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そんな掛け合いをしていて、「これはすごくおもしろいから、ぜひ読まなきゃ」と紹介さ れたのは、奥泉光氏の「鳥類学者のファンタジア」。 これはもう最高でした。 出だしから、「エリック・ドルフィー」が出てくるんだもん。たまりません。 現役でジャズバンドを編成していて、ご本人もフルートを演奏する奥泉さん。ジャズを含 めてクラシックまで、音楽の造詣が小説になったようなストーリー。 幼少の頃、一瞬時空をさまよったと思っている私としては、この本の主人公であるフォギ ーこと、希梨子(きりこ)の体験は人ごとじゃない。 現代から、終戦間際のヨーロッパの1944年へ時空を越えて、ピアニストの祖母の霧子 (きりこ)を探し求めてのタイムトラベル。 その間に様々なジャズやクラシックの音楽家が登場するわけで、小説家も自分の庭で勝負 するとこんなに生き生きとしているかと思われる見本のような本でした。 最後のシーンで、タイムスリップ先のニューヨークのジャズクラブでのチャーリー・パー カーとの出会いで、本のタイトルが証されるところなんざ、肴の最後に残していた一切れ のカラスミを口に入れるごとく、至福の味わいでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.05.29 16:03:11
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