マスメディアとネットメディア
「マスコミによる報道は信用できない」、という発信がネット上にはかなり見られます。私自身も様々な報道内容に対して疑問を持ち、ここ数年間だけでも新聞社などのマスメディア(TVの場合は、主にNHKやTBS)に対して実名で意見を届けてきました。〔ハンドルネームですが、本ブログでもそのいくつかは紹介してきています。〕 しかし、それは新聞メディアなどの報道機関を「信用できないと軽く見る」からではなく、重視しているからです。(政治権力からの圧力を受けやすいのは、組織的取材を経た報道は影響力が無視できないほど大きいから)。仮に新聞などがほとんど廃刊になり、「取材と裏どり」を経ない「伝聞情報」ばかりがネット上に溢れ、大多数の人がそれを唯一の情報源とするような状況が生まれたら・・・、考えるだけでも恐ろしいことです。 もとNHK職員の池上彰が実例を示しながら、新聞の重要性について述べています。彼の特集番組の中には「自分の視点と違う」と感じられるものがあるにせよ、この発信については賛同できるところが大きかったので要点を紹介します。 ネットがあれば新聞不要と思う人に欠けた視点 「新聞離れ」が進んだアメリカはどうなったか | Q 新聞の存在意義は?A 取材新聞社は多くの記者を抱え、直接情報源に取材して記事にする。この第一報がなければ、ネットに記事が転載されることもない。長い時間と手間のかかる取材をする記者がいるからこそ、記事が出来上がる。(テレビ局では、NHKだけが多くの記者を抱えている。民放テレビにも報道部門があるが、記者の数は少ない)。もし本当に新聞がなくなったら、第一報がなくなり、ネットに新聞社から配信される記事もなくなる。ネット専業のニュースメディアで新鮮な視点の記事も配信されるが、「テレビのワイドショーでのタレントの発言が炎上した」という類のニュースも激増。ネットニュースのメディアは取材コストをかけるだけの経営的な余裕がない。 Q 新聞離れで先を行っているアメリカで起こっていることは?アメリカでは全国紙より地方紙が主流だが、経営難のため続々廃刊に。結果、選挙の投票率が激減。地元の選挙を報道する新聞がなくなったため、立候補者などの情報が有権者に行き渡らなくなったため。地域のニュースが報じられない⇒地元の政治への関心も失われ、新聞が廃刊になった市では不正や汚職が横行。不正を監視し、報道されることもなくなったから。日本でも同じことが起こりかねない。新聞があることで、人々は政治についての情報を得ることができ、権力者の不正に歯止めがかかる。新聞は民主主義を支えるインフラ。Q 社会を動かした例は?A1 1970年代、アメリカ史上最大の政治スキャンダル「ウォーターゲート事件」⇒リチャード・ニクソン大統領が辞任に追い込まれた。この事件を暴いたのはワシントン・ポストで地方版を担当する2人の若手記者。発端は1972年、ワシントンのウォーターゲートビルにある民主党本部に不法侵入した人物をガードマンが見つけて通報、逮捕された侵入者の中には元CIA(中央情報局)の工作員がいた。これを知った2人の記者は「本当にただのコソ泥なのか?」と疑問を抱き、取材を始めた結果、大統領再選を目指す共和党系の人間が盗聴器を仕掛けようとしていたことが発覚。A2 ベトナム戦争を終結させた歴史的な大スクープ。 泥沼化していたベトナム戦争の真相を記した機密書類「ペンタゴン・ペーパーズ」をニューヨーク・タイムズが報道。報道機関と政府1 | “しょう”のブログ - 楽天ブログ (rakuten.co.jp)報道機関と政府2 | “しょう”のブログ - 楽天ブログ (rakuten.co.jp)Q 日本の場合は?A リクルート事件が有名川崎市役所の助役がリクルート社から未公開株を受け取っていた件を神奈川県警が内偵捜査を行ったが、時効のため事件にはならなかった出来事。しかし、朝日新聞横浜支局だけが独自の判断で取材⇒地道な報道を継続、時効であっても、企業のモラルが問われる問題だと捉えた⇒朝日新聞は「リクルート社、川崎市助役へ一億円利益供与疑惑」という特ダネを打った⇒その後、リクルート社が政財官界の多くの人々に未公開株をばらまいていたことが発覚。そこで、東京地検特捜部が捜査に乗り出し、日本の政財官を震撼させた「リクルート事件」へと発展。地方記者の執念の取材が、巨悪を暴いた。地道な取材と報道によって政治や社会が大きく動くこともある。 「信用できない」と切り捨てるのではなく、新聞等のマスメディアとネットメディア「双方の強みと弱み」を十分考慮したうえで判断し、対応していくことが大切。にほんブログ村 ← よろしければ一押しお願いします。一日一回が有効教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)「しょう」のブログ(2) もよろしくお願いします。生活指導の歩みと吉田和子に学ぶ、『綴方教師の誕生』から・・・ (生活指導と学校の力 、教育をつくりかえる道すじ 教育評価1 など