テーマ:海外生活(7770)
カテゴリ:エクアドル人のおっとを持つと
今日はおっとはまたもや半日仕事を休んだ。
おっとはわたしと違って、自営業だからこれだけ休まなければならないのも仕方がないのだが、収入を心配してしまう。 かといってわたしもそうだ。 一応、INAILという社会保険に事故の申請中だが、保険が降りるかどうかまだ不明である。 日本の旅行災害保険に加入していた頃は、こちらで怪我や病気をして医者にかかっても、診断書があれば100パーセント保険が降りていたが、去年の我が家の愛車、もんで男くんの保険すら、まだ降りないところを見るとイタリアの保険、かなり不安である。 話を戻して、今回のおっとの半日休みの理由は在伊エクアドル大使館に行く事。そして最後にエクアドルで治療をして、治療途中で帰国した歯医者に行く事。3年放置していた事になる。汗 今回の大使館の用事はパスポートの更新である。 外国人が外国に行くのにパスポートが必須な事はいまや、小さな子供ですら知っている。 ましてや、外国ではパスポートが時には、命より重要になりうるときだってある。 おっとの誕生日の3月に切れると思っていたわたしは、もう去年の12月から「早めに大使館の予約をしなさいよ!」と再三おっとに忠告していたのだ。(←在伊エクアドル大使館は予約制) おっとはそのたびに「うんうん。」とうなづくだけで、一向に予約をしている気配もないまま、とうとう先週、誕生日から2週間を切った。 わたしが最後にエクアドル大使館に電話したのは結婚の時だ。 しつこく何回も電話をかけた上、この大使館の動きのにぶさに一悶着起こしたので、「変な日本人妻」として大使館員に覚えられているに違いない。だからイヤだったのだが、おっとを待っているとらちが開かないので、とうとう電話をかけることにした。 ナンバーを見るためにおっとのパスポートを広げた。 臙脂色のパスポートは日本のものとよく似ている。 当たり前なのだろうが、記述してあることも、してある場所もたいがい同じである。 まずはナンバーを確かめ、メモ帳に控えてからなにげなく他の項目に目をやった。 期限切れ年月日:2006年2月2日 えええええ?き、期限が切れている! 慌ててカレンダーに目をやった。その日はくしくも2月14日、バレンタインデーだった!! OOOOOOOOOOOOOOOOHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH,NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!! 「強制送還」という文字と、おっとが手錠をかけられて飛行場を警察が用意した軍用機に向かって背中を丸めてとぼとぼと歩く後ろ姿が真っ先に目に浮かんだ。冷や汗が手の中を流れた。 あ、でもでも。 期限が切れてたった12日しか過ぎてないから今日、電話して明日にでも急いでやってもらったら何とかセーフ?! 慌てて大使館に電話をかける。何回かのコールの後に出たのは、スペイン語オンリーの留守電だった。 パニクッったわたしの頭には、ただでさえあまりわからないスペイン語がちっとも耳に入ってこない。 何回も何回も繰り返し聞いているうちに「予約の受付は月曜日から金曜日までの3時半から4時までの30分間となります。」というのがようやく聞き取れたのである! あ、でもでも? 予約がたった30分間なんて、そんなのあり?? きっと聞き間違えたに違いない。 わたしは急いでおっとに電話をかけた。「あんたもう、パスポートが切れてるのよ!大使館に急いで電話したけど、何言ってるか、よくわからなかったから今日絶対電話して!」 おっと「そんなにわめくなよ。パスポートが切れたところで何も起きやしないって。」 わたし「何言ってるのよ、外国に住んでながらパスポートがなくてどうするのよ!あんた、すでに立派な不法滞在者よ!!とにかく3時半から4時までに電話して!!」と電話を切った。 電話を切って考えた。おっとがすでに立派な不法滞在者ってことは、その妻であるわたしも不法滞在者?! ってことは見つかったら、強制送還されるのは日本だろうか?エクアドルだろうか?? エクアドルだったら、超いやだなあ。。。。 わたしはしびれを切らして何度となく時計とにらめっこをしたあげく、3時25分におっとに電話をした。「あと5分だよ!」 おっと「。。。もう予約を取ったよ。」 わたし「え?」 おっと「あの後、すぐに電話したんだよ。そしたら3時半から4時じゃなくて、13時半から14時までの間だったんだ。だからその30分間ずっと電話をかけ続けたんだけど、ずっと話中で、やっと14時5分ぐらいにつながって予約が取れたんだ。」 わたし「。。。期限が切れてからもう12日も経っちゃったこと言った?」 おっと「言ったよ。全然問題ないって。」 わたし「そ、そうなの?」 おっと「期限が切れてやばいのは、滞在許可証と免許証だけだよ。パスポートなんて外国に出る以外、必要ないだろ?」 えええええ。。。。。そうなのか?わたしはその、滞在許可証や免許証を取得するのに必要なパスポートが切れてたらお話にならないと思うんだけど。。。。??? **** こんな背景があって、おっとはめでたくパスポートを更新することが出来たのである。 古いパスポートの写真はきちんとスーツを着込み、写真館で撮った写真だったのでよい出来だったのだが、今回はシステムが変わって、写真は大使館で撮らなければならず、出来あがったパスポートを見るとまるで犯罪者のように写っていてこれが6年も使わなければいけないかと思うと、大いにわたしは不満だった。 しかし、パスポートなんておっとにとって大した問題ではなかったらしい。 何に頭を抱えたかというと、大使館の次に行った歯医者だ。 この日は簡単にコントロール、口内を掃除だけしてもらって、見積もりをとった。 トータル2400ユーロ(約33万円)。大汗 わたし「あ。。。あんた、それだけ払うんだったら、800ユーロでエクアドルに帰って、治療してきた方が安上がりなんじゃないの?」 おっと「うん。。ぼくもそれを考えたんだ。でもね、治療に1ヶ月ぐらいかかるでしょ?そうなるとその1ヶ月は無収入になるし、あっちで治療した歯がこっちでまた悪くなったら、一から治療のやり直しだよ。だから、イタリアで治療するよ。」 わたし「だったらもうちょっと他の歯医者でも見積もりをとったら?」大汗 おっと「でもこのドクターは『知り合い』だし、今までの全てのレントゲン写真もカルテもあるからここで治療するよ。」 わたし「で、でも。。2400ユーロもどこから捻出するの?」 おっと「ワゴン車を買うための銀行の融資に上乗せして申請するしかないな。」 わたしは黙り込んだ。確かに事業拡大のため、ワゴン車を買うにも、ここまで悪くなった歯を治療するのにかかる治療代も、極貧のわたしたちにはポケットをはたいてもどこからも出てこないので、銀行の融資に頼るしかない。 でもでも。。。こんなにホイホイお金を、しかもこんな大金を借りることにわたしはすごく抵抗がある。 これは、借りるだけでプレゼントしてもらうわけではない。 後々、返済していかなければならないのだ。 すでにある家と家具のローン、おっとの巨額の税金諸々でキツキツなのに、どうやって払っていくつもりだ!? おっと「何の為に、従業員を雇うんだよ?より収入を得る為でしょ?それはコスティカさん(←昨日はじめて知ったわたしの我慢のならない国の人の名前)から得たお金で払っていくんだよ。」 。。。そんなおっとが計算している「取らぬ狸の皮算用」式でうまく行くんだろうか? 話が済んで、またもや水浸しになりながら(しかし今度はおっとの介助つき)、シャワーを浴び終わるやいなや、玄関のチャイムが鳴った。 たったさっき、話題にあがったコスティカさんである。 彼が来るなんて聞いてないぞ!? しかしおっとは当然のごとく彼の訪問を知っていたので、着替えも中途半端なわたしを急き立てて小部屋に押しこみ、ドアを閉めて玄関を開け、コスティカさんを迎え入れた。 なんだか、わたしは動物嫌いのお客さんが来るから、と小部屋に押し込められたペットのイヌのような気分である。 息を殺して聞き耳を立てると、あいかわらずヘタなイタリア語だがなんとかおっとと会話が成立しているようであった。 すっかり2人の間では話が進んでいるようで、この日は彼は雇用に必要な書類を持参しなければならなかったのに、意味がわかっていなかったのか、それともとぼけているのか、手ぶらであった。 おっと「こっちはちゃんと雇うつもりなんだから、君もぼくに対して、誠意をもって書類を持ってきてくれないと困るよ。」と繰り返し言っている。 本当にこんな奴を雇っていいのか? ドアの向こうでますます心配になったわたしなのであった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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