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カテゴリ:わくわく児童文学
〈フランバーズ屋敷シリーズ〉初期3部作の完結編を読んだ。 〇ストーリー クリスチナは,主が戻らないフランバーズ屋敷に戻ったが,そこはすっかりと荒廃していた。21才になって父親の資産を受け継いだ彼女は,農場として屋敷を再興しようとする。使用人は馬丁頭のファウラーと女中頭のメアリーの老人2人だけで,第1次世界大戦のため若者が少ないなか,クリスチナが探し出したのは,かつてここに勤めていた馬丁のディックだった。順調に進んでいた再興計画だが,そこに・・・ ーーーーーーーーーーーー 〈フランバーズ屋敷3部作〉の第3部だ。 フランバーズ屋敷というイギリスの田舎の邸宅を舞台にしていた第1部,飛行機乗りたちを描いていた第2部を終え,第3部はフランバーズ屋敷に舞台を戻す。 第3部のクリスチナは,なかなか悪くない。大きな不幸にみまわれ,一方で父親の資産を受け継いだことで,自分の意思とチカラで物事を成し遂げる,という強い意思が生まれているように感じた。これまでは流されるばかりの主体性の低い主人公だったが,今回は立派にいくつもの決断と変化を率先して行っている。 ーーーーーーーーーーーー もともと手入れの悪かったフランバーズ屋敷だが,5年ぶりに戻ってくるとさらに荒廃が進んでいた。 クリスチナは,馬を買い,猟犬を育て,書斎を整え,そして農場を始める。さらに新しい人びとが住み始め,屋敷には明るさが戻り始める。 そんな最中,やっぱりクリスチナの幸せはくじかれる。なんだかいつも通りだ。 ーーーーーーーーーーーー それでもどの登場人物も10年ほど年を取り,決断力も分別も身に付けたようだ。 農場崩壊の危機を乗り越えたクリスチナは,とうとう望んでいたものを手に入れる。 それが何なのかは読んでみてのおたのしみだ。 ーーーーーーーーーーーー ずっと批判してきた主人公・クリスチナだが,この第3部は見事に主人公を務めている。 この人が出来るとは思っていなかったことをいくつも成し遂げており,本当に感心した。まさに〇〇は強しだ。 第1部も第2部もとうとつに終わった印象だったが,第3部は終盤に事件が起きて,それを解決した後に,大団円が訪れる。ようやくきちんとした構成の作品となっていて安心した。 もう少し,これまでのパートもそうした配慮があったら,まだ楽しめたと思う。繰り返しになるけれど,このパートは十分及第点だ。 ーーーーーーーーーーーー さてようやく迎えた大団円なのだけれど,その10年後に第4部が発表されている。
さすがに少し休憩してから,その第4部上下巻を読むことにする。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.05.09 21:52:16
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