3.3.7 すすの発生とその防止
3.3.7 すすの発生とその防止<すすの性状>種々の燃料の燃焼が完了した後にできる炭素粒子をすすという。すすの発生は燃焼過程にあるとみられ、炎の中で生成した炭素とすすは、ほとんど同一の性質のものと考えてよい。炭素の大きさは、1~100nmくらいで、炭素粒子は質量割合で1~6%程度の水素を含む。すすが核となって、燃料中の硫黄から燃焼により生成した硫酸を吸着して、燃焼ガスの露点温度付近で雪状に成長したものが生じる。これをスノースマット、アッシドスマット、スノーヒュームという。煙突から排出された場合、質量が大きいため煙突の周辺に落下して被害を与える。<すすの生成機構>脱水素と凝縮とが炭素生成の原因となる。<燃料の種類と炭素生成>(ア) 燃料の炭素と水素比(C/Hが大きいものほど、すすが発生しやすい。(イ) -C-C-の炭素結合を切断するよりも、脱水素の容易な燃料の方がすすが発生しやすい。(ウ) 脱水素、重合及び環状化(芳香族生成)などの反応が起こりやすい炭化水素ほどすすが発生しやすい。(エ) 分解や酸化しやすい炭化水素は、すすの発生が少ない。<ガス燃焼におけるすす>予混合燃焼ではすすの発生はほとんどないが、拡散燃焼ではすすが発生しやすい。過剰空気が10%程度あれば熱設備の燃焼室内でもほとんど完全燃焼ができ、すすを発生させることはない。しかし、理論空気量またはそれ以下になると、ガス燃焼でもすすが発生する。逆に空気量をあまり多くしすぎると、燃焼室内の温度が低下し、不完全燃焼となる。<油燃焼におけるすす>重油の噴霧燃焼では、油滴が蒸発した後にコークスが残り、これをセノスフェアという。重油燃焼で生成される炭素は、気相反応によるものとセノスフェアとの両方からなる。ボイラーの重油燃焼の始動時など燃焼室内の温度が低いときは、すすが発生しやすい。<石炭燃焼におけるすす>微粉炭燃焼ではすすの発生はほとんどないが、ストーカー燃焼では部分的に空気不足のところですすが発生する。すすの発生は燃焼方式と石炭の性状によるところが多い。