テーマ:お金のハナシ(2269)
カテゴリ:資産運用
【自己資本比率が高い、という盲点】
その頃(1997~1998年)、時代はITバブル初期でした。 いわゆる「ドットコム系」の企業は公募価格が異様に高かった。 そういった状況で公開した企業は、 ほぼ例外なくその時点の売上あるいは利益の何十倍もの、 身の丈には合わない莫大な資金を調達してしまい、 それをまるまる自己資本に組み入れますから、一様に自己資本比率が高くなる。 しかも、大した資金使途がない企業ほど、いつまでもプールされたまま。 目論見書に記載した資金使途理由と整合が取れずに、 苦し紛れのようにシナジーを無視した無意味なM&Aに資金を振り向けたり、 借入金の返済に充当したり、自社ビル建設のための土地を購入したり、 と、一体何のために公開公募で資金調達したのか! と言いたくなるような愚行に走る企業もかなり見受けられた時代でした。 この約1年前に、自分自身が実際に「IPO」の仕事に参加し、 一連の作業を手がけ完結する機会と経験があったことも大きかったです。 資金調達に関わる『おカネの適正な扱い方』を実際にこの眼で見る機会があったために、 一早い段階で異常に感づくことができた。 私が経験した1社目のIPOは、いわば「普通」で「妥当」な水準の公募だったのです。 調達資金の使途も、店舗網拡大や物流効率UP、 と本業のために投入するプランが具体的に描け、 「よってこの程度の資金を公募により調達します」と堂々と宣言することができていた。 こんなわけで、さらに学習した私は、「ある程度経営実績を積んだ企業」 つまり、実業で稼いだ配当可能利益をある程度積み上げた企業を投資対象にしなければ、 新興企業の財務諸表数値マジックに引っ掛かってしまうな、という危険を認識しました。 そして幸いに、この後訪れる約2年間の狂乱のITバブル銘柄には手を出さずに済み、 何とか生き残ることができました。 それにしても「経験則」とは、いろいろな局面で、役に立つことがあると実感しております。 危険察知能力は、磨いて高めておいてソンはありません。 (つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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