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テーマ:国を憂いて(3492)
カテゴリ:憂国の嘆き
昨日のニュースは、ウクライナ情勢に関して多くを割かなかった。まあ柏の事件が急転直下動き出したのだから致し方ないものと思うが、ウクライナの情勢も不安定な中での安定状態とでもいうべき状態に入ったからというのも一つの要因であろう。
事態が流動化しているときに時々刻々動く情勢を伝える事だけが報道番組の指名ではなかろう。このような状況に入った今だからこそ、ウクライナ情勢が今我が国に与える示唆や教訓というものを今こそ報道すべきである。我が国のニュース番組、新聞も同様ではあるが、検証作業というものが少ない。その点昨年の「河野談話」策定過程の検証を行った産経新聞の姿勢は大いに評価すべきであろうし、本来ならば、その主張に対して「伊彩こうなのだ」と主張すべきとかんがえる朝日新聞が事実の検証ではなく、単なるプロパガンダ機関と堕している現状を憂う。 ウクライナ情勢を追っていくと、我が国の歴史と重なり合う部分なども見えてくる。やはりITなどといくら技術革命を叫んでいても人間そのものはそう変わっていないことに気がつくのである。 今日と明日「ウクライナ情勢」から学ぶべきではないかと思う点をいくつか挙げていきたいと思う。 「半島」とはどのような性格を持つのか??? 現在ウクライナ情勢で目を離せない地域としてクリミア半島が挙げられるであろう。「半島」というものは第一次世界大戦時の「バルカン半島」、第二次大戦前のシンガポール、マレー半島、現在の「朝鮮半島」もそうだが、ある一定の法則が成り立つ。そしてその半島がどの勢力に入るかが重要となり、軍事拠点として大いにその勢力を収めたほうにとっては力となる。 なぜ英国が、あの小さなシンガポールを拠点にしたのか、そして「レパルス」など当時の最新鋭戦艦二隻がそこにいたのかを考えてみればよかろう。 クリミア半島にあるロシア軍基地をヤヌコビッチ前大統領は、2042年までロシアに貸すことに合意していた。ヤヌコビッチ政権の崩壊により、この合意が白紙化されるのではないかとロシアが考えるのは「黒海」の内海かを目指すロシアにとっては、この基地が描くことのできないものであることは理解できよう。(ここに善悪は入れないでもらいたい) 半島というものを自らの勢力下に置けば、周辺ににらみを利かせることができる一方、反対勢力下に入れば突き付けられた刃のように見えるのである。 この辺りは、明治以降我が国が抱えた「朝鮮半島」という問題に関してよく理解していたものと思う。当初はこの地域を緩衝地帯として独立国であることを目指した(福沢諭吉の当初の考えはこうだったのだろう)り、満州韓国との相互承認、比島と朝鮮半島の相互承認などで、我が国勢力下に入れようと試みた。最終的には「韓国併合」しか安定する道はないと判断したわけだが。。まあ半島というのは、とにかく流動化しやすいのである。 半島というものはHの横棒のような役割を果たすように求められる。この中で独立を維持しようと思えば、パワーバランスを読み解き、時には狡猾な外交も行わなければならないということである。Hの横棒になればどれほど苦労するのか。我が国は、今米国とシナという縦棒の間の横棒になりかねない危機が迫っているように私は思う。決して横棒ではなく独立主権国家としての縦棒とならなければ、国内も安定しないのである。我が国が自立しなければならない時期に来ていることは理解できるのではないだろうか。そのためには「軍事力」というものも背景になければ、狡猾に動くことすらできない。韓国は徴兵制を敷いている。これは戦力はさしたるものではないかもしれないが、軍隊の運用には躊躇しないということを示しているものであり、「軍事力」「抑止力」という観点から見て正当性ある手段だと思われる。 国民の気概これがゼロであれば、どれほどの戦力があろうと、掛け算である以上ゼロとなるのである。我が国の国民の気概をそごうとするのはが国を自由に操りたいと思う国にとっては、当然と言えるだろう。我が国では「歴史認識」ばかりがカードとしてクローズアップされるが、これは国民の気概をそぐためのカードの一枚にすぎないのであって、ここで妥協しても彼らは別のカードを切ってくる。そのメルクマールとなるのが「憲法問題」である。各国とも直接憲法改正する名など言えば、内政干渉となる。そこで「歴史認識」をクローズアップし、我が国を敗戦国という地位に永久に閉じ込め、敗戦国である以上、憲法を改正し、自立などしてはならないのだというメッセージを送っているものと私は思う。 戦後、我が国は朝鮮半島という問題を米国に委ねることによって、この問題としての半島という意識が薄らいでいったものと思う。だが、半島というものはやはり流動化しやすく、しかも拠点としての重要性は変わらないということだと思う。 隣接地(緩衝地帯)の重要性 陸奥宗光 『蹇々録』 には国境線と利益線という考え方が示されている。我が国は明治以降「利益線」として朝鮮半島を見ていた。だから、すぐさま別に領土編入(併合)という考えに至ったのではない。独立国としてしっかりとしてくれれば、利益線は守られる。これが伊藤博文公の考えであったと思われる。当時満州を支配していたロシアと朝鮮半島を併合してしまえば、ほぼ国境線を接することとなる。これは緊張が増す。 「満州は生命線」というのは安全保障上決して不適当な考え方などではなく、今もなお、このような考え方をしているのである。シナに至ってはナチスの考え方のように、国境線などというものは、力関係によって自由に動くものであり、大国が欲すれば、小国はそれに従うべきである(それは国家そのものが完全に消滅したとしても)という考え方を持っている。これは欧州において「固有の領土」なる言葉が理解されづらいということでもある。 欧州において仏国などは何度も国土を奪われている。そのような国々にとって「固有の領土論」つまりは一度も我が国領土から離れたことがないなどという発想は頭に浮かびづらいのであり、「真に大切な領土であるならば、戦ってでも守れ」というのが常識となっている。 この辺りは「北方四島帰属問題」「竹島」について考える際に重要な点である。自らの領土を自ら守ろうとしないのものに領土をうんぬんする資格はない。と考えられているということである。勿論戦争してでも取れというのではなく、相手がsy徴してくれば、絶えずそれには反論し、決して認めていないことを示しておかなければならないということである。 現在でいえば、北朝鮮が、韓国側つまりは米国主導で統一されれば、シナは、米国とほぼ国境を接するようになる。この事態は避けたいと考えるのと同じである。半島の隣接地というものは大国の通り道のような性格を持つ。これはこのような地域は過去多くの国々が蹂躙されるという経験を持つのである。ウクライナそのものが緩衝地帯という役割を果たしていたということである。 勿論このような通り道となった経験があるトルコ(アジアと欧州の通り道)あるいはポーランド(独国とロシア)などが、今回のロシアの動きを見て警戒感を強めているのは、そのためでもある。欧米諸国とトルコ、ポーランドではその温度差がある。 今回、プーチン大統領が軍事介入をするということは「この地を欧米の勢力圏、利益線だけにとどめておくつもりはない。ましてやクリミア半島は絶対手放さない」というものである。我が国ではほとんど伝えられないが、プーチン大統領は2008年当時のブッシュ大統領に対して、「ジョージ、君はわかっていない。ウクライナは国家ではないんだ」このように語っている。国際関係を見つめるうえで、このような視点というものは外してはならない。 現状我が国周辺のどこと似ているかについては、さまざまな意見もあろうが、私は「台湾」がそれに当たるのではないかと考えている。台湾もウクライナもまず「自給できる」という特徴を持つ。兵站を養うという意味でこの点は重要なことである。米国が台湾を共産圏に入れてはならないと考えるのは、台湾が自給可能な土地だからである。ということはそこに多くの兵を置くことが可能であり、しかも本国から離れていても、食料等を輸送する必要がないという戦略的意味がある。(これはマッカーサーが議会で証言している) そしてそのような土地から、各地へ戦力を展開できるということである。 我が国が敗戦後失ったのは「戦略眼」というものではないだろうか。だからこそ「外交」が何やら後手後手であり、「相手の反応に合わせる「場当たり的」となってしまうのではないだろうか。 ウクライナを考えると、我が国の明治以来の歴史に対しても理解が進むのではないかと思うのだが、皆さま方はどうお感じになるだろうか??? 文責 上田 和哉 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014.03.06 12:07:52
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