つれづれ結界こらむ

断頭島編最終決戦、結界師（原作）２１６話、「夜城」です…が、
正直この回、殺伐さメーターが飛びぬけてえっらい事になってて、
きっつい；。

…レビュー書くの、手間取ったっすー…；。

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●抜け道を覆う森の前、暗き思念が舞い降りる…。
時音達の足が、止まる。
炎上寺彩覚に移動用式神を駆らせ、彼らの目の前に立ち塞がった黒衣の影…
年すら分からぬその一人の女の小柄な姿に、強大な『危険』の影を感じ取ったからだ。
…危険など、自分も良守も今まで、いくらでも感じてきた。
生まれた時から妖達と戦う宿命を背負い、日常としてきた故の自分達のそんな感覚を
人は、哀れむ事もあるのかもしれない。
だが今目の前に立つこの『危険』は、そんな自分達ですら計り知れない程の…恐ろしく
陰鬱な、…異様な気配を纏っていたのだ。
…何なのだ、『コレ』は…！？
「夕上…」
黒衣の女…夜城の凍るような目が、良守に背負われたままの夕上を捕らえる。
そして、呟いた。
「やっぱり急いで短刀なんか使わずに、しっかり頭を壊しておくんだったねぇ…」
…壊す。
それはモノに対して用いる言葉…。
「…待ちな！」
その時時音達のすぐ背後、怒りに燃えた怒号が飛ぶ。
「夜城…そいつらは私の獲物だ。邪魔すると首狩るよ」
炎上寺彩子だ。良守にいくら圧倒的な力の差を見せ付けられようとも、彼女の執念が
翳ることなどありえなかったらしい。
だが、夜城は素気無く言い放つ…。
「下がってな彩子。あんたにまかせとくと逃げられる」
…炎上寺の苛立ちが、頂点に達する！
「邪魔すんなって言ってんの！！」
夜城の言葉を無視し、炎上寺は突進する！
…だが。
ズガンッ！！
―物言わず、炎上寺は倒れた。
気配も何も無かった、何も見えはしなかった。だが夕上は…彼らは、直感する。
それは攻撃。
おそらくは夜城による…仕事の邪魔になるモノに対する、断罪。
纏いつく面倒なモノに対する…夜城にとって当然の事なのだろう、『報復』。
―わかった。この周囲に立ち込める、陰鬱な気配の正体が。
面倒なもの、意に染まぬものに当然とばかりに向ける、虚ろな憎しみ。
そんな存在達を防衛本能のごとく、当然とばかりに排除せんとする、乾いた意思。
それらが導き出す、その暗き思念の名は。

―悪意だ。

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聞いた話ですけど漫画家さんって、
くらーい気分の時に漫画描くと、くらーいものが出来てしまう事があるそうです。
…なんついますか、そんな感じ？

はっきり言って、超エグイです、この回；。

別に血まみれシーンとか拷問シーンとかそんなの描かれてるわけでも全然ないのに
何がそんなにキツかったかって、
今回乱れ飛びまくってたむッごい台詞が、
全然『むッごい台詞』として扱われてない辺り；。



…その辺りの演出の趣味に、イエロウ先生のハードな思考、見え隠れしている気がします～。

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「結界師」って考えてみると、
ハッキリした『道徳観念』を持ってない作品なんですねー。

…というか、それを議論する漫画じゃないという感じ。



今までの展開でも、
黒芒楼やら扇一族やら神佑地狩り一味やらによるいくつもの非道が描かれてきましたが、
良守達って、実はそれらによって傷付きはしても、
『それら自体について』を、
「こんな事は許されない！！」とか非難して、
さらにそんな世界の流れを是正しようと奮闘するーみたいな事は絶対しないんですね。
ただ単に、やられたことに対して、返すだけで。



世の中の濁の部分に、異議を主張するような演出は決してしない。



…それは良くある偽善的熱血お子サマ漫画展開～（ｦｲ）を嫌うための事かもしれませんが、
（正義を主張して敵をぶっ潰したけど、アンタホントに正義だったん？的な）

でもそれがかなりに徹底しすぎてて、
まだ状況的にそれほど擦れてもないだろー子供な良守と時音達までもが
もはや『人間悪』とゆーものをナチュラルに許容しちゃってるよくぉらアアアァァ；！！
…ってな空気に見えてしまって；。


それが、「ここまで殺伐としてるんか…」と感じる理由なんだろなぁ。




そんな風に考えると「結界師」って、
実はかなり～にハードボイルドォォォな漫画のかも知れませんね。

…うーん、「どっちか言うと深夜系漫画じゃね？」とは思ってたけど、ここまでとは…。





ってナガナガと書きましたがまあそれくらい、突き詰めると実にショッキングな回だったな～と。


展開的には、
『ラスボスに追い詰められピーンチ！だけどヒロインの為奮い立つヒーロー、それを粉砕ッ！！』
というわかりやすい回なんですけど。

…でも夜城の、
「やっぱり急いで短刀なんか使わずに、しっかり頭を壊しておくんだった」
…なんて『急いで』とかもはやすでに趣旨は
モノの解体効率の話なんすかぁぁぁ;な台詞とか、
さらにはあの夕上さんまでもの、
「狙うは頭」
…とか子供（良守）に対し小ゴマであっさり明らかに人殺しＯＫ発言ですかぁぁぁ
な台詞とか。




子供雑誌の看板背負ってのナチュラルで無関心な殺伐さ加減が、
特にキツい話数だったなぁ…。
まあでも多分子供なら気付かそーな面での殺伐さだから、（営業的には）問題ないんか…。（ｺﾗ;）




あ、最後に。

でももし仮に『ハードボイルド青年漫画～！！』…なんて銘打とうとも個人的に許せなそーなのが、
今回の時音ちゃんの扱いについて。


あのしょっぱなから自分の命を
「所詮役立たずのゴミ（ｹﾞﾌﾝｹﾞﾌﾝ；）だから…」級に諦めてる卑屈な姿勢は、
正直、虫唾が走りました；。
…いえそんなｴﾗｿｳ言えるご立派権利なんてないのでしょうけど、
それでもあの、時音ちゃんの思考。

『良守達を逃がした後、隙を狙って戦って逃げて…それでもダメなら死ぬ覚悟』

じゃなくて、

『どうせ自分なんか抵抗したってムダなんだから、良守達を逃がす役に
くらいは立って、邪魔にならないように死…にたくはないよ～、誰か助けて
かわいそうな私』

…って感じのこれ見よがしっぷりにしか見えなくて、ナンカもー生理的にＮＧでした…；。
殴りたくなった。（スンマセン；）



…だってたとえ非力だろうと、他の職員達の目がある状況を利用するとか、地形を利用するとか。
『諦めない余地』なんてまだまだいっぱいあるんですから～…。

彼女が一般人だったら「健気」かもですが、
その道１６年の結界師なんじゃん。




あれじゃ単に時音がただのすげえ卑屈な根性無しに
成り下げられてるようにしか見えなかったっす；。




…先生、時音ちゃんをもっと、大事にしてあげて下さ～い…。



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