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カテゴリ:わくわく児童文学
岩波少年文庫の名作の1つを読み始めた。
〇ストーリー 両親を亡くした少女・クリスチナは,親戚の家を転々としていた。12才になった彼女は,母が育った田舎の屋敷・フランバーズに住んでいる伯父・ラッセルに引き取られる。伯父は妻を亡くし,また落馬により杖無しでは歩けなくなったため,気難しく乱暴な性格になっていた。フランバーズ屋敷も,馬屋だけが立派で,荒れ果てつつあった。クリスチナはそこで,ラッセル同様に馬と猟にしか興味がないマーク,旧弊を嫌い飛行機乗りになろうとしているウィリアムの兄弟と,馬屋の青年ディックに出会う。屋敷での彼女の生活は驚きと恐怖,そして喜びにあふれたものだった。だが・・・ ーーーーーーーーーーーー 〈フランバーズ屋敷3部作〉を読み始めた。子どもの頃,岩波書店の子ども向けカタログを読みふけっていた時期があり,様々な作品に勝手な思い入れを抱いていた。 最近,図書館を利用して,かつての思い入れを満足させ解消する,ということを試みている。リンドグレーンを読み終え,アーサー・ランサムもあと1冊で読破というところまで来た。それに続いて手に取ったのがこのシリーズだ。 オランダと第2次世界大戦を背景にした「あらしのまえ」「あらしのあと」と混同していたが,このシリーズは20世紀初頭のイギリスと第1次世界大戦を背景にしている。 ーーーーーーーーーーーー 作品は伝統的な歴史大河ロマンスの空気に満ちている。 強引で乱暴だが,ハンサムで力強くクリスチナと乗馬と狩猟を楽しむ長男・マーク。皮肉屋だが知的で飛行機という新しい世界に羽ばたこうとしている次男・ウィリアム。馬屋の青年で,クリスチナに乗馬を丁寧に教えるディック。 クリスチナ自身はパカパカと馬に乗っているだけなのだけれど,3人の青年に心惹かれ,そしてそれぞれから好かれている,という状況だ。 なかなかにロマンスな状況だ。 ーーーーーーーーーーーー 書評でも批判されているのが,クリスチナの主体性の無さだ。 読者に合わせたインドア派と思いきや,クリスチナは乗馬とキツネ狩りが大好きとなる自分を発見するアウトドア派だ。一方で,身分の違う使用人たちに対しても親切にする。 怖いのは,彼女の言動が”天然”であり,自分の将来の夫は誰か,身分違いの者とどのように接するべきか,自分が継ぐ資産をどうするか,など,完全に意識しないでずっと何年も暮らしていることだ。 児童文学にあまりドロドロした部分を描かない,という作者の意図もあったのだろうけれど,あまりにも無邪気過ぎて,結果的に周りの人々が不幸になっている気がする。 ドロドロはいろいろ描かれるのだが,クリスチナにはあまり影響しない。 ーーーーーーーーーーーー そうした意味で,第1部ラストのクリスチナの行動には驚いた。 え,そっちなの?てっきり反対側に落ち着くのだと思っていた。 次が楽しみだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.04.21 12:09:37
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