いつものように、私鉄からJRへ乗り換えようと
JR構内に入る。
アナウンスが山手線外回りが止まっている事を
伝えている。
「また、人身事故か」と大して気にもせず
山手線内回りのホームへとむかう。
事故があったのは、反対側のホーム。
ホームへの階段を登ると
毎週見ている海外ドラマ「CSI」のような光景。
黄色いテープで立ち入り禁止区域がつくられ
線路の上では、ブルーのシートで自己現場が
覆われていた。
朝だというのに、かなり気温が上がっている。
現場の処理を、一生懸命している人達。
空になった、事故車輛が、そのナマナマしさを
物語っている。
その事故が起きた場所は、いつも自分が立ち
車輛に乗り込む位置。
事故の瞬間に遭遇しなくて良かった。
その後ニュースで見たら、女子学生が飛び込んだようだ。
多分、自分より半分近くしか生きられなかった人生。
人身事故、自殺のニュースを耳にしても
さほど驚かず、気にもしなくなった最近。
事故現場を横目に見ても、何もなかったかのように
違う電車で会社に向かう自分。
やはり、感覚が麻痺しているのだろうか...。
「自殺を想うことは強い慰謝剤である。
これによって数々の悪夜が楽に過ごせる。」
By ニーチェ 善悪の彼岸
自殺を想うことは、普通に存在する。
それで少しでも気持ちが楽になるなら
薬となる。
そして、気が付くと元気が出ている。
というのが健康な状態だ。
普段気持ちを抑え
一見感情のバランスが取れているようだが
実は、その吐き出せない想いが
ワインの澱のように溜まっている。
そして、ある日、その溜まった澱が溢れだし
一線を越えてしまう。
そんな事を想いながら、現場を後にする。
