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カテゴリ:映画 ア行
『アンジェラの灰』を観ました
フランク・マッコートのピュリッツァー賞を受賞した自伝小説をアラン・パーカーが 映画化。 極貧の生活を送りながらも、ユーモアを失わない少年の成長を描いた感動ドラマです >>『アンジェラの灰』関連 原題: ANGELA'S ASHES ジャンル: ドラマ 製作年・製作国: 1999年・アメリカ/アイルランド 上映時間: 124分 監督・製作・脚本: アラン・パーカー 出演: エミリー・ワトソン ロバート・カーライル ジョー・ブリーン 【ストーリー】 大恐慌に陥った1930年代。 アイルランドからニューヨークに渡ったマラキとアンジェラはそこで出会い結婚する。 やがてふたりは5人の子どもに恵まれるが、マラキは仕事もなく、失業手当すら 酒代に消えてしまう。 末娘を亡くした一家は結局故郷のアイルランドに戻ることに。 しかし、アンジェラの実家のある街リムリックも決して一家を優しく迎えては くれなかった…。 ここから先はネタバレを含みます。ご注意を 1930年代アイルランド。 大恐慌の最中、極貧にもくじけずに日々を生きる。 想像を絶する貧しさの世界に言葉を失い、唖然としてしまう 大恐慌に陥った1930年代アイルランド リムリック。 誰にとっても家族との団欒とくつろぎの場所であるはずの家の一階は、 水浸しで、汚水に塗れているわけで 画面から伝わってくるような臭いに卒倒しそうであります。 プライドの高さと生まれが災いして職にありつけてもすぐに辞める飲んだくれの父親。 生まれたばかりの赤ん坊や幼い子供を次々と失い、悲嘆にくれつつも、 物乞いまでして頑張る母親。 それでも毎日の食べ物さえ事欠く極貧な生活。 ダークな色合いで貧しさの根底をこれでもかと見せ付けられる描写に絶句の連続であります。 もちろん、子供たちの服も靴もボロボロ、それゆえ学校ではからかわれる毎日。 先生もこれまた厳しい人でありまして、カトリックの世界に恐怖心を抱いてしまいます。 それでもユーモアを忘れず、ささやかな出来事に一喜一憂し、成長していく少年の姿は 逞しくもあり、どんな状況でも温かな希望が見出せる力強さを感じました。 主人公の長男フランクは年代の違う3人の少年が演じわけていて、自然な演技がすばらしい。 酒に溺れたダメ親父マラキを演じたのは、ロバート・カーライル。 『28週後...』でもゾンビ化したダメ親父を演じてましたが、 こちらのダメぶりもしっかりとハマっていて凄い。 赤ん坊のお金にまで手を付けても、 楽しい思い出がある故、どうしても愛さざるおえないダメ親父なんですね。 子供たちの複雑な気持ちを感じ取りながらも、 ダメぶりを炸裂させるロバート・カーライルの哀愁漂う演技は しっかりしろよっと言いたくなるけど、憎めないんですね。 そして、そんなダメ亭主に落胆させられながらも逞しく子供たちを育てようと奮闘する 母親アンジェラにはエミリー・ワトソンです。 こんな事を言ったら失礼だけど彼女もまた幸の薄い役が似合うんですね。 物乞いの女性たちに混ざっていても品のある赤いコート (袖は破れていたりするんですが)姿が決まってます。 どんな状況でも精一杯子供たちと向き合う、優しく強い母親ぶりがすばらしい。 そんな大恐慌の極貧な生活を描くと共に、カトリックとプロテスタント宗教問題、 北アイルランドと南アイルランドの南北問題など 複雑な民族問題が盛り込まれて歴史を知るのにも興味深い作品だったと思います。 少年たちの成長過程のバカバカしい悪事の数々に笑い、 意地悪だった叔母さんが借金してまでスーツを買ってくれるなんて 感動的なエピソードにはジーンとしたり、 天気も雨ばかりで湿気が漂う暗く貧しい生活の中に、時折射す希望の光がまぶしく感じます。 混迷を極める現代社会に生きる僕らに対しても、勇気をくれる映画でありました。
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