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カテゴリ:映画 カ行
『グラン・トリノ』を観ました
![]() 「ミスティック・リバー」「ミリオンダラー・ベイビー」の巨匠クリント・イーストウッド監督が、 自ら主演して世の中に怒れるガンコ老人を演じた感動の人生ドラマです ![]() ![]() >>『グラン・トリノ』関連 原題: GRAN TORINO ジャンル: ドラマ 製作年・製作国: 2008年・アメリカ 上映時間: 117分 監督・製作・出演: クリント・イーストウッド 出演: ビー・ヴァン アーニー・ハー 【ストーリー】 長年一筋で勤め上げたフォードの工場を引退し、妻にも先立たれた孤独な老人ウォルト・コワルスキー。 いまや、彼の暮らす住宅街に昔馴染みは一人もおらず、朝鮮戦争帰還兵の彼が嫌って やまないアジア人をはじめ外国人であふれる通りを目にしては苦虫をかみつぶし、 亡き妻に頼まれたと、しつこく懺悔を勧めてくる若造神父にも悪態をついては追い返す日々。 自宅をきれいに手入れしながら、愛犬デイジーと72年製フォード車グラン・トリノを 心の友に、お迎えが来るのをただじっと待つ退屈な余生を送っていた。 そんなある日、彼が大切にする自慢の庭で、隣に住むモン族の気弱な少年タオと 不良少年グループがもみ合っているのを目撃したウォルト。 彼らを追い払おうとライフルを手にするが、結果的にタオを助けることに。 タオの母親と姉がこれに感謝し、以来何かとお節介を焼き始める。 最初は迷惑がるものの、次第に父親のいないタオのことを気に掛けるようになる ウォルトだったが…。 ![]() ![]() ![]() ![]() 俺は迷っていた、人生の締めくくり方を。 少年は知らなかった、人生の始め方を。 クリント・イーストウッド監督の映画にハズレはありませんね。 やっぱり今作も期待以上、神がかり的な職人技と、何とも言えない心地の良いテンポ、 魅力的なキャラクターと、 今作が映画出演は最後になるかもしれないが、この役だけは演じたかったと語ったイーストウッド監督の 今、僕らに伝えたい溢れんばかりのメッセージがじわじわと伝わるとてもすばらしい映画でした。 イーストウッドが演じるのは、朝鮮戦争帰還兵で元自動車工のおじいさんウォルト。 その頑固じいさんぶりは未だかつて類をみないほど強烈でした。 始終オオカミのように唸りながら、近所がアジア系住民だらけになっていることに不満顔、 葬儀を担当してくれ、亡き妻が願った懺悔を勧める神父さんにも強烈な毒を吐き、 庭に無断で入ろうものならライフルを突きつけられる恐ろしさ。 若者たちの素行にも不満顔でヘソ出しルックの孫娘に唾を吐き、息子2人とも心を打ち解けられず、 唯一の理解者である愛犬デイジーを傍らに、ちょっとした家の修理と ビール片手に愛車のグラン・トリノを眺めるのが 日々の楽しみという個性の持ち主でございます。 そんなウォルトがグラン・トリノを盗もうとして車庫に侵入した隣に住むアジア系モン族の少年タオを そんなつもりもなく助けた事からタオの恩人に昇格して、 頻繁に行われる御礼の品(特に料理)の虜になってしまうわけです。 そんなこんなで、ウォルトとモン族家族の交流が始まるわけですね。 さらには、悪さをしようとしたタオに償いをさせるための、 ウォルトの手伝いが始まり、 内気で将来の希望を持っていなかった&父親のいないタオを 次第に気遣うことになっていく頑固じいさんウォルト。 そんなウォルトに心を開いていくタオ。 男同士の心の交流が始まるわけです。 頑固じいさんウォルトが内気なタオの未来を切り開く手伝いをしていく過程で、 ウォルトの昔なじみの床屋でも建設現場でも毒舌だらけのジョークをかます 粋な男塾が面白かったです。 そのおかげで少しずつ、男としての自信をつけ、 2人が活き活きしていく様子に心が温かくなります。 ああ、それなのにそれなのに・・・ タオ一家を助けようとしたウォルトの行動が不良たちの報復を受ける羽目になり、 朝鮮戦争で敵の少年兵を殺した罪悪感に苛まれてるウォルトが復讐心に燃える若者と その家族、愛犬デイジーのために下した決断が優しくも悲しすぎるわけです。 その衝撃にガツンとやられながらも、100%納得できる決断ではなくて、 未熟者の僕には、どうしてなんだという思いがいっぱいでしたが、 いろいろと考えていくとあれしか解決できる手段がないことに気づいて、 頑固じいさんウォルトの想いと、エンドロールの美しく平和で何気ない風景に 心地よく温かさを感じる音楽に目頭が熱くなりました。 これが最後の出演作になるのは惜し過ぎる、 ユーモアも一杯で愛すべき俳優イーストウッドの好演、 先日の『チェンジリング』を観た後も感じた 監督としての神がかり的な手腕が光り、切なくも温かい映画でした。
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