|
カテゴリ:カテゴリ未分類
私:全米科学財団が1月に発表した2016年の科学技術の論文総数ランキングでは、 1位=中国、2位=米国、3位=インド、4位=ドイツ、5位=英国、6位=日本。
日本の論文数は03年以降、急落し、逆に初めて首位となった中国の台頭とともに、ドイツの堅調さが光る。
A氏: 論文を引用された回数トップ1%と10%の論文もドイツはそれぞれ4位(13~15年平均、文科省科学技術・学術政策研究所調べ)を維持、日本はいずれも9位(同)に沈んだ。
私:民間を含む研究開発費は、ドイツは日本の7割程度だが安定的に増加、論文総数は過去30年以上、3~4位を保つ。
英科学誌ネイチャーは昨年9月、「ドイツの科学における優秀さの秘密」を特集、その原動力を政策や文化などと指摘し、「今や伝統的な頭脳流出先の英米でなく、ドイツで研究生活を送ることを選ぶ人が増えている」とした。
A氏:目玉政策の一つが連邦政府が州政府と結んだ「研究イノベーション協約」。
大学の基礎研究を支援するドイツ研究振興協会(DFG)への拠出や大学以外の研究機関へ出す資金を、両政府が05年から年3~5%ずつ増やしてきた。
さらに、州政府が出してきた大学予算を連邦政府も出すようにし、大学と大学以外の研究所や企業との連携も進め、現場を活性化させている。
私:背景にあるのは、科学への社会の理解で、連邦政府や自治体、企業に理系の学位を持つ幹部や役員も多く、科学の現状がわかり、高い専門知識を持つ人が、政策や研究支援に深くかかわる。
メルケル首相も元物理学者で、科学技術振興機構の永野博研究主幹は「基礎研究支援がイノベーションにつながるという考えが国全体として共有されている」と話す。
A氏:これに対し、日本は財政難の中、基礎研究より、経済成長につながるような応用重視が強まり、論文総数は00年代半ばまで米国に次ぐ世界2位だったが、08年に5位に沈んでから浮上していない。
ネイチャー誌は昨年3月、「日本は世界トップレベルの研究国としての地位を失う危険性がある」と指摘。
日本学術会議会長の山極寿一・京都大総長は昨年末の会見で「全体としてみれば、研究者は疲弊しきっている。現在は成果がはっきりわからない、可能性や多様性があるものが研究できなくなっている」と危機感を募らせたという。
私:その危機感は、「大隅氏、基礎研究の危機訴え ノーベル賞金、若手支援に活用」のブログでふれたように、今後、日本のノーベル賞受賞者が減るだろうという予測と一致するね。
学生の方も優秀な学生ほど、教授のもっている「正解」を「忖度」してしまうという。 受験勉強がそうだね。 出題者の意図を「忖度」し、正解を当てる頭脳が訓練されている。
結果、多様な新しい発想を生む思考力に乏しいという。
その「忖度」が、基礎研究より目先の経済成長につながるような応用重視になり、新しい物を生むもとである多様化にならない。
A氏:ボンにあるドイツ研究振興協会(DFG)の本部入り口に、「科学者たちが最も恐ろしい残虐行為に加担し、あるいは人の尊厳が侵されることの前に沈黙した」という言葉を刻んだ記念碑が立つ。
記したのは、ドイツ現代史研究家でユダヤ人の故フリッツ・スターン氏で、かつてナチスに科学者が協力し、人類史上の惨禍に加担したことへの反省が込められる。
DFGのヨォーク・シュナイダー国際交流部長は「学問・研究にとって、独立できること、自由に考えられることがとても重要だ」と強調する。
私:DFGは大学などを対象に年3万件以上を助成し、国や州政府が出す研究費の約1割を占める。
時の政治的意向に左右されぬよう、意思決定機関の委員数は、科学者が過半数を占め、国や州政府を上回り、助成の可否は専門職員が一流の研究者に依頼し審査。
資金の自由度は高く、海外との共同研究や人の雇用にも使え、形式的な使途の報告も必要ない。 シュナイダー氏は「政府の影響はなく、完全にボトムアップ型の自由な研究費。毎年必ず確保される」と話す。
コンサルティング会社「IRIS科学・技術経営研究所」代表のイリス・ヴィーツォレック博士は、科学技術政策への姿勢に日独で差がある、とみる。
「日本のマネジメントは『科学を管理する』というニュアンスだが、ドイツは『科学のためになる管理』という思想が根付いている」という。
日本の基礎研究より、経済成長につながるような応用重視が強まる傾向と逆だね。
これが、論文数や引用数の激減となって数字にあらわれている。
結果的に長い目で見たら経済成長の遅れにもなるね。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.03.02 16:55:10
コメント(0) | コメントを書く |