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テーマ:猫のいる生活(136087)
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PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、ひどく衝撃的な出来事(トラウマ)を体験した後、時間が過ぎても、その時の体験や記憶を無意識に思い出したり、夢に見たりするなどが続くことですね。
私らの世代だとベトナム戦争を経験した元アメリカ兵に多くいたと云います。 主人公ランボーは、ベトナム戦争の戦場では輝かしい戦歴を残したものの、国に戻れば反戦ムード一色。 国のために戦った帰還兵たちは鼻つまみ者扱いされる始末。 やがて戦場でのつらい記憶がフラッシュバックして、山に立て篭り、たった1人の戦争を始める物語。 同じように第二次大戦でナチスの残虐行為の写真を撮り、そのときの戦争取材が原因でひどいPTSDになった女性写真家がいます。 彼女はヴォーグ誌の戦争レポーターとして活躍し、ロンドン大空襲、パリの解放、ブーヘンヴァルトやダッハウの強制収容所などを取材し続けたのです。 そして1977年、70歳でがんにより死去。 彼女の名前は「リー・ミラー」と云います。 リー・ミラーの伝記映画が映画「タイタニック」のヒロイン、ローズ役で一躍知られるようになったケイト・ウィンスレット主演で公開されます。 このリー・ミラーは、もともとカメラマンではありません。 なんと彼女は雑誌ヴォーグの売れっ子ファッションモデルだったのです。 1920年代のニューヨーク・ファッションシーンでモデルとして活躍したあと、パリに移り、そこで撮られる方ではなく撮る方として、彼女の師であり恋人であるシュルレアリスムの写真家マン・レイに師事したのです。 パリ滞在中、彼女は自分専用の写真スタジオを立ち上げ、マン・レイが絵画制作で写真の仕事に取り掛かれないときは仕事を引き継いでいました。 また彼女はシュルレアリスム運動にも積極的に参加していて、親友のジャン・コクトーの実験映画「詩の血」で彼女は彫像姿で出演しています。 他にはパブロ・ピカソ、ポール・エリュアール、ジャン・コクトーなど名だたるシュルレアリストとも親友でした。 彼女はヨーロッパに残り、空襲で地下鉄の駅に群がるロンドン市民やノルマンディーの連合軍野戦病院で流血した患者たちを撮りまくりました。 そして有名なミラーの肖像画が撮られます。 連合軍がナチスを制圧した後のことです。 ミュンヘンにあったアドルフ・ヒトラーのバスタブに入って撮影したミラーの写真です。 この写真は「LIFE」で活躍してたアメリカの写真家デヴィッド・シャーマンの撮影で、シャーマンとは戦争中ずっとチームを組んで活動してました。 しかし、ブーヘンヴァルト強制収容所など、ナチスの恐怖現場をカメラに収めることで、あまりのむごたらしさに後々PTSDを発症してしまうのですね。 戦後、彼女はイングランド南東部にあるサセックスの農場に定住し、そこにはパブロ・ピカソやジャン・デュビュッフェなどの芸術家が定期的に訪れていました。 しかし、ミラーはPTSDで鬱になり、すべてを放棄してしまったのです。 1977年に亡くなってから数年後、彼女の写真の山が屋根裏部屋から発見されるまで世間から忘れられた存在になっていたのですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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