テーマ:海外生活(7771)
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この日は退院後1週間のコントロールの日だった。
おっとは午前中仕事を休んだ。 またもやおっとに抱きかかえられてクルマに乗り込み、病院へと向かう。 今度は救急ではないので、患者でごったがえす待合室で待つ。 しかし運がいいことに予約時間からたったの1時間経過しただけで、わたしの番が来たのだった。(ちなみに救急で来た日よりも早い対応である。汗) 診察台に寝かされて約10日ぶりにドンジョイがはずされた。 わたしは、ドンジョイをつけられたときには、というか入院以来、こわくて見なかった自分の左足をはじめてまじまじと観察した。 手術の時に塗られたであろうヨードチンキで足全体が黄土色になっている。 肝心のひざは、事故直後、変にぼこぼこしていたのが、元通りになっていたようなので安心した。 が。 ひざのあちこちに銀色のものが光っている。 よく見ると、まるで皮膚を引っ張って、ホッチキスで留めたような。。? 看護婦「今日はこれを取りますからね~。」とまるでやっとこのようなものを持ってにこやかに近づいてくるではないか!? うわ~!!わたしは目をつぶった。皮膚が引っ張られるのが感じられ、バッチンバチンという音と共にホッチキスがはずされるのが聞こえた。 看護婦「もう終わりましたから、目を開けてください。」 おそるおそる目を開けると、看護婦がまた元の通りてきぱきとドンジョイを巻きなおしていた。 看護婦「次回は3月3日に来てくださいね。」とドクターの赤紙をくれる。 そのドクターは診察室の隅でほぼ終始無言、こうして1時間待ちの診察は5分ほどで終わった。 看護婦に車椅子を押されて、また元の待合室に戻るが、おっとの姿はない。近所の郵便局に払込に行っていた。 そう、この日はせっかくとった半日休暇を無駄にしないためにハードスケジュールを練ったのだ。 実は先日おっとは、あのわたしの「我慢のならない国」のひとを雇う決断をとうとう下してしまった。 というのは、「フルッシ」という外国人不法労働者が比較的簡単に正当な労働者に切り替えられる法律が出たかららしい。(「フルッシFlussi」について詳しく知りたい方はくすぴおちゃんのサイトに結構載っています。) この後、会計士のところに行って彼を雇う相談と、銀行に行って、その「我慢のならない国」のひとのためのワゴン車を買うための融資を受ける相談に行くのだ。 わたしは「我慢のならない国」のひと、という以前に人事として、あの男はどうしても信用が出来ない、と言い続けたのだが。。。 おっと「あのひとはね、可哀相なひとなんだよ。家族を抱えて、食べるものにも困っているんだ。だからきっと、まじめに働くよ。君の会社のちゃらんぽらんなチプリアンと一緒にするなよ。」 。。。そうだろうか?わたし的には、そういう切羽詰ったひとほど何をやらかすか、わからない未知の恐怖がある。 というか、それより以前に、我々もふたを開ければ、家計は火の車が永遠の火のごとく、燃え盛っているってのに、他人の心配をしている場合なのだろうか? わたしたちはクルマに乗り込んだ。おっとはわたしを家に送らずに一路、ミラノの中心へと向かうではないか? わたし「ちょっと!わたしも連れていく気?」 おっと「そうだよ、たまの気分転換でいいだろう?」 わたし「。。。4階にあるエレベーターなしの会計士の事務所にどうやって、あがれって言うんだよ?」 おっと「。。。。あ、そうか!」 あ、そうか、じゃない~!!! この日は空はどんよりしてみぞれが降っていた。 わたしは冷たい青空駐車場で、コートを着込み、白い息を吐きながら小1時間、クルマの中でぼ~っとおっとを待つことになったのだった。 この後の銀行も、すぐそばに駐車スペースが見つからなかったため、クルマの中で留守番となった。涙 そういった訳で、やっとクルマにおっとが戻ってきた時にはわたしはかなりふてくされていたのである。 わたし「ここまでつきあったからには、当然わたしの会社にもちょっと寄ってくれるよね?」 おっと「え~。。。まあ。。。じゃあ、20分だけね。」←20分と言うあたり、ちょっと日本人化してきているおっと ここのところ人つきあいに餓えていたわたしは喜び勇んで必死で松葉杖を漕いで、会社に行き、あの大嫌いなチプリアンとまで抱擁をして(←でもチプリアンはおっとが好き)、近況をまくしたてていると社長がお客さんと会議室から現れた。 思わず硬くなるわたし。 社長はわたしの左足を見つめ「いくきーと、なかなかナイスな足になったじゃないか!」と冗談を言って笑いながら去っていったので胸をなでおろしたのであった。 ちょうど20分ほどで会社を出た。 久々に同僚たちにも会えたし、マリーナのように仮病じゃない事も証明できたし、収穫はあったな。 毎日がこんなに充実したらいいのに。。。と思った。 しかし、この夜。 左足は今までに見たことがないほどパンパンに腫れ上がっていた。 どうもここまで歩き回るにはまだ、早すぎたようである。無念。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.04.02 01:27:46
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