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上生的幻想

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2007/04/23
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テーマ:京生菓子(15)
 
 「お団」といってもいわゆる団子のことではなく、「清浄歓喜団(せいじょうかんきだん)」という名前のお菓子。親しみを込めて、家では「お団」と略称で呼んでいる。
 かたちもとてもユニーク。一度見たら忘れられない。金嚢(きんのう)のかたち。金嚢とは、財布。なんていうとちょっとげんなりかも知れないけど、宝づくし紋にみる金嚢そのもののようで楽しい。
 
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 口の、中華唐草みたいな結び目は八つで、蓮華を表している。
 そう、このお菓子、じつは仏教(真言宗)と密接な関係がある。実は歓喜天に供える供物だったという。
 このお菓子が日本に伝えられたのは奈良時代。なんて「そもそも書き」を読むと、奥ゆかしくもあり、正倉院のガラス鉢や琵琶をちょっと思い浮かべて、ふーんと感嘆したり(正倉院に収まっている「宝物」の中に、金嚢のかたちをしたこの「お団」を加えてみるとなんともまた面白い。当時としては、こういう唐菓子も、その作り方は一種の「宝物」だったかもしれない)。
 伝来当時の中身は、栗、柿、杏などを甘草やあまづらなどで味付けした物だったのが、今のように小豆餡になったのが江戸中期。比叡山の阿閣梨から教わったという秘法そのままに、今でも精進潔斎して調整しているとか。ユニークなどことなくユーモラスな姿に似合わず(?)、神聖な、ありがたいお菓子でもある。
 
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 リッチな金嚢そのもののようで、なかなかずっしりとした重み。
 皮は、米粉と小麦粉。包装の袋から出すと、胡麻の芳ばしい香りと肉桂の香り。胡麻油であげられたこの皮の中には肉桂を含めて七種類の香が練り込まれているとか。
 食べるときは、もちろんこのままでもいいけど、オーブントースターで焦げないように温めるとなお美味。
 中は漉し餡で甘さは控えめ。皮はかなり固くて歯が丈夫じゃないとちょっと辛い。袋の底を指で押すようにすると簡単に割れる(写真の緑の短冊に食べ方が書いてある)。
 漉し餡とお香と胡麻の香りの皮とが相まって複雑な風味が口を満たす。口だけではなく、胃や腸までが、七種の香のおかげでマイルドなすがすがしさに(肉桂のほかに白檀を僕は強く感じた。あと、ナツメグやクローブのようなほのかな甘み)。すっかり平らげて、臓腑もすがすがしく、こころもきよらにほっこりして、煩悩がすっかり清められたかというと、なんとも新たなる煩悩のほむらが・・・んんっ、もっと食べたい!
 
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(由来が記された「そもそも書き」。「そもそも書き」は京菓子にとっては大切なもの。読める写真を載せたいが、でも、あくまでも菓子の添えだから実際の菓子よりも大きくなるのはよくないのでこんな感じで)
 
 この「お団」、家ではなぜか、春と秋の季節の変わり目によく食べる。なんかこの季節になると食べたくなる。
 
 ※「お団」に直接関係あるかは別として、仏教発祥の地インドでは、スパイスが多く使われるほど、また、よく火が通されるほど、清浄な食べ物とみなされているという(油で揚げるというのは、もっとも清浄な調理法だという。カレーも清浄な食べ物なのだ。これはカースト制とも関係があるとのことだが、今は省略)。「そもそも書き」には唐から日本に伝えられたとしか書いてないが、もしインド発祥のお菓子だとするなら、これはとても清浄な食べ物であり、神様にお供えするのにふさわしいものといえる。「清浄歓喜団」の「清浄」の意味も理解できるというわけだ(インドの料理については、奥さんの話。カレーについての本にそんなことが書いてあったと)。

 1個500円(税抜き)





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Last updated  2007/04/23 09:42:15 PM
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