1054312 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

上生的幻想

上生的幻想

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2005/01/02
XML
カテゴリ:ボルドー 赤
チェックの短めのスカートに紺のハイソックス・・・ちょっと見は、どこにでもいそうな女子高生。でも、彼女のことを知れば知るほど、どこにでもいそうな女子高生だとは思えなくなってくる。
生まれ、育ちは、たとえば、京都の古い商家。古い町屋の実家には、出格子があり、坪庭があり、夏には、その庭に植えてある観音竹の葉がそよ風に揺らいでいる。
その坪庭をのぞむ小間に、99年生まれの姉は、和服を着こなして、ちゃっかり端座していた。ちょっとおすましして(2002/11/30)。いっぽう、96年生まれ姉は、自由奔放なお姫様。建具や欄間、柱などどこをとっても町屋だが、ただちょっとだけ格式ばった居間、そこにおかれたソファに寝転がって、あられもない大あくび(2003/12/13)。
2001年生まれの彼女は、町屋の出格子がよく似合う。高校の制服と出格子。姉たちに比べて、より、活発で今風だ。
だが、素性のよさや育ちのよさは姉たちを凌いでいる。ランクがひとつ上がったと同時に、どことなくスタイルも変わった。あくまでも伝統のある商家のそれだった姉たちの育ちのよさに加えて、わずかに高貴さの兆しも。そして、姉たちにはなかったエレガンス。たとえば、今までは、あの五つの名家をはじめ、スーパーセカンドなんていわれるメドックの超一流の子女が集まる社交界のサロンに出入りするにはちょっと気が引けたけど、この彼女ならばそれも夢ではないかも、と感じさせてくれるような、そんな品格の兆しとエレガンス。
いや、それどころか、遠くを見つめる彼女の澄んだ瞳の奥には、ただそんな自分を夢みるだけではなく、いずれその仲間入りを果たすという、自信と、しなやかな野望と意志が、感じとれる。そしてそのしなやかな野望と意志は、彼女だけのものではなく、このシャトーの野望と意志でもある。

この品格の兆しとエレガンスが何によるのか・・・・
今まで、荒いといわれていたムーリーのあの特徴。19年を経てすばらしい大人の女性になっていたプジョー85でさえ、こなれていたとはいえ、まだその痕跡が認められた、ムーリーというテロワールに由来するあの頑強さ。たしかに、それがムーリーの個性だといってしまえば、それはそれで収まりがついていたあの頑固さ。逆に言えば、「個性」という言葉をあてはめることでしか救いようがない、どうしようもなさ。いままではこの頑強さを、ただ歳月によってやわらげるしかなかった。ところが、2001年の彼女は、その頑強さを洗練して、ソフィスティケイトし、独特なしなやかな口当たりとしてボディの中に見事に織り込んでいる。まるで、張りのあるうすい絹地のような心地よい舌触り。この「張り」こそが、洗練され、ソフィスティケイトされたムーリーのあの頑強さ。時には、拳骨でガッツンと殴られるようであったり、拳骨といわないまでも象牙のこんにゃくのようであったりしたムーリーの「個性」が、彼女の中では、エレガントで独特な「張り」のあるうすい絹地のような肌となってボディに溶け込んでいる。どうしようもないから、仕方なく「個性」とでも名づけるしかなかったものが、彼女の中では、自家薬籠中の、あの超一流のサロンでも通用するような、ほんとうの個性に磨き上げられている。そしてこの洗練され、ソフィスティケイトされた真の個性が、彼女にこの品格の兆しとエレガンスを授けたのだ。

ただ、たしかに、その兆した品格とエレガンスのおかげで、彼女の表情はちょっと窮屈そうだ。姉たちの素性のよさが、根っからの、生まれついての自然な素性のよさだったのに対して、彼女のこの品格の兆しとエレガンスは、まだまだとってつけたよう。当然グリュオー94のような「忘筅」境地にも及びもつかない。いまは、背伸びして、やっとこの品格の兆しとエレガンスを保っているような状態だ。気取っていたり、鼻につくわけではないが、その取澄ました表情・・・
そのおかげで、とても残念なことに、僕をとりこにした、99年生まれの姉の持っていた、あの何ともいえないチャーミングな果実味の微笑みは永遠に失われてしまったようにみえる・・・・
しなやかな野望と意志、あらたに身に得た品格の兆しとエレガンス。その代償に失われてしまった、あの微笑・・・・嗚呼! なんて僕がちょっとセンチで悲しげな気分にしみじみしてたら・・・・なんてことはない、やっぱり姉たちの血を引く彼女は彼女、僕に背を向けて、くすくす笑っている・・・・(2005/01/08)
 
 
香りは、馬酔木のあのなんとなく生臭い匂い、スイカズラ、酸味の強い赤色系果実、りんご飴の芳ばしいところ、ナツメグ、ガラムマサラ、ウイキョウ、肉のうまみ・・・グラスをゆすると、りんご飴が濃くなってちょっとカラメル、また、濃縮した赤色系果実で作ったクリーミーなスパイスたっぷりのソースで下味をつけた肉、デザート用の生クリームを載せたバナナ、メンソール・・・
口に含むと、クリスタルな透明感のあるアタックがやがてクリーミーになっていくころから、赤系果実やタバコ・コーヒーの風味、メンソールやぴりぴりスパイス、細やかでこなれていて心地よい渋み、そのあとクリスタルな澄んだ印象のままとろりとなって、濃縮した赤色果実のクリームーソースをかけた肉・・・・そして、張りのある薄絹のような舌触り。
余韻は、りんご、甘草のような口にしみてくる甘み、コーヒー、赤色系果実、メンソール、スパイス。
 
 CH.CHASSE-SPLEEN 2001
 
メモ)正確には憶えていないけど、2000年あたりから、シャスのセパージュがちょっと変化したようだ。カベルネ・ソーヴィニヨンの比率が上がり、メルローの比率が下がった。それが何を意味しているのか・・・この2001を飲んで分かったような気がする(っていっても、僕の勝手な解釈だけど)。要するに、さらに上を狙っているのだ、シャスは。
カベルネが増えたことで、熟成が遅くなり、シャスの長所である早熟さが失われるのでは・・・なんてちょっと心配だったけど、まったくの杞憂だった^^
むしろ、カベルネを増やしたことで、その長所はそのままに、品格が兆してエレガンスが加わった。
早飲みP氏をはじめ、3~4級相当ということだが、カベルネを増やしたことで、 僕的には 、0.5級くらいあがって、2.5級になったかな・・・・なんて。
 
2003年のブルジョワ級の改定で、今まで同様、ブルジョワ級で最高ランクのクリュ・ブルジョワ・エクセプショネルに格付けされた(改定以前は、クリュ・グラン・ブルジョワ・エクセプショネル)。

「最悪のグラン・クリュであるより、最良のブルジョワでありたい」(誰だったか、たしか、シャスの所有者さんの言葉)(2005/01/09)


☆★ ワイン リスト ☆★トップ へ
☆★ 2005 ☆★ ワインリストへ







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2005/01/08 11:46:20 PM
コメント(0) | コメントを書く
[ボルドー 赤] カテゴリの最新記事


PR

Category

Archives

2024/06
2024/05
2024/04
2024/03
2024/02
2024/01
2023/12
2023/11
2023/10
2023/09

Calendar


© Rakuten Group, Inc.