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2018.09.27
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カテゴリ:小説・ノベル
屍人荘の殺人を読みました。
この作家さんのデビュー作であり、色々と賞を取っているそうです。

吾輩賞の類にはあまり興味がないので「ふ~ん」くらいにしか思っていなかったのですが、これが予想以上に面白い作品でした。
受賞もうなずけます。



屍人荘の殺人/今村昌弘/著/東京創元社


【あらすじ】
葉村譲(はむら ゆずる)は神紅(しんこう)大学の一回生で、ミステリ愛好会の会員。
ミステリ研究会ではなく愛好会。
最初は研究会に入部したものの、本格ミステリについて語るわけでもなくダラダラしている活動に嫌気がさして退部。

そんな彼に声をかけたのがミステリ愛好会部長、明智恭介(あけち きょうすけ)。
明智は葉村と同じ理由で研究会を退部し、本格ミステリを追求すべく愛好会を立ち上げたのでした。
同好の士を見つけたとばかりに葉村をスカウトし、以降ともに活動しています。
明智は謎の臭いがすると所構わず首を突っ込む変人ですが、学校内のちょっとした事件を解決したこともあり「神紅のホームズ」と呼ばれる有名人です。

その明智が目下熱を上げているのが映画研究部の合宿。
ペンションを借りて心霊ものの映像を撮るという企画ですが、ペンションに若者が集うというシチュエーションに「何か事件が起こりそうじゃないか」と参加を希望したのです。
当然部外者は参加不可。落胆する明智に助け舟を出したのが剣崎比留子(けんざき ひるこ)。
彼女は名家の令嬢であり、同じ大学の学生ながら警察にも何度か協力したことがある探偵でした。
比留子は自分と一緒に合宿へ参加しないかと持ち掛けてきます。

ライバルとも言える比留子の提案に飛び乗る明智。
実はこの合宿には曰くがありました。
合コン合宿の色合いも強く、去年男女のトラブルがあったため部員の評判はよくありませんでした。
最近部室に「今年の生贄は誰だ」というメモが置いてあったこともあり辞退者が続出。
人数が集まらず困っている映画研究部部長に比留子が掛け合ったのでした。

意気揚々と合宿に参加する明智たち。
ですが、それは恐ろしい事件の始まりなのでした。



【トンデモ設定ながら本格的なミステリー!】
※ネタバレありです。


合宿に訪れた葉村たちですが、肝試しの最中にゾンビに襲われます。
ええ、ゾンビです。
山を挟んで反対側で行われていたライブイベントでバイオテロが発生、ゾンビと化した観客の一部がペンションを嗅ぎつけたのでした。
本格ミステリファンの皆さん、ここで本を閉じないでください。損はさせません。

このゾンビたちはバイオハザードに出てくるようなハイパーな連中ではありません。
死んでいる(血流が止まっている)ので脳と筋の伝達がうまくいかず、バリケードに阻まれては階段から転落を繰り返すような知性と運動神経です。
そのため葉村たちは各階段にバリケードを築き、籠城する作戦を取りました。


いつ突破されるかわからない不安もあるものの、とりあえず安全なはずでした。
しかし、事件は起こります。
メンバーの一人が部屋で顔じゅうを噛みちぎられた死体で発見されます。
部屋には鍵がかかっていて密室。ドアの下には「ごちそうさま」、部屋の中には「いただきます」と書かれたメモ。

死体は服の上からも噛まれ、骨まで見えていました。ゾンビの仕業としか思えません。
ですが密室を作り上げ、メモまで残す芸当はゾンビにはできません。
一体だれが殺人をしたのか謎が深まって行きます。


みんなが携帯を持っているご時世、閉鎖空間で殺人が起こるクローズド・サークルはやりにくくなったように思います。
登場人物を閉じ込める要素がゾンビだとは思いませんでした。
携帯やネットは事態収拾にあたった政府により遮断されて使えないという設定でした。

ゾンビこそ出てきますが、ミステリー要素は本格的です。
吾輩トリックは分かりませんでした。



【感想あれこれ】
まず登場人物の名前が大変わかりやすいです。
外見やイメージそのまんまで、中にはダジャレめいた名前もあります。
作中でも比留子さんが触れていましたが、作者さんもそうした分かりやすさで命名したのかなと思いました。
ミステリーは登場人物が多いので、吾輩も巻頭の人物一覧を何度も見返したものです。
本作はそうした心配がなく、自然に人物がイメージできました。


また、文章が軽妙でした。
序盤のやりとりはコメディタッチで、これから殺人が起こるとは思えないようなノリです。
ゾンビ映画に詳しい人物に対して「これからはゾンビマニアではなくゾンビマスターと呼ぼう」といった、ちょっと笑える文章がこまめに出て来ます。
そのおかげでゾンビに包囲されているという圧迫感が時々緩み、最後まですんなり読めました。
読みづらい文章もなく、読みやすかったです。



ミステリ部分も手を抜いていません。
ホワイダニット(なぜ)、フーダニット(誰が)、ハウダニット(どうやって)の要素が比留子たちを悩ませます。
ゾンビに殺されたとしか思えない死体が密室に。しかしゾンビに密室を作るほどの知性はない。
他にも簡単に殺せる方法があるのに、なぜか回りくどい方法で殺された死体。
こうした謎解きも読みごたえがありました。



長く閉じ込められた状態になる分、登場人物の色々な面が描かれていました。
謎解きにも関わってきますが、怨恨が動機の場合は犯罪も効率優先とはいかないこともあります。
殺された人たちは殺されてもしかたないかなという感じでしたが、作中の描写をみると少しかわいそうかなとも思いました。

特に印象に残ったシーンですが、恨みをかった人物は、その人の一番醜い部分を曝け出しただけなのかもしれません。
恨みを持った側は、その人の一番醜い部分を指差して「人でなしだ、許せない」と叫んでいるだけなのかもしれません。
葉村が殺された人物に対して「これ以上知りたくない、あいつらのことを救いようのない人間のクズだって思っていたい」と感じるシーンが特にやりきれないものを感じました。



【おまけ】
個人的には比留子さんみたいなキャラはどストライクです。
知的で冷静、それでいて無防備だったり女性らしい奥ゆかしさがあったりして、たいへん良いですね。

また「んああ、いけない。気を緩めたところに死体を見たものだから、少しクラっときたよ」といった時代がかったというか、明治の文士さんみたいなしゃべり方もポイント高しです(笑)。
続きもできそうな感じだったので、もし機会があるのならまた比留子さんの物語を読んでみたいなと思いました。



最序盤から前振りがあったのでそうかなと思っていましたが、読みながら思わず「ゾンビかよ」とつぶやいてしまいました。
ミステリファンが眉をひそめそうですが、読んでみると紛れもなく本格派ミステリでした。
ペンションに集まる若者、閉鎖空間で起こる殺人。こうした伝統的な要素をしっかりと押さえつつ、個性的な展開を盛り込んでいると思います。

ミステリ部分がしっかりしている上に登場人物の掛け合いや読みやすい文章のおかげで、総合的にかなりおもしろい作品に仕上がっています。
このブログを読んだ方はもうゾンビが出てくることは知ってしまったハズ。
こだわりを捨てて最後まで読んでみてください。きっと楽しめる一冊であると思います。




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続編である魔眼の匣の殺人はこちら。
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3作目、兇人邸の殺人です。
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Last updated  2021.08.15 20:20:21
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