カテゴリ:青春時代「アメリカンシネマ」
’61年「ウエスト・サイド物語(第62回参照)」に続き、ロバート・ワイズ監督の放ったミュージカル映画。
アカデミー作品賞・監督賞他5部門受賞作品です。 それがあって、僕はロバート・ワイズはミュージカル映画監督だとばかり思っていたのですが、「砲艦サンパブロ(第33回参照)」で書いたように、様々な分野の作品を残しています。 ミュージカル作品は、同じジュリー・アンドリュースを使った「スター」ぐらいしか思い当たりません。 ジュリー・アンドリュースは前年公開された「メリー・ポピンズ」に続くヒットになり、ミュージカルの女王に躍進しました。 ややこしいのは、この時期同じに公開された「マイフェア・レディ」は、舞台はジュリーが主演だったのですが、映画はオードリー・ヘップバーンが演じています。 オードリーは好きだけど、イライザはジュリーにやって欲しかった。 更にこの年は、デビー・レイノルズも「浮沈のモーリー・ブラウン」で気を吐き、フランスでは「シェルブールの雨傘」がカンヌ映画祭グランプリという、ミュージカルの最盛期とも言える時期を迎えたのでした。 「サウンド・オブ・ミュージック」はそんなミュージカルラッシュの取りを飾るように登場し、大成功を残します。 『ドレミの歌』『エーデルワイス』『私のお気に入り(JR東海の「そうだ京都、行こう!」の曲)』など、スタンダードになる名曲を知らない人はいません。 オーストリア・アルプスの大自然の中で俯瞰で歌い上げたり、プロモーションビデオのように細かいカットを繋ぎ合わせたりと、ミュージカル映画の手法の完成品ともいえる出来です。 お話も、七人の子どもたちと家庭教師の確執から融合、お堅い退役軍人のやもめとのロマンス、修道士としての悩み。 そして、ナチスドイツからの逃避行など盛りだくさんで飽きさせません。 この映画が一番好き!という人も多いはずです。 子持ちのやもめでも、若くて明るい家庭教師と恋愛できるってのが希望持てます。 おじさんの夢でしょうか。 そんな、ミュージカル最高傑作でしたが、この作品の後、ミュージカル映画はぱっとしなくなります。 満ちれば欠ける世の定めでしょうか。 「サウンド・オブ・ミュージック」の原作自体は実話だったのですが、ミュージカルにしたため、すっかり絵空事となり、この後アメリカを襲う大きな現実の前に、ミュージカルという分野は、影を薄くせざるを得なくなります。 入れ替わるように台頭するのが“アメリカン・ニューシネマ”ということになります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年11月13日 07時21分34秒
コメント(0) | コメントを書く
[青春時代「アメリカンシネマ」] カテゴリの最新記事
|
|