先月フライングをしたのできまりが悪いのだが、今年も2月18日がやってきた。あの衝撃的な事件から2年、医療の崩壊は目に見える形で表れている。それでも医師や病院を叩けばどうにかなると思っているのだろうな。あわてている様子は見えるものの、本気で解決しようとしているようには見えない。
実際に医師が逮捕されるまで、重大な病態の患者が死ぬことは当たり前だという常識は、誰にでもあるのだと思っていた。手術がいくら安全になったとはいえ、やはり命がけの行為なのだと言うことは理解されているのだと思っていた。まさか、ミスがなければ患者は死なないと言うことが常識になっていたとは知らなかった。
メディアや警察や一部の市民がどう思おうと、人間は死ぬときは死ぬ。医療の出来ることは、そのうちのいくらかを助けることだけだ。このことが理解されず、患者が亡くなるたびに医療ミスだと言われるようでは、医療が出来るはずがない。当然のことながら、産科・小児科は言うに及ばず、救急医療からも撤退する医師が増えている。
日本の救急医療の多くは、救急医療を専門としない、他の専門領域の医師がまかなっている。それらの医師が救急医療から撤退するには、救急病院を辞めるしかない。私の勤務先でも、内科医の退職が顕著だ。理由は、救急で非専門領域の患者を診たくないからだ。かくして、地域で唯一の基幹病院でありながら、緊急透析すら出来ない高度救命救急センターの誕生だ。
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