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上生的幻想

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2008/04/27
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カテゴリ:展覧会など
プログラム
 
 能   田村 替装束  シテ  河村博重  
 仕舞  兼平           橘 保向
      網之段         梅田邦久
 狂言  口真似     シテ  茂山忠三郎 
 仕舞  自然居士        片山慶次郎
      鉄輪           片山清司
 能   求塚      シテ  片山九郎右衛門 

 *** 
 
 能  田村 替装束(たむら かえしょうぞく)
 
 次第の囃子、笛の杉信太郎さんがまだ若いせいか、音色にやや深みがない感じ。
 また、次第全体になにかまとまりがない感じ、というか、一曲がはじまる前奏として、なにかイメージがわいてくるとよかったが、イメーがわいてこなくて、つかみ所がなかった。これは、僕のチューニング具合によるのかもしれないけど。
 ワキ/旅僧の則久英志さん、茶の水衣に中は藍、帽子は青地に金の梅鉢(暇だったのか、ワキの装束までメモ)。声が、明るく、華やか、高めで、よく通る。が、ワキとしてどこか調子が外れている感じも。
 どことなくすっきりとしない、違和感のある始まり。
 前シテ/童子。替装束で、喝食(かっしき)、喝食鬘、上が銀地に金の菊・桐の唐織、下が黒地の縫箔(ひときわ龍紋が大きかった)の腰巻き。
 摺箔はピカピカ系ではなくて、しっとり、落ち着いたとても上品な金・銀。
 腰巻き姿は、普通、女性の装束。
 喝食の面が、また、なんというか、艶麗。どこかりりしいなかに、美しい、優な、中性的なつややかさが漂っている。双眼鏡で見ながら、思わず、見とれてしまった・・・。
 ところは清水寺。桜は満開、夜空には、月。
 月もおぼろな夜桜のもとで、花守の童子が艶麗な舞を舞う。とても幻想的。
 この舞を舞うのが女性だとすると、過剰。品のある、優に艶麗な童子が舞うからこそ、ぐぐっとくる。とてもいい感じ。
 シテの河村博重さんは、謡やせりふがぷつぷつと、まるでゴマ点そのもののようにとぎれるところ、また、左足の足拍子がどことなく弱いところが残念。しかし、それ以外は、舞も綺麗。
 始まりがどこかちぐはぐな感じでつかみ所がなかったものの、中入りまでには、優に艶麗な童子の舞に、どっぷり。
 「げに惜しむべし 惜しむべしや 春宵一刻値千金 花に清香 月に陰」とあるそのままの風情。
 謡い本を読んだときは「田村」ってあんまり面白そうじゃないな~、とか思っていたけど、これはなかなか面白い曲だと、後場が楽しみに。
 
 後シテ/坂上田村麻呂の霊。今も、清水寺の開山堂(田村堂)に祭られている。
 中国風の装束。唐冠、唐団扇。黒頭、オレンジ色に亀甲と花の織地と清海波と龍紋の唐織、前場の唐織同様のしっとり上品な白か銀地に金の雅楽太鼓のような模様の狩衣(襟を内側に折り、袖も折ってあり、ベストふう。ただ、狩衣の袖口は外にでていた)、唐織と同じオレンジ色の地に金の鱗、丸雲紋の大口。背中に剣を背負う。
 面は、天神。赤ら顔。
 これは、ただの田村麻呂の霊というよりも、開山堂に祭られて、ちょっと神にへあがっている感じ。
 その田村麻呂が清水寺の縁起と鈴鹿山の鬼神退治を語って聞かせる。
 前場とは対照的に、鬘桶に腰掛けて、舞らしい舞はない。
 艶麗な童子だったのが、気迫、覇気みなぎる鬼神とも思える武将の霊。
 動・優だった前場と、静・剛な後場の対象の妙、おもしろさ。のどかな春の宵、満開の桜の清水寺、舞があり動きがあったものの、心持ちは穏やかで静かな前場の童子。逆に、鈴鹿山の戦場、舞もなく鬘桶に腰掛けたまま、敵をにらみつけるとか、軍兵を指揮するとか、観音の加護を受けて矢を射るとか、その程度でほとんどこれといった派手な動きもないが、その実、気迫が勝負の後場の田村麻呂。とても面白かった。
 もしかして、後場は翔が省略されていたのかも。その分、前場に舞が入っていたような感じ。
 「標準」の「田村」を知らないので比較してはいえないけど、この「田村」はとても面白かった。
 
 
 仕舞  網之段 梅田邦久さんは、綺麗な舞。いつかシテでみたいと思いつつ、なぜか縁がない。。。
 
 仕舞  自然居士  片山慶次郎さん 今回はあまり生彩がなかった感じ。
 
 仕舞  鉄輪  片山清司
  この鉄輪は、優美。「鉄輪」シテ観世喜正のDVDでいやになるほどみてて、謡いも諳んじられるほどになってるけど、今回の清司くん(同年代なのと、むかし家人にちょっとした縁があったので、こう呼んでいます、一方的に)の仕舞には驚き。優美で、どこかなまめかしい。そんな、もとは優美でなまめかしい女が、恨みをのんで鬼となって、男に恨みを晴らそうとするから、怖い。でも、優美でなまめかしいから、魅せられてしまう。なんでこんなに優美でなまめかしい女性を捨てたんだろう?と下京あたりの男のことが解せなくなったり・・・。
 真綿で首を絞められるような・・・そんな、じんわり~とした、怨念。
 地謡も当然、優美でなまめかしい。
 こういう鉄輪があるのか~と・・・。
 それにしても、清司くんは、やっぱり、すごい。この「鉄輪」の雰囲気で、「葵上」だの「定家」だの、想像するだけでも楽しくなってくる。
 ちなみに、喜正くんのほうは、今時のホラー風。情念よりも、もっと直接的に、筋骨たくましい?感じの女。すでに、女をまったく忘れて、鬼となってしまっている感じ。
 
 
 狂言  口真似 シテ  茂山忠三郎
 今まで見た狂言の中で、一番面白かった。
 どうしてああ、機械のように口真似できてしまうのか・・・。そう、正確に、というよりも、無感情に、とでもいうか。
 忠三郎さんの裃、観世水とかきつばた。なかなかいいな~。
 
 求塚 はその2で。





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Last updated  2008/04/27 08:31:38 PM
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