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カテゴリ:わくわく児童文学
森川成美という作者の〈アサギシリーズ〉の第1作を読んだ。どことも知れぬ古代の村を舞台にした少女の物語だ。
〇ストーリー アサギと母は下の村の中でなぜか孤立していた。そのまま怒りと迷いを保ったまま12才となったアサギは,嫁入りのために女屋に入ることを求められる。だが,彼女は村を守る戦士となることを望んだ。戦士ハヤと出会い,アサギはその望みを伝え,ハヤは彼女を指導することになる。数々の試練を越え,少年たちと戦士の立場を争うことになったアサギだが・・・ ーーーーーーーーーーー 時代設定は日本の縄文時代だと思われるが,ファンタジーと考えれば,青銅器が伝来する前のどこであってもおかしくない。 あることが理由で,村では不遇の立場にいる母娘・タネとアサギ。それが1つのきっかけとなり,女は嫁となり,男は戦士を目指すという,通常の道から外れ,アサギは女ながらに戦士を目指すことになる。 ファンタジーの主人公の出自は訳ありというのは多いが,今回の主人公もなかなかマイナススタートだ。 ーーーーーーーーーーー 気になるのは,〈モノノミカタ〉の〈声〉というファンタジー要素が急に挿入されることだ。 それ以外で考えれば,アサギという少女は,ハヤの不親切な指導に心折れることなく,真っ直ぐに,時には掟破りも辞さずに,目標に向かって成長し続けている。 彼女のそうした姿勢を,ハヤだけでなく,村の多くの人々が最後には認めるという展開はひじょうに美しいと思う。 だが,そうした個人の血と汗の努力を度外視したような,超自然の〈声〉が語られると,物語が今後どこに行こうとしているのか,ひじょうに不安になる。 ーーーーーーーーーーー 最近では珍しくはないが,せっかくの悩んで成長している”戦士を目指している”少女という存在なのだから,彼女の試練と成長と努力を,きちんとノビシロとして表現していることをもっと強調してもらいたい。 アサギの実力は,超自然の〈声〉がなくとも,十分戦えるレベルだったと信じたい。 ーーーーーーーーーーー 文章の森川成美よりも,イラストのスカイエマを推しているような紹介もある。スカイエマの方が地名だが高いのはそうかも知れないけれど,イラストノベルではないのだから,きちんと文章の人を評価してもらいたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.12.19 10:00:08
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