不動・大吟醸吊るし無濾過生原酒(千葉県成田市・鍋店)
成田山新勝寺の門前に本社を構える「鍋店(なべだな)株式会社」は、元禄2年(1689年)創業で320年の歴史を持つ蔵です。年間製造量も5000石(一升瓶換算50万本)ということですから、千葉県の酒造メーカーの中では大手ではないでしょうか。一風変わった「鍋店(なべだな)」というの蔵名の由来は、当時の所轄藩であった佐倉藩(堀田家)より1,050石の酒造株を与えられ、成田村で清酒の醸造販売を始めましたが、その時分の屋号は鍋や釜を扱っていたので「鍋屋」でした。鍋や釜の専売権を高額な座株の入手により保有していたことから、金座、銀座などのいわゆる『座』の1つである『鍋座』を預かっており、また、醸造家のことを当時は「おたな」(お店)ともいい、「鍋」と「お店」がいつしか一体となり、鍋店(なべだな)という屋号を用いるようになったと伝えられております。この蔵のメイン銘柄は「仁勇(じんゆう)」ですが、仁勇とは“愛と勇気を持って、何事にも接していく”ことなのだそうです。さて、その中で「不動」ブランドは、麹米造りから酒母・もろみまで全て手造りで仕上げられ、すべて「吊るし搾り」で「無濾過」の生原酒です。販売はすべて特約販売店ルートのみ。今回はその中で、大吟醸のものです。(写真を撮り損ねたため、蔵元のHPのものを拝借しています。)秋田県で開発された「酒こまち」を特別に入手して40%まで精米し、協会1801号酵母と自社酵母で醸し、成田山大井御神水を仕込み水として使い、日本酒度+4~6、酸度1.3~1.4、アミノ酸度1.1~1.2、アルコール度17~18度に仕上げられています。価格は一升瓶3900円、4合瓶1800円ですが、この「酒こまち」版は限定480本ですので、すでに品切れと思われます。いわゆる杜氏という立場の、取締役工場長は高田周作氏で、蔵元の大塚社長が前職時代にパソコンのハードディスク開発に携わっていたときに、一緒に取り組んできた畑違いの技術者です。社長自身がアメリカの大学卒で、商社においてパソコン関連のみならず、世界のリゾート開発に関わってきたという経歴ですから、日本酒の業界においても新しい着眼点でさまざまな取組みをされていかれることでしょう。