テーマ:お金のハナシ(2294)
カテゴリ:資産運用
【自己資本比率が高い、という盲点】
その頃(1997~1998年)、時代はITバブル初期でした。 いわゆる「ドットコム系」の企業は公募価格が異様に高かった。 そういった状況で公開した企業は、 ほぼ例外なくその時点の売上あるいは利益の何十倍もの、 身の丈には合わない莫大な資金を調達してしまい、 それをまるまる自己資本に組み入れますから、一様に自己資本比率が高くなる。 しかも、大した資金使途がない企業ほど、いつまでもプールされたまま。 目論見書に記載した資金使途理由と整合が取れずに、 苦し紛れのようにシナジーを無視した無意味なM&Aに資金を振り向けたり、 借入金の返済に充当したり、自社ビル建設のための土地を購入したり、 と、一体何のために公開公募で資金調達したのか! と言いたくなるような愚行に走る企業もかなり見受けられた時代でした。 この約1年前に、自分自身が実際に「IPO」の仕事に参加し、 一連の作業を手がけ完結する機会と経験があったことも大きかったです。 資金調達に関わる『おカネの適正な扱い方』を実際にこの眼で見る機会があったために、 一早い段階で異常に感づくことができた。 私が経験した1社目のIPOは、いわば「普通」で「妥当」な水準の公募だったのです。 調達資金の使途も、店舗網拡大や物流効率UP、 と本業のために投入するプランが具体的に描け、 「よってこの程度の資金を公募により調達します」と堂々と宣言することができていた。 こんなわけで、さらに学習した私は、「ある程度経営実績を積んだ企業」 つまり、実業で稼いだ配当可能利益をある程度積み上げた企業を投資対象にしなければ、 新興企業の財務諸表数値マジックに引っ掛かってしまうな、という危険を認識しました。 そして幸いに、この後訪れる約2年間の狂乱のITバブル銘柄には手を出さずに済み、 何とか生き残ることができました。 それにしても「経験則」とは、いろいろな局面で、役に立つことがあると実感しております。 危険察知能力は、磨いて高めておいてソンはありません。 (つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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こんにちは!
なるほどと頷ける話ですね。 わたしも、業務内容が不鮮明であるIT関連企業に関しては有価証券報告書などに目を通しても、どんな仕事をしているのかイメージがわきませんので、投資対象から外しております。 集めた資金の使い方で経営者の能力がわかりますものね。 毎回、ためになるお話有り難うございます。 (November 14, 2005 03:40:17 PM)
公募増資で株主資本比率を高めただけの企業ですか~。完全に盲点です。ところでこなつは、株主資本比率はあまり重視していません。それよりもキャッシュ重視です。ただそういった企業は、大化けはねらえませんね。
資産バリューも見直さなければなりません。成長株として見込んだナックも下方修正ですから、それを読めなかったこなつは甘いですねえ。 (November 14, 2005 07:29:26 PM)
いさま~さん
>わたしも、業務内容が不鮮明であるIT関連企業に関しては有価証券報告書などに目を通しても、どんな仕事をしているのかイメージがわきませんので、投資対象から外しております。 > >集めた資金の使い方で経営者の能力がわかりますものね。 >毎回、ためになるお話有り難うございます。 ----- 最近は私もバリバリのIT系企業を対象にすることは少なくなりました。 時代はネット/オンライン社会であり、こういった方面のインフラやプラットフォームを活用した企業が、先鞭を付け、評価としても大化けしていく可能性を秘めているのでしょうけど、結局は、実業なりリアルマネーを正しく有効に活用できているか、という点に企業評価が収斂していくのだと思われます。 この点や要素だけは、IT系であろうとなかろうと、すべての業種企業に当てはまることだと思っております。 (November 14, 2005 08:15:27 PM)
konatsu6483さん
>公募増資で株主資本比率を高めただけの企業ですか~。完全に盲点です。ところでこなつは、株主資本比率はあまり重視していません。それよりもキャッシュ重視です。ただそういった企業は、大化けはねらえませんね。 ----- 盲点に気をつけましょう、という意味から、株主資本比率が異様に高い企業は、その中身を重視して調べたほうが落とし穴にはまらずに済むかな、というのが私の経験則ですね。 それから、キャッシュ・フローは、あらゆる企業経営要素の中で、最重要を占める要素であることは疑いありません。引き続き、最重要視されることが望ましいと思われます。 企業経営を人間の身体にたとえると、キャッシュ・フローは『血流』で、まさに血肉、企業体力や財務基盤の根幹を成します。 純資産(株主資本≒配当可能利益)は、『心臓』そのものに当たり、この器が大きく、中身が健全であるほど、強い経営基盤ができていると言える要素です。 テン・バガーなどという一見異常な大化けをした企業は、上記の二大要素がしっかりしていないと起こりづらい、というのが、今のところの私の分析です。 (November 14, 2005 08:22:03 PM)
なるほどーー。
さっぱりみてないなあ。勉強になりました。 ちなみに、難しい質問かもしれませんが、妥当な水準ってどう見分けるのでしょうか?妥当な数値があると分かりやすいですが・・・。(ちょっと抽象的すぎますかねえ) (November 14, 2005 10:46:59 PM)
金丸大三さん
>ちなみに、難しい質問かもしれませんが、妥当な水準ってどう見分けるのでしょうか?妥当な数値があると分かりやすいですが・・・。(ちょっと抽象的すぎますかねえ) ----- フフフ・・・繰り返しましょうか? 純資産は60%以上。 キャッシュフローはフリー・キャッシュフローがEPSより高い水準にあること、です。 この状況にある企業は、毎年確実に配当可能利益が増加し、将来の資本ポテンシャルが強化されていきます。 でも、これに固執するわけではありませんよ。 投資できる企業が皆無になってしまう場合もあるので、少しづつ緩めたりします。 要は自分で考えやすいような公式を徐々に作っていけばいいと思います。 (November 14, 2005 11:02:50 PM) |
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