イタリアの郵便事情とワールドカップの関係
(遠目ですがたくさんの家庭が外にイタリアの国旗を掲げています) ただ今開催中の2006年サッカーのワールドカップで、私が住むイタリアは遂に決勝戦まで勝ち残った。9日に行われる決勝戦の対戦相手は今晩決まるとあり、昨日のイタリア対ドイツ戦の準々決勝戦と同じく、イタリア人達は今晩もテレビにかじりつき状態だろう。 過去に毎回サッカーのワールドカップが行われる度に、イタリアを応援していた私だったが今年はどうも応援の気力が沸かない。前回の日韓ワールドカップの時は、イタリア人の同僚達とオフィスのテレビで観戦しながらイタリアを応援していたものだった。その前のフランスワールドカップの時は、ドイツで【イタリア、がんばれ!】と応援した。今回はイタリアの応援どころか、試合のテレビ中継を全放送見ると言う通常であれば私が必ずすることもしていない。その理由には、やはり生後7ヶ月の赤ちゃんが家にいることが一番大きいだろう。日中の試合に関しては、居間に置いてあるテレビを点けるには、いくらなんでも赤ちゃんの目に早すぎないだろうか?と言う懸念がある。そして夜は夜で、最近ベッドに行くのがかなり遅くなってきているまーやは、夜の9時を過ぎてもぐずっている時が多く、やっと寝息が聞える頃には試合中継はとっくに始まっていて、私はテレビに向かう気力もなくぐったり、と言う状態が続いている。そうこうしているうちに、あっと言う間に準決勝まで来てしまったのだが、私に取ってこの準決勝までの道はえらく長く感じた。 実は、日本の実家と親戚から別々に荷物を送ってもらったのだがそれが一向に届かない。「荷物を配送したからね。」と言う連絡が来たのは、4週間前のこと。今週で5週間目となる。実家の母は通常『EMS』と言う国際スピード郵便で発送をする。このEMSだと4日もあれば東京からヴィチェンツァまで到着するので、『送った』と連絡が来てから、荷物が届くのを今か、今か、と外出も控えて待っていた。ところが荷物は1週間過ぎても、全然届かない。2週間が過ぎ、3週間が過ぎる頃になると、ちょっとおかしいのではないか?と思うようになった。そして思ったことが、『これは、ワールドカップ開催中で、イタリアが勝ち進んでいるが為に、誰も働いていないんじゃないか?』と言うことである。私はこの考えに100パーセント賭けてもいい、と思っている。 そして、そう思いながら過ごしていた先週、突然郵便局の車がやって来た。「封筒が届いていますよ。サインをお願いします。」母と親戚からは荷物だと聞いていたので、封筒ってなんだろう?といぶかしく思いながら下へ取りに行くと、届いていたのは1ヶ月前にインターネットを使って注文していたイタリア語の参考書だった。送り先は隣町のパドヴァから・・・隣町から1ヶ月も経ってようやく届いたのである。「これ!これって1ヶ月前に注文したものですよ?何で今頃になって届くの?」配達の人に文句をつけても『そんなこと言われたってわたしは知りませんよ』と言われるのがオチだと思っているにも関わらず、つい言葉がでてしまう。案の定そのおじさんは「さあ・・・。僕のところに来たのは27日だからね。」とさりげなく言い訳をしてさっさと去ろうとしたのを、私が引きとめた。「これだけじゃなくて、日本から二つ荷物が届くのを待っているんですよ。もう1ヶ月になるのに何で届かないのかしら!?どこで留まっているのかしら!?」おじさんは困惑した表情で、「僕は知りませんよ。配達するだけなのでね。」ともごもご言うので、「母はわざわざ国際スピード郵便と言うものを使って、料金を払って出してくれているのに、遅くついたら何の意味もないじゃないですか!?」と更に私が追い討ちをかけると、おじさんは「税関で留まっているんだよ。時間がかかるからね。」と言った。私「1ヶ月も!?1ヶ月も時間がかかるんですか!?」おじさん「1ヶ月位当たり前だよ。」私「へえ。税関って仕事、してないんですね!」思い切り嫌味を言ったものの、考えてみたらこのおじさんには何も責任がないことがわかり、その後はお礼を言ってさようならをした。 待っている荷物は子育てに疲れ気味の私に必要な物で、それが届けば心の余裕が生まれるかも知れないと私が期待しているものだった。だからこそ早く到着して欲しいのに・・・。 イライラしながら待っている私に、先日実家の母が再送をしてくれたのだが、その時に日本の郵便局に『届かないのだけれどどうしたのか?』聞いてくれた。すると、イタリアだけでなくドイツの税関でも同じように停滞しているのだと言う。全てはサッカーのワールドカップが原因らしい。 イタリアは昨日で決勝まで進んだ為、決勝戦が終わるまでは、荷物は確実に届かないと覚悟したほうがいいだろう。 『イタリアが勝ち進んでいる為に待ちに待っている荷物が届かない』・・・子どものようだが、荷物が届かないのが全てイタリア代表選手のせいであるように感じてしまう。 やれやれ、後1週間辛抱すればようやくイタリアと言う国も通常のように動き出すだろう。辛抱、辛抱、我慢、我慢、の国なのである。