カテゴリ:誘水日記
母親は今年の2月で86歳になった。
貧しい農家に嫁に来て、働き通しだった。 父親が職人として独立してからは毎日のように仕事を手伝っていた。 頑固な父に、怒鳴られながらも、歯をくしばって働いた。 3人の子どもを育て、 孫もでき、ひ孫も生まれた。 80代はのんびりと過ごすつもりだっただろう。 ところが、 一昨年、父親が亡くなった。 前立腺がんがあったが、これはあまり暴れないので大丈夫だったが、 あるとき、転んで背中を圧迫骨折した。 痛みで動けなくなった。 長女、次男(ぼくの妹と弟)と一緒にがんばって看病した。 親父が亡くなって、 平穏な日が続くかと思われた。 ところが。 去年は最大の悲劇だった。 7月に娘が59歳で亡くなった。 10月には息子が49歳で亡くなった。 わずか3ヶ月の間に、ぼくも妹と弟を亡くしてしまった。 腰が抜けるようなショックだった。 まして、母親である。 かわいい子どもを2人もなくして、 どんな気持ちだっただろうか。 ぼくは、たった一人残った子どもとして、 長生きして母親と楽しく生きようと決めた。 月のうち1週間から半分は母と暮らそう。 自然栽培を習い始めた。 田舎にはもうだれも耕さなくなった畑がある。 父親が、大好きな落花生をたくさん育てていた。 桃にも挑戦していた。 田んぼもある。 上手に生かしていかないと。 それが可能になるように仕事もシフトしていこう。 そんな矢先のコロナ騒ぎだ。 何だかんだと言っても仕方ない。 とにかく、 コロナ後をどうするか。 先に伸びたけれども、 ぼくのイメージは間違ってないと思っている。 自然栽培の講習会も延期になってしまって、 予定は狂うが、 それは当たり前のことで、 でも、大枠は変えずにいこうと思う。 母も一人で寂しいだろうし、不安だろうけれども、 耐えるしかない。 ときどき電話をし、手紙を書き、励ましている。 絶望だけをもってあの世へ行ってほしくない。 「ああ、こんな楽しいことがあるんだ」 そう思えるラストシーンを作ってあげたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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