草津チェンバーオーケストラ 第29回定期演奏会(賛助:2022/4/30)
<サマリー>春にはようやくCOVID-19も落ち着いてきた感がありました。永らく定期演奏会を控えていた草津チェンバーさんも、2020年冬のクリスマスコンサートを経て、ついに演奏会復活となりました。ファミリーコンサートに続いてお声がけいただき、厳しい(体力要る、休みの少ない)曲ばかりですが楽しませていただきました。<<草津チェンバーオーケストラ 第29回定期演奏会 >>第二期ベートーヴェンチクルスⅤ第29回定期演奏会■日時 2022年4月30日(土)■場所 草津クレアホール ※JR南草津駅下車徒歩12分 無料駐車場あり■指揮 宅間 司■曲目 メンデルスゾーン/序曲「フィンガルの洞窟 op.26メンデルスゾーン/交響曲第4番 イ長調 op.90 「イタリア」ベートーヴェン/交響曲第7番 イ長調 op.92■管弦楽 草津チェンバーオーケストラ入場無料 自由席(要整理券)今回はコロナ禍で音楽に触れる機会が少なかった皆様に特別な贈り物です。 演奏曲目と演奏内容(過去演奏回数)は以下のとおりです。 ・メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」(4回目)旧版 3人中1pult-Out 独弓、4弦、extender-C ・メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」(2回目)旧版 3人中1pult-Out 独弓、4弦、extender-C ・ベートーヴェン:交響曲第7番(4回目)(Bärenraeter版) 3人中1pult-Out 独弓、4弦、extender-C(アンコール) ・琵琶湖周航の歌 弦楽合奏版(弦楽合奏版:2回目) 3人中1pult-Out 独弓、4弦、extender未使用<演奏会場> 場所は草津チェンバーオケさんのホームグラウンド、そして私の自宅から一番近い公共音楽ホール、草津クレアホール。元は滋賀県が所有する「しが県民芸術創造館」と呼ばれていましたが、管理が草津市に移管されたことで名称も変更となりました。芸術総合館時代には、滋賀医大オケ(2007)、草津チェンバーオケ(2009)、そしてびわバス団(2010)でステージにお世話になりました。そして今の名前になってから、前回の草津チェンバーさんのクリスマスコンサートで演奏して以来、となります。定員は600名位なので、ステージのサイズも含め中~小ホールと言っても良いかもしれません。この演奏会の翌日から外装改良工事に入ると言うことで、このあと長期にわたってホールは使用不可となるようです。まさにギリギリのタイミングでした。<観客数>永らくコロナ禍の渦中と言うことで客席間引きでの演奏会が多かったですが、ようやくその制限から離れた演奏会も開催されるようになってきました。今回の演奏会では隣席飛ばしの制限無しでの演奏会。今回は特別に無料、整理券での事前登録による開催となりました。そして入場者数は300名程度だったとのこと。舞台から見ると、そこそこ埋まっているように見えました。<オケ編成、配置> 元々チェンバー(室内楽)オーケストラ、そしてコロナ禍での団員の異動ということもありオーケストラ編成もかなり小さく絞られました。演奏会開催が出来るとはなっても、どのアマオケもメンバーの変化に苦労しているようです。(なので声を掛けていただいたわけですが)今回のサイズは8型(高音から8-7-6-6-3(人))で、ベートーヴェンやメンデルゾーンの交響曲にはギリギリくらいの、すっきり感溢れる編成となりました。メンバーの事情もありVcが多くてCbが少なめですが、「低弦」というかたちでの人数は確保。メンデルスゾーンとかでは却ってすっきりした感じになったかも知れません。草津チェンバーさんの並びは対向配置が基本。コントラバスは、下手だったり最上段だったりしますが、今回は下手奥。弦は下手側から、1st-Vc-Va-2nd, という配置。ティンパニはTrp,Hn上手側に一列に並んだ金管群の後ろ、木管はいつもの並び(前にFl/Ob,後ろにCl/Fg)という、古典の対向配置としては標準的でバランスの取れたものとなりました。<コントラバス配置>コントラバスの配置は、3人ですので、床直接に並びます。対向配置でいつも悩むコントラバスのシート配置ですが、今回は唯一の団員の方が首席で、一番奥(1-in)という、N響さんが対向配置するときと同じような並び、私は真ん中に陣取ることとなりました。譜面台は一人一本でしたので、プルトというとどちらか悩ましいですが前詰めと言うことで、1Pult-Out(トップサイド)という表記にしておきます。<コントラバスメンバー> 前述どおりコントラバスは3名。このコロナ下で団員の方も入れ替わりがあったようで、現在はパティシエを本業とされる方1名のみとのこと。エキストラは私を含めて2名。もう一名の方は、京都教育大関係者で現在はアンサンブル都という弦楽合奏団で演奏されているSさん。お上手で気配りも行き届いた素晴らしい方で、初めてステージご一緒させていただきましたが、ちょうどこのあと6月には京都教育大OBオケにもお邪魔することが決まっていたこともあり、すっかり意気投合してしまいました。アンサンブル都さんと言えば、かつてびわバス団などで大変お世話になった呉竹さんはじめCbメンバーには代々お世話になっており、今後もお世話になりそうな予感がします。<指揮者> 指揮は当団の音楽監督でもある、宅間先生。創立以来このオケを育て上げてきました。指揮だけでなく音楽プロデュースもされており、クレアホールともレジデンスオケと言うことでのつながりが深く、定期演奏会でもベートーヴェンチクルス(第二期)等テーマ性を持たせた選曲ができるのも、常任指揮者ならではと言えましょう。二回り目のベートーヴェンは、これであと8,9番を残すのみのようです。<曲別感想> 当日の模様の一部が、オーケストラの公式YouTubeチャンネルで公開されています。1分未満の映像ですが、各曲の様子がわかります。https://youtube.com/channel/UCw-LL5qwiPqoSmxJJaVT0ZA・「フィンガルの洞窟」序曲 直近では約1年前にびわこフィルさんで演奏していたので、何とかその時の貯金で対応した・・と言うところです。序曲とはいえコントラバスパートの難度が高いので有名でして、パート譜最後のページは休みなく八分音符や十六分音符が攻めてくるため、ポジション取りの工夫も体力も必要な曲です。Breitokopfの譜面はすでに校訂版が出ています(びわこフィルでは新版を使用)が、今回は昔ながらの旧版での演奏でした。これもめくり位置とかが変わったり、微妙な強弱記号やアーティキュレーションの差異がありましたが、大勢には影響しないものでした。(真夏の夜の夢序曲の新版では、小節数自体が違っていたりする) やっぱり難しい・・しかも3人で弾くと個人がどう弾けているかが聞こえてしまいそうで怖いです。幸か不幸か、まだ録音はもらえていません。。ちなみにこの曲では低音拡張が必要な音(コントラD)が数ヶ所あり、一部HipShotで対応しました。・メンデルスゾーン交響曲第4番「イタリア」 こちらもコントラバスにとって(というか、全弦楽器にとって)難曲の誉れ高い曲です。過去に元自オケ(八幡市民オケ)で弾いたとは言えもう10年も前のことで、いやー、思い出せるかな・・なんて考えていたら、6月にも「イタリア」を抱えてしまい、のっぴきならなくなりました。楽譜は幸い今回も前も(次も)同じ譜面(旧版)なので、それは助かりました。快速で駆け抜ける感を出したいマエストロの下、早い部分(1,4楽章)は、目をつぶってヨタヨタついていく感じとなりました。これもどこまでついて行けているか、録音があれば(怖々)聴いてみたいものです。実はこの曲で一番緊張するのは2楽章の冒頭バスライン(ピチカートのように明瞭で響きがあって欲しい・・プロの古い演奏ではほんとにPizz.を混ぜてると思われる演奏もあり)なんですが、優秀なVcパートのおかげで、何とか合わせながら進められたかも知れません。 この曲も低音拡張が必要な部分(コントラD)が数ヶ所あり、そのうち2楽章のものに対応すべく、2楽章前半はHipShotをCに下げて演奏しました。(それがさらに緊張感を増す理由でもあります)・ベートーヴェン交響曲第7番 ベートーヴェン第二期(二廻り目)交響曲チクルスの5回目(1,2番、3番、4番、5,6番に続く)ということで、第7番の登場となります。実はこの曲、過去意外と演奏会ではやってなくて、記録としては4回目となります。たぶん非公開のお遊びとか、内輪での一発通しとかでやったことで記憶が残っているものと思います。とはいえ、直近で2年前に墨染オケさんで演奏していて、楽譜もその時と同じベーレンライター版(新版)だし、さらに最近顔を出している「練習のみのオケ」でもこの曲を取り上げていた(こちらは旧版)ということもあり、HipShotの設定とかふくめ、対応しやすかったです。この曲はかなり低音拡張を要求されていて、序奏からコントラCが出ますし、1楽章や終楽章のコーダでも低くうごめく部分でE音よりも低いところが使われています。そのため、HipShotとしては、1,4楽章はとおして下げ(E線→C線)を維持する形となります。元々4弦でも音の跳躍が激しくて難しい中、E線がC線になるとポジション的にもかなり難しくなり、結構必死で左手を上下することになりました。 これも後日(7月)5弦ベースを入手したことで、今回で終わりになりそうです。(以降、これだけ低音拡張が激しい曲は、5弦で演奏することになる) 演奏としては、マエストロの意図を貫いた、キリッとしたリズムの中にアンダンテを葬送行進曲(作曲当時のウィーンの事情を想定したもの)とした新解釈もあり、技術的にもしっかりしたものになったように思います。<アンコール> アンコールは滋賀県の「事実上の県民歌」とまで言われている「琵琶湖周航の歌」。同じく滋賀県で活動するアマオケの指導者(元プロオケトランペット奏者)の方が、弦楽合奏版にアレンジした譜面です。前回のクリスマスコンサートでは声楽入りでしたが、今回は弦楽のみでの演奏です。<打ち上げ> 打ち上げはこのご時世と言うこともあり、残念ながらありませんでした。10年以上ぶりのオケでメンバーもすっかり替わっているので、打ち上げで顔見知りになれると思ったのですが・・大変残念です。早くまた演奏後の高揚感そのままでお酒が飲める日が来ることを、祈るばかりです。<次回演奏会> 次回の定期演奏会はホールの改装期間もあることから、来年春となったようです。過去の流れからだとチクルスは1回飛ばしで実行されているようですので、次回はベートーベン無しの選曲となりそうです。ドヴォルザークという噂も漏れ聞いておりますが、お声がけいただけますかどうか。各曲の過去演奏履歴です。通算372ステージ目。■メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」1985/12/08 アンサンブル・モーツァルティアーナ/岡田 司2001/07/14 清水フィルハーモニー管弦楽団/藤崎 凡2021/2/23 びわこフィルハーモニーオーケストラ/川上 肇 2022/4/30 草津チェンバーオーケストラ/宅間 司 ■メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」2012/5/26 八幡市民オーケストラ/中井 章徳2022/4/30 草津チェンバーオーケストラ/宅間 司■ベートーヴェン:交響曲第7番1992/04/26 秦野市民交響楽団/川合 良一 2008/5/25 八幡市民オーケストラ/森口 真司2020/2/16 墨染交響楽団/大島 正嗣 2022/4/30 草津チェンバーオーケストラ/宅間 司 ■吉田千秋:琵琶湖周航の歌2009/10/17 びわこフィルハーモニーオーケストラ/有馬純昭(オーケストラ版)2015/6/27 アンサンブル・びわバス団2016/2/20 アンサンブル・びわバス団2016/9/10 アンサンブル・びわバス団2017/9/9 アンサンブル・びわバス団2018/9/8 アンサンブル・びわバス団2018/9/24 アンサンブル・びわバス団2019/4/30 アンサンブル・びわバス団2019/11/16 アンサンブル・びわバス団2019/11/17 アンサンブル・びわバス団2020/7/4 アンサンブル・びわバス団2020/11/15 アンサンブル・びわバス団2020/12/27 草津チェンバーオーケストラ/宅間 司(弦楽合奏版)2021/7/3 アンサンブル・びわバス団2022/4/30 草津チェンバーオーケストラ/宅間 司(弦楽合奏版)草津チェンバーオーケストラさんでの演奏履歴(通算3ステージ目)です。第8回定期演奏会 2009/11 しが県民芸術創造館(現:草津クレアホール ブラームス3番他)市民と創るコンサート 2020/12 草津クレアホール (モーツァルト39番他)第29回定期演奏会 2022/04 草津クレアホール (「イタリア」他)