カテゴリ:カテゴリ未分類
こんな感じのカテゴリー群を、「思考冒険小説」と呼んでいいかもしれない。 日常からのはずれ具合には多少の差があったとしても、思考の限度を試すような世界観は、 新しい読者ファンを獲得している。 しかしこれらの作家たちが最初からこの様なスタイルだけで出発したわけではなさそう。 伊良部総合病院の神経科医師「伊良部一郎」シリーズで好評の奥田英朗のデビュー作はジ ョンレノンの物語を描いた「ウランバーナの森」。 もちろんフィクションの小説だが、ヨーコの実家の軽井沢の別荘に1976年から79年 まで毎年夏に訪れていたのは本当の話で、この作家のジョンレノンへの思い入れが文壇の 仲間入りをした出発点であるようだ。 文章のスタイルも至ってまじめなタッチなんだけど、時空移動はすでにこの本から取り入 れている。 過去と現在の行き来の中から、今の問題点を探り当てる旅のような展開。 ただし、この方向性だけで書き進めていたら今の奥田英朗はなかったかも。 そういう意味では、「インザプール」、直木賞受賞作品「空中ブランコ」、そして新作 「町長選挙」と連続小説の伊良部シリーズはおもしろい。 これにつきる。 裏付けがあるギャグ、ウイットの上質な笑いは1杯のシングルモルトウイスキーの様だ。 あまりにもおもしろかったので読み始めに、今宮さんに「これ読んでみたら」と「インザ プール」を推薦したんだけど、この中の2作目を見て「やや~?!」「これはマズイ?!」 と、あせって、 「いや~。よく読んだら、たいしたことなかったよ」と評価修正の電話をいれなきゃいけ ないはめに。 しかし、男性諸氏にはすこぶるおもしろいことは請け合いです。ぜひ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.05.27 12:25:51
コメント(0) | コメントを書く |
|