カテゴリ:甲州ライフ
「ライターやめるんです」
お世話になっている出版社の社長に話すと、 「えっ」と驚かれた。 このベテラン編集者、妙にぼくのことを気にしてくれていて、 会うたびにいろいろありがたいアドバイスや励ましの言葉をくれる(口は悪いが)。 ちょっと言葉が足りなかった。 いわゆる「ゴーストライター」をやめるということ。 ずいぶんといろいろな人の本を書いてきた。 勉強になったけれども、 山梨へ引っ越したし、 もういいかな。 これからは、自分の思いを文章に綴ろう。 20冊ほど著書がある。 正直、不完全燃焼なんだよね。 これでは終われない。 「それはいいと思うよ」 社長は、自分の著書だけに集中したいというぼくの話に納得してくれた。 「山梨に移住した話を書けばいい。 都会から田舎へ移住した人は1000万人はいると思うよ。 でも、なかなか踏み切れない。 勇気を与えてあげておくれ。 いいアドバイスをしてあげるといい」 そう言ってくれた。 しかし、 ぼくだって、 必ずしもうまくいっているわけではない。 悪戦苦闘中だ。 コロナが長引き、 都会の暮らしに嫌気がさしている人も多いと思う。 でも、 だからと言って、 田舎へ行けば解決するかというと、 そんなことはない。 田舎には田舎の息苦しさがある。 ここ数年、ずいぶんと移住者は増えたと思う。 でも、 田舎に定着した人はほんの一握り。 最初は、 また都会者が来たよ、いつまでもつんだろうか、と冷ややかに見ている。 それを乗り越えないと。 一生懸命にやっている姿を見せること。 ぼくたちは、 ヤギさんを飼って、 毎朝、ヤギさんのエサ取りをがんばった。 その姿を、近所の人たちはきちんと見ている。 「こいつらはちょっと違うぞ」と見方を変えてくれる。 組(自治会)にも入り、 あいさつをし、 いろいろ教えを請う。 甘えるときには甘える。 それもわざとらしくない、さりげなさが大事。 「中途半端な気持ちじゃダメだろうな。こういうことをやりたいという強い意志がないと」 社長はそう言ったが、 ちょっと違うなと思う。 強い意志があるのはいいけれども、 それを前面に出してしまうと、 浮いてしまうんじゃないかな。 小さな村の中で、 まわりの人と仲良くできないとつらいよ。 意志や理想を振りかざすことは邪魔になることもある。 力まないことだと思うね。 田舎の人は、 のんびりした田舎の生活とか、 自然に囲まれるとか、 そんなこと考えて生きているわけではない。 都会人と同じように、 毎日、あくせく働きながら、 いろいろな悩みも抱えて、 普通に暮らしているわけだ。 それを踏まえて、 人と場所になじんでいくことだ。 意志があるなら、 胸にしまっておく。 そして、小出しにしていく。 1年でいろいろ学んだ。 ぼくたちは、けっこううまくいっている方だと思う。 ぼくのやること。 この1年の生活を文章にまとめること。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021年12月27日 10時22分40秒
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