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レイ・ブラッド荒川ベリ。

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2023.09.29
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 それが成ったのは全く神佑に依ったものだ 結果として以仁王はイリュージョンのように消えたのだから 事件後に並べられた検非違使自慢の首級の中にどうしても見つからなかったのだから そのあとの首実検も不思議なつじつま合わせとしか見えない わたしはそこに捏造のにおいを感じたのである いるはずの宮がいない 現場で何が起こったのか どうアタフタしながら事実は曲げられたのか 平家物語・源平盛衰記を繰り返し読むしかない 何か新しいことが書かれてはいないか 
 宮は玉水で喉を潤す ここで初めて馬を降りる 乗馬はもとより不得手だったはずだ 瀬田から宇治までの間に6回も落馬している それでもラストスパートとなれば頑張るのか とにかく玉水の水は美味かった ようやく人心地が付いたと歌を詠む 何の余裕なのか ノンキなのか? 自棄なのか? いやそうではあるまい そうせざるを得ない理由がある 切迫のあるべきところに暢気があるのだったら それはやっぱり暢気ではなく切迫なのだ つまりこれはマーキングなのだと思う 道端の柴を折って通過の目印にしようというアレである 此処に私が確かにいたと 私が私だというのだから多分私に違いないだろうと 強調したがっている そしてそこから一気に絶命シーンに直結する
 玉水からそのまま奈良を目指す先が綺田である カバタというのは川端ということだろう それが現在の高倉神社の場所なのだったらここは川端ではない またその時に宮に供奉していたものの名前も諸本実にまちまちである ズタズタにそのメンバーは違う 延慶本では長谷部信連まで登場する朦朧とした世界だ 諸本アレコレ比較して何が何だかよく分からない そしてそんなこんなで追っ手が急に飛び掛かり雨アラレと矢を射かけてくる そうした一本が宮の脇腹に刺さり落馬した所に寄って集って首は取られてしまう この油断ぶりはどの本も共通である ちょっと緩んでいるところに虚を突かれて宮の命は取られてしまい そして宮がやられた後 急にシマッタ此処が死に場所だったんだとイキナリ大立ち回りがある 実にへんてこりんな間なのである これも諸本に共通している
 それはつまりこのグループには既に以仁王はいなかったからではないか それが私の推理である 居なかったと分かったから その後の平家軍の対応はそういうドタバタの 辻褄合わせになるしかなかったのである 以仁王は消えた イリュージョンが何処かで行われたのである 直前のどこかで よくよく考えて貰いたい 日胤や浄妙 大勢の腹の据わった叡知が束になっている 察知と瞬発に生きる天才の集団 武人兵隊にも職業的野心や勘はあろうが 自己プロデュース能力について悪僧たちのそれは全く桁が外れる 誇りによって記録にも残さず それ故に後世には理解されにくい世界 凡百に何がわかる 半端な弁護など笑って拒否するだけなのだ
 それほどの優秀な僧たちが何故バタバタと呆気なく討たれたのか それは追手の武骨連中の想像を超えた「何か」があったからだと 以仁王を安全に逃がすために そちらから完全に目を逸らして呉れれば呉れるほど以仁王のセキュリティは上昇するような それには平家武人の発想では疑い切れないような なるべく単純平易な構造が望ましいのだ 集団の中心に居て周囲に守られるようにしていれば それなりの格好をしていればそれは貴人であり以仁王でしかありえない それなら誰かがその役をやればそして簡単に討たれてやればもう連中は疑わない 「他に本物がいて」などという発想は浮かぶ筈がない いやしくも最高知能の悪僧たちがそう考えずにまごまご討たれている筈がない もしまごまご討たれているのならその段取りが付いたからに決まっているのだ その証拠に以仁王の屍体は出て来なかったではないか (​つづく​)





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最終更新日  2023.10.05 22:24:28
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