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カテゴリ:トラばなし
<サマリー>
定年も迎え、楽器も新しく外で演奏しても大丈夫そうなものを入手したので、長年の念願でもあった、母校の第九公演についに参加することができました。前泊のみの慌ただしい参加でしたが、演奏会自体も制限付きながらも外部(父兄)のお客様に入ってもらっての久しぶりのコンサートとなったようで、記念すべき演奏会に立ち会わせてもらいました。 《高高芸術祭第35回ハートフルコンサート「第九・歓喜の歌」演奏発表会》日時:2022年12月15日(木)場所:高松高校プラザ(中庭) 指揮:山田 英司 曲目: シベリウス 交響詩「フィンランディア」 ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱付き」(第4楽章) 演奏:高高第九管弦楽団:オーケストラ部・吹奏楽委員会・賛助出演者 高高第九合唱団:音楽部・音楽選択生徒・生徒希望者・職員 独唱:生徒からの選抜メンバー Sp. 宇野 伶 Alt 冨岡 莉子 Ten.竹本 康佑 Bar.長町 亮佑 演奏曲目別の私の演奏位置と使用弓、演奏回数は以下のとおりです。 ・シベリウス:交響詩「フィンランディア」 (20回目) 2.5Pult中3Pult out 独弓、5弦 inC ・ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」第4楽章 (13回目) Breitokopf旧版譜面 2.5Pult中3Pult out 独弓、5弦 inC <ホールの紹介> この演奏会は、高校の冬の文化行事のメインイベントとして始まったもので、演奏会場は現校舎(私が在校していたころからは建て替わり、同じ敷地内ですが建物の位置が大きく変わっています)のパティオ。各校舎から見下ろせる中庭での演奏となります。 初冬の季節なので雨の可能性は少ないとはいえ、高松特有の強風になることもあり、演奏環境としては決して良いとは言えません。 それでも伝統行事であり、各教室から友人たちが自分たちの演奏を見下ろして聴いてくれている、という風景は最近の10代にとってはある種「あこがれ」とのことで、この演奏ができるということも高松高校に進学する理由の一つなんだそうです(といった憧れだけで入るには、ちょっとだけ勉強は必要な受験校なのではありますが)。 <観客数> 開催されたとはいえ、まだ限定公開。観客は事前に連絡あった生徒さんのご家族(おもにご両親)および関係者ということで、椅子席は100ちょっとと言うくらいでしょうか。とはいえ、もちろん現役の生徒さんは教室前のオープン廊下などからパティオを見ろしているわけで、全校生徒は1000名を少し超えるくらいはいるはずだから、これはこれですごい観客数です。 <オーケストラ編成、並び> オーケストラの主力は、高校の部活動、 ・オーケストラ部(主に弦楽)26名 ・吹奏楽委員会(主に管楽器)38名 (賛助13名の、計77名) となります。私が在校時はオーケストラ部はまだなかった(吹奏楽委員会のSax吹きでした)です。そして、吹奏楽は「部」ではなく学校内でも公の用をなすことから「委員会」と呼ばれています(これは、生徒会、応援団から吹奏楽が派生したということに由来しているそうです)。私が第23代の部長でしたから、今は第何代でしょう・・数えるのも怖い。 さて、そのオーケストラはVcが内側の近代並び(1Vn-2Vn-Vc-Va, Vcの後ろにCb)。Hnは上手側、打楽器は下手側。 中庭のさらにど真ん中で風が吹きっ晒し。当日も風が強くて楽譜どころか、楽譜を留めた譜面台ごと風で持って行かれるような状態。それでも現役生たちは慣れたもの(この季節の高松は、瀬戸内海を渡った北風を受ける日が多い)で、譜面台の足をガムテープでガチガチに固定。さらに若者の特権「暗譜」で乗り切ってました。 こうなると年寄りは・・やばい。幸いにも前プロのフィンランディアは演奏旅行での蓄積、第9は4楽章だけ、ということでなんとか不安定な楽譜でも乗り越えることができました。 演奏場所とかももう少し壁寄りとか、天井の有るコーナーとかだと響きも救われそうなのですが、先生曰く「生徒たちが、今の位置でやる伝統を憧れに持ちながら守っているので、変えられないんですよね」とのこと。そうなると、それはそれで貴重なのかなーというところです。 <コントラバス編成、並び> コントラバスは現役生4人と私の、計5名。編成も上から9-7-7-5-5(名)という編成だったので、バランス的にはこんなものか。上にも記したようにフィンランディアでは管楽器に吹奏楽用の楽器(サックスやユーフォ等)を足して、屋外演奏でも極力PAを減らして生音での演奏を可能としていました。考えてみれば、ベートーヴェンの第7、第8交響曲の初演は倍管でCFgも入っていたらしいし、あまりこだわるのも逆に野暮なのかもしれません。 並びは、前2人、後ろ3人の2列。五弦(拡張)は当然ながら私だけ。とはいえ、第4楽章はあまり五弦の出番はないので、珍しさだけ?だったかも(前半楽章は拡張音域が結構活躍するので、五弦やCマシンが必要になる) <メンバー詳細> 生徒さん4名は当日初対面(全員初対面)。セッティング~リハ~本番とあわただしく、ほとんど会話も交せないくらいな状態でしたが、皆さんこの超難曲に果敢にチャレンジされてました。若いってすごいわ。けど本当は誰かプロの方に見てもらってほしいなぁ‥ <指揮者、ソリスト> 指揮は、吹奏楽部の顧問でもあられる、山田先生。高松交響楽団にも所属されているので、オーケストラについてもきっちりとご指導されています。 そして合唱、これがまた「全部生徒手作り」の理念で、ソリストも生徒さんの中から。高松高校は今は全日制は普通科だけで、中に「芸術専攻コース」があってたまに芸大生を輩出する(プロのオーケストラ奏者も輩出しています)のですが、そうそう声楽専攻の生徒さんがいるわけではありません。主に音楽部(合唱部に相当)の生徒さんが選抜されてソリストを担当します。合唱に比べて圧倒的に難しいソリストパート。合唱の素養がある生徒さんが選ばれているとはいえ、さぞ大変だったと思います(さらにこの時期はコロナのため、合唱部はほとんど活動できていませんから、再始動はさらに困難だったかと思います。) 合唱はソプラノ28名、アルト27名、テノール19名、バス38名の、合計112名! 音楽部(合唱部)が4名、教職員9名を除く99名は一般生徒さん。多くの生徒さんが在校中3回も第9に触れられる、というのはうらやましいというか、教育的にも素晴らしい環境だと思いました。 <曲目別感想> この行事は昭和63年10月(私が大学院生の頃)に、旧校庭中庭でピアノ伴奏による合唱で始まったとのこと。平成3年の第4回には、すでにオーケストラ伴奏となり、場所も改築された新(現)校舎中庭となり、現在の形となったようです。その間一度だけ学外へ出たようですが、令和にいたるまでコロナによって学内のみ(非公開)での実施など困難を乗り越えて途切れることなく(すごい!)演奏を受け継いできたようです。 この日は「ハートフルコンサート」(冬の文化祭)という行事の一日であり、この日も ・吹奏楽委員会によるファンファーレ ・音楽部(合唱)によるクリスマスキャロル ・オーケストラ部による弦楽合奏(なんと、チャイコフスキーの弦セレ第1楽章!) ・吹奏・オケ合同による「フィンランディア」 (中入り) ・書道部による音と書の共演 ・合唱、オケによる第9 という豪華プログラム。私はフィンランディアと合唱だけの参加でしたが、フィンランディアはちょうどウクライナ紛争のさなか、という状況下で、演奏した生徒さんたちにも色々な思いを残したものと思います。 2曲目第9は4楽章だけの演奏。いきなりVc/Cbのレチタティーヴォがやってきます。なかなかに難しい曲ですが、VcもCbも現役生徒さん大奮闘でした。合唱ソリストも堂々と歌うし、これは感激しますね。(前半1~3楽章がない分、合唱は早くに出番がやってきます。)こんな感動的な経験を毎年積める。もちろんプロのオーケストラや合唱によるクオリティとは別物かもしれませんが、自分たちで時間を掛けて作り上げたものの総決算を全員で問う姿は、まさに音楽演奏の原点を改めて感じる大きな感激でした。 母校での演奏は、吹奏楽委員会の第40回記念定期演奏会(2015年)以来。厳しいスケジュールで各方面にもご迷惑をおかけしましたが、来て、演奏出来てほんとよかったです。賛助枠を作ってくださった顧問の山田先生、賛助の案内を流してくれた吹奏楽委員会OB会長の安部先輩、そしてこんなおっさんを受け入れてくれたオケ、Cbパート現役生の皆さんに感謝しています。 <アンコール> アンコールは残念ながら無し、ということでテキパキと撤収、と相成りました。 伝統校の伝統行事とあって、例年TV放送局のカメラが入り、特にこの年はコロナからの復帰ということで、どの放送局も夕方~翌朝のニュースで映像をしっかり流していたようです。(私はネットにて各放送局のサイトから拝見) (KSB) https://youtu.be/HV2F627oaN0?si=Zx99PU-HQxZJzJRZ (RSK) https://youtu.be/QdUchsbZV5M?si=L4sTJ8oLAYDoL3eQ (OHK) https://youtu.be/tMKDK9G7f0E?si=6H3eqGhxt6kmTgHN さらに当日の様子は、高高のOB会(玉翠会)のホームページにも掲載されました。 https://gyokusui.org/archives/2658 そこでの動画を改めて掲載しておきます。 <打ち上げ> 12月も中盤、学校はすでに学期末試験終わったくらいではありますが、さすがに高校生で、しかも昼間の行事なので打ち上げと言うわけにはいかず、また私も平日に会社のお休みをもらってのうえ、けいはんなフィルさんの本番直後の木曜日で、翌日は京大オケを聴きに行き、その後の日曜は交響楽団ひびきさんの本番という過密スケジュールのため、OBとの反省会もできないまま帰途につきました。 <次回> こうしてコロナも乗り越え、また次年度以降は伝統の行事も復活していくことと思います。(翌年はなんと朝比奈千足先生が登壇されるようです) また平日ですし、エキストラの需要があるかどうかも分かりませんが、また枠があって時間が合えば参加したいものです。 過去の演奏経歴です。通算385ステージ目。 ■シベリウス:フィンランディア(学生時代の演奏旅行を除く) 1985/07/26 京都大学交響楽団/柿元 生也 1991/10/10 北里大学交響楽団/中村 ユリ 1992/04/26 秦野市民交響楽団/川合 良一 1995/04/15 東京グリーン交響楽団/川本 貢司 2008/12/6 滋賀医科大学管弦楽団/岩井 一也 2011/5/1 コバケンとその仲間たちオーケストラ/小林 研一郎 2011/8/4 コバケンとその仲間たちオーケストラ/小林 研一郎 2011/9/11 コバケンとその仲間たちオーケストラ/小林 研一郎 2011/12/17 コバケンとその仲間たちオーケストラ/小林 研一郎 2012/7/26 コバケンとその仲間たちオーケストラ/小林 研一郎 2012/8/26 コバケンとその仲間たちオーケストラ/小林 研一郎 2012/12/15 滋賀医科大学管弦楽団/岩井 一也 2013/6/2 びわこフィルハーモニーオーケストラ/増井 信貴 2014/9/23 コバケンとその仲間たちオーケストラ/小林 研一郎 2014/12/6 滋賀医科大学管弦楽団/岩井 一也 2016/1/31 八幡市民オーケストラ/藏野 雅彦 2017/8/6 コバケンとその仲間たちオーケストラ/小林 研一郎 2018/12/16 紫苑交響楽団/牧村 邦彦(混成合唱入り) 2019/3/3 紫苑交響楽団/牧村 邦彦 2022/12/15 高高第九管弦楽団/山田 英司 ■ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」 1990/12/16 尼崎市民交響楽団/辻 敏治 1991/12/01 横浜シティ・フィルハーモニック/鎌田 由紀夫 1992/12/06 横浜シティ・フィルハーモニック/鎌田 由紀夫 2001/12/23 沼津交響楽団/北原 幸男 2003/12/7 沼津交響楽団/横島 勝人 2010/1/24 八幡市民オーケストラ/藏野 雅彦 2014/11/30 やまなみグリーネ管弦楽団/河野 正孝 2017/12/23 オペラパーク管弦楽団/白谷 隆 2018/12/16 紫苑交響楽団/牧村 邦彦 2018/12/23 オペラパーク管弦楽団/白谷 隆 2019/12/22 紫苑交響楽団/牧村 邦彦 2022/10/2 オペラパーク管弦楽団/守山 俊吾(3,4楽章のみ) 2022/12/15 高高第九管弦楽団/山田 英司(4楽章のみ) 高高第九管弦楽団さんとの演奏履歴(初)です。 2022/12 第35回ハートフルコンサート (第九 他) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.06.15 11:55:28
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