たまにはアメリカ映画も…
■戦時下のラブロマンス「カサブランカ」 「君の瞳に乾杯」という決め台詞。「Here's Lokkinng at you, kid.」 直訳すれば「可愛い君、君をみつめて乾杯」といったところか。これを「君の瞳に乾杯」と訳した人に、もう完敗!。しかし、このセリフが4回も登場するのには驚いた。一番印象的なのは、最初にこのセリフが使われる、リック(ハンフリー・ボガード)とイルザ(イングリッド・バーグマン)のパリでの出逢いの回想場面。「君の瞳に乾杯」(「カサブランカ」1942年制作 アメリカ 1943年のアカデミー賞、作品賞・監督賞・脚色賞) ナチスドイツがヨーロッパを席巻していた時代。舞台はパリ陥落後成立した親ドイツフランス政府ビシー政権下のモロッコ。カサブランカはアメリカへの亡命を目指す多くの人々の中継地となっていた。時代を反映して、この映画には反ドイツのプロパガンダ(宣伝)がちりばめられている。象徴的な場面は、リックの酒場でドイツ兵たちがドイツの歌を歌っている、そこに現れたリックがバンドにフランス国歌を演奏させる場面。ほとんどの客が立ち上がりフランス国歌を高らかに歌う。 しかしよく考えると、当時フランスだってモロッコを植民地支配してたじゃないか。今、民主化運動が高まっているリビアやチュニジアもフランス領だった。モロッコは2次大戦後の1956年に独立、現国王ムハンマド6世になって民主化が進められているという。しかし国民1人当たり所得は約2,800ドル。これはアフリカ諸国では中位であるが、日本の10分の1にも満たない(総務省資料より)。 世界中の人々が、真の意味での自らの政府を持ち、平和で人間らしい生活をできる日が来ることを願い続けたい。たとえ、その過程に多くの困難や苦しみがあったとしても、いつかはきっと。