被写体から許可を得ていない画像(知らない人の顔がはっきりわかる状態で写り込んでいたら、肖像権の侵害だと言われるおそれがあります。モザイクをかけるなど個人を特定できないようにしてください。
 ただし、友人らとの飲み会での写真なら許容範囲でしょう。いまどき、あなたがSNSをしていることを参加者が知っていて、携帯やデジカメで写真をとれば、参加者も「彼(彼女)のページに載るんだな」と了承したものとみなされるでしょうから)。

 ・タレントなど著名人が写った画像(街でたまたま有名人を見かけて撮った写真を掲載すれば、場合によっては、「パブリシティ権」(【注2】)を侵害したと言われる可能性があります。店で女性と一緒のところを盗み撮りなどした画像なら、プライバシー侵害と言われる可能性もあります。

 ・他人の著作物を撮った画像(滅多にないとは思いますが、著作権のある創作物を直接写真に撮ってSNS上に掲載すれば、著作権侵害と言われる可能性があるそうです)。
 ・公序良俗に反する画像(これは当然ですね)


 ◆基本は自分の撮影にこだわりたい
 僕は基本的に、可能な限り、自分のSNS上では自分のカメラで撮影した画像を使うことにしています。自分の撮影を原則にしているのは、オリジナリティにこだわりたいことに加えて、リスク(転載を巡るトラブル)を減らしたいからです。

 SNS上で無用なトラブルを招かないためには、安易に他のサイトから画像をコピーしてこないこと、そして引用・転載する場合でも、ルールやマナーをきちんと守ることが何よりも大切だと思います。僕自身も現在、自戒の気持ちを込めて過去のBlogのページなどで使った画像について、順次、著作権法違反がないか再点検しています。必要な場合は、少なくとも「引用元」をきっちり明示したいと思っています。

 【注1】アフィリエイト(Affiliate) 「成功報酬型広告」とも言われ、例えばHPやBlogである企業の商品を販売したら、その企業から成功報酬が支払われるという広告またはその形態を指す用語(出典:Wikipedia、All About「アフィリエイトとは?」 → http://allabout.co.jp/gm/gc/22964 )

 【注2】パブリシティ権 人に備わっている「顧客吸引力を中核とする経済的な価値」を保護する権利のこと(出典:Wikipedia、はてなキーワード → http://d.hatena.ne.jp/keyword/ )

 【御礼】この一文を書くにあたって、主に下記のWeb ページ上の解説やデータ、Q&Aから貴重な情報や示唆をいただきました。この場を借りて関係の皆様には心から御礼申し上げるとともに、そのページ(出典元)を紹介しておきます。

 ・文化庁HP(著作権問題Q&A)→ http://chosakuken.bunka.go.jp/naruhodo/
 ・「画像や情報の引用について 専門家Q&A」→ http://profile.allabout.co.jp/ask/q-46093
 ・「画像の引用・転載に関する著作権について(Yahoo知恵袋)」
→ http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/
 ・「ネット時代の著作権(大塚商会)」→ http://qqweb.jp/QQW/STATICS/it/pc_howto/200911.html
 ・「HPやサイトで著作権違反にならない方法」→ http://nanapi.jp/15604
 ・「著作権法上合法な引用の条件」→ http://puple.noblog.net/blog/a/10056206.html
 ・「ネット・Webサイトでの著作権」 → http://uguisu.skr.jp/html/kenri1.html


 【おことわり】この日記は、画像「引用」のルールについて、現時点での著作権法上の一般的なルールや法的見解、マナー等をまとめたものですが、個別具体的問題についての対応・見解まで保証するものではありません。具体的な疑問やトラブルについては文化庁や法律専門家にお尋ねください。






Last updated  2016/11/29 02:08:38 AM
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erdep@ Re:GAROの悲しすぎる結末/7月17日(日)(07/17) ボーカルの現在。 嘘ばかりの、 傲慢な孤…
vinbourgogne1985@ Re:銀座・名バーテンダー物語/9月27日(日)(09/27) スミノフで検索したらこちらにお邪魔する…
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